Liver-Chip S1


- BioKit Model
- Guided Model
- Community Model
Liver-Chip S1 は、Emulate 社が開発・検証したBioKit モデルです。
この製品はBioKit として提供されており、事前評価済みの細胞、Organ-Chip 消耗品、検証済みのプロトコルが含まれており、特性評価と機能性に関する保証が付いています。
ヒトに関連する肝毒性を評価するための新たなゴールドスタンダードの可能性を秘めており、Drug-InducedLiver Injury (DILI:薬物誘導性肝障害) の予測を目的としたFDA の ISTAND Pilot Program に採用されています。
BioKit Models ご使用にあたって
- BioKit Models は、「Cell Pack」 と 「Basic Research Kit」 の同時購入が必須です。Chip-S1® あるいは Chip-R1™ をお持ちの場合でも、単品購入はできません。
- Emulate 社システムでのみ使用できます。
- BioKit Models は、別途 Emulateシステム専用装置と専用試薬※が必要です。
- Emulate 社専用Chip に細胞はプレコートされておりません。凍結細胞をドライシッパーにて納品いたします。お客様にて細胞融解後、Chip へ播種してください。
※Chip-R1 には専用試薬 (ER1およびER2) があらかじめプレコートされているため、Chip-R1 を用いてLiver-Chip、Brain-Chip を作製する際には、別途専用試薬を用意する必要はありません。
Liver-Chip S1 ご購入方法
Liver-Chip S1, Co-Culture
Liver-Chip S1, Co-Culture (肝臓チップ, Co-Culture モデルを12 個作製する場合)
| メーカーコード | 製品名 | 容量 | 発注数量 | 構成 |
|---|---|---|---|---|
| OBK-WOER-12 | Basic Research Chip Kit-12pk | 1キット | 1 | 12 x Chip-S1, 12 x Pod-1, 4 x Steriflip |
| AI-BIO-LH-CO-JP | Liver Co-Culture Cell Pack | 1パック | 1 | Hepatocyte 1本 Liver Sinusoidal Endothelial Cells (LSECs) 1本 |
Liver-Chip S1, Co-Culture (肝臓チップ, Co-Culture モデルを24 個作製する場合)
| メーカーコード | 製品名 | 容量 | 発注数量 | 構成 |
|---|---|---|---|---|
| OBK-WOER-24 | Basic Research Chip Kit-24pk | 1キット | 1 | 24 x Chip-S1, 24 x Pod-1, 8 x Steriflip |
| AI-BIO-LH-CO-JP | Liver Co-Culture Cell Pack | 1パック | 2 | Hepatocyte 2本 Liver Sinusoidal Endothelial Cells (LSECs) 2本 |
Liver-Chip S1, Quad-Culture
Liver-Chip S1, Quad-Culture (肝臓チップ, Quad-Culture モデルを12 個作製する場合)
| メーカーコード | 製品名 | 容量 | 発注数量 | 構成 |
|---|---|---|---|---|
| OBK-WOER-12 | Basic Research Chip Kit-12pk | 1キット | 1 | 12 x Chip-S1, 12 x Pod-1, 4 x Steriflip |
| AI-BIO-LH-QUAD-JP | Liver Quad Culture Cell Pack | 1パック | 1 | Hepatocyte 1本 Liver Sinusoidal Endothelial Cells (LSECs) 1本 Kupffer cells 1本 Stellate cells 1本 |
Liver-Chip S1, Quad-Culture (肝臓チップ, Quad-Culture モデルを24 個作製する場合)
| メーカーコード | 製品名 | 容量 | 発注数量 | 構成 |
|---|---|---|---|---|
| OBK-WOER-24 | Basic Research Chip Kit-24pk | 1キット | 1 | 24 x Chip-S1, 24 x Pod-1, 8 x Steriflip |
| AI-BIO-LH-QUAD-JP | Liver Quad Culture Cell Pack | 1パック | 2 | Hepatocyte 2本 Liver Sinusoidal Endothelial Cells (LSECs) 2本 Kupffer cells 2本 Stellate cells 2本 |
Liver-Chip S1 の概略図
Liver-Chip は、研究要件に応じてCo-Culture または Quad-Culture の構成で作製することができます。いずれのモデル構成も、肝臓生理学および薬物反応のモデル化に不可欠な複雑な細胞間相互作用を再現することができます。静置肝細胞サンドイッチ単培養とは異なり、アルブミンおよび尿素分泌はin vivo 範囲と同等であり、経時的に持続するため、機能性が向上していることが示されています。

Cell types & Characterization endopoints
Cell types
- Co-Culture:Hepatocytes+Liver Sinusoidal Endothelial Cells (LSECs)
- Quad-Culture:Co-Culture+Kupffer cells+Stellate cells
Characterization endopoints
- Immunofluorescent staining of MRP2 transporter, bile canicular networks, and stablin-1
- Albumin and urea secretion
- Cytochrome P450 enzyme activity
特長

検証済みで包括的な前臨床用ヒト肝臓モデル
Emulate 社のLiver-Chip は、3D 多細胞構造や血管流動といった重要な微小環境の特徴を通じて、ヒト肝臓の生体内生理機能を忠実に再現します。これらの特徴により、Emulate 社のLiver-Chip は、従来のサンドイッチ培養法、スフェロイド、動物モデルと比較して、ヒト肝臓をより人間に適したモデルとして提供します。

Hepatotoxicity
RESEARCH CHALLENGE
薬物誘発性肝障害による薬剤候補の脱落および市場からの撤退
現在の前臨床モデルは、ヒトにおける肝毒性および薬物誘発性肝障害 (DILI:Drug-Induced Liver Injury) を十分に予測できていません。臨床への移行がうまくいかない主な原因は、動物モデルに存在する種差や、従来の肝細胞培養におけるin vivoに関連した生理機能の限界にあります。これにより、前臨床および臨床段階での高い脱落率が生じるだけでなく、患者に深刻な健康リスクをもたらす可能性もあります。
Liver-Chip Benefits
ヒト肝毒性のより予測性の高いin vitro モデル
Nature Portfolio の一部であるCommunications Medicine に掲載された画期的な研究において、研究者らはEmulate 社のLiver-Chip が、肝毒性による患者の安全性向上および小分子薬の臨床試験失敗率を最大87%削減し、特異性は100%であることを示しました。Emulate社のLiver-Chip は、動物実験や従来の細胞培養よりも高い忠実度で多様な毒性メカニズムを評価できるため、薬剤候補のDILIおよび臨床試験の脱落リスクを低減します。

AAV Transduction
RESEARCH CHALLENGE
安全で効率的な遺伝子治療ベクター開発の難しさ
遺伝子治療は遺伝性および後天性の遺伝子疾患に対して大きな可能性を秘めていますが、進展は依然として遅い状況です。安全で効果的なウイルスベクターの開発には時間がかかり、困難を伴います。動物実験は時間がかかり、コストも高く、厳しく規制されています。一方で、従来のin vitro モデルでは細胞の複雑性が限られているため、生理的でない反応を示します。これらの課題は、遺伝子治療の承認が遅れているだけでなく、患者に対する深刻な安全リスクも引き起こしています。
Liver-Chip Benefits
AAV 最適化へのより速い道
Liver-Chip を用いることで、研究者は肝臓の類洞 (しゅうどう) を模したヒトに関連したモデルでアデノ随伴ウイル (AAV:Adeno-Associated Virus) ベクターの送達効率と安全性を数週間で評価できます。これは動物モデルの数ヶ月に比べて大幅に短縮された期間です。この応用により、AAV 設計の迅速な反復検証や各細胞種の寄与の検討が可能となり、臨床試験に先立つ最適化を加速させることができます。
参考文献
FEATURED PUBLICATION

Performance assessment and economic analysis of a human Liver-Chip for predictive toxicology. Communications Medicine volume 2, Article number: 154 (2022)
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
従来の前臨床モデルは薬物の毒性を見逃しやすく、その結果、臨床試験や市場投入後に初めてヒトへの有害性が判明することが多く、製薬業界は失敗する薬の開発に多大な時間と資源を浪費してきました。Organ-on-a-Chip 技術は臓器レベルの病態生理や臨床反応を再現できるため、薬物開発の成功率向上に寄与する可能性がありますが、その予測価値の体系的かつ定量的な評価はまだ報告されていません。
870個のLiver-Chip を用いて、27種類の既知の肝毒性薬および非肝毒性薬の毒性評価が行われました。Liver-Chip は、スフェロイドや動物モデルを上回る性能を示し、単一ドナーでの27薬物全体に対して感度77%、特異度100%を達成しました。さらに、2人のドナーで18 薬物を評価した結果、感度87%、特異度100%を示しました。経済分析では、Liver-Chip の定常的な使用により、研究開発の生産性向上を通じて年間30 億ドルの経済効果が期待されると示されています。

Challenges and solutions in measuring commonly used biomarkers for drug-induced liver injury in a liver-on-a-chip platform. Toxicology letters Volume 413, November 2025, 111735
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
FDA はEmulate 社のLiver-Chip S1 を用いて、持続的な灌流下でヒト肝細胞と非実質肝細胞を培養し、長期の薬物曝露とバイオマーカー解析を可能にしました。本研究では、ELISA や化学的手法の最適化により、Organ-Chip 上での肝障害バイオマーカー測定の標準化・再現性のある方法を確立し、予測毒性評価や規制科学への応用を支援しています。

Hepatotoxicity evaluation of cannabidiol, cannabinol, cannabichromene and cannabigerol using a human quad culture liver chip. TScientific Reports volume 15, Article number: 28132 (2025)
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
本研究では、Emulate 社のQuad-Culture Liver-Chip を用いて4種類の植物性カンナビノイド (CBD、CBN、CBC、CBG) の肝毒性を7日間連続投与で評価しました。結果、CBC が最も強い肝毒性を示し、酸化ストレスやミトコンドリア機能障害が肝細胞および非実質細胞で確認されました。

Liver quad culture chip as a model for radiation injury research. Scientific Reports volume 15, Article number: 12414 (2025)
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
研究者はEmulate 社のLiver-Chip S1 Quad-Culture BioKit を用いて、放射線誘発性肝疾患 (RILD:Radiation-Induced Liver Disease) のモデルを構築しました。チップ上での放射線照射により、DNA 損傷、細胞老化、代謝・血管内皮機能障害、炎症、星細胞活性化などRILD の主要な特徴が再現され、関連する分子経路の解明が可能となりました。さらに、N-アセチルシステインアミド (NACA) の効果を評価し、放射線による損傷の軽減と放射線反応および治療効果のバイオマーカー候補の特定に貢献しました。

Perspective: How complex in vitro models are addressing the challenges of predicting drug-induced liver injury. Front. Drug Discov., 19 February 2025 Volume 5 - 2025
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
薬物誘発性肝障害 (DILI) の予測は非常に難しく、現在の2D 細胞モデルや動物実験は感度が不十分で、臨床試験の失敗や市販後の安全性問題を完全には防げません。動物モデルはヒトとの代謝や免疫の違いに制約があり、2D モデルは代謝機能や複雑性が限られています。2023 年4 月に開催されたワークショップでは、複雑なin vitroモデル (CIVMs:Complex In Vitro Models) が安全性評価の重要な進展であると結論づけられました。本記事はその議論を基に、肝臓CIVMs の現状と製薬業界での導入促進に向けた提言をまとめています。

A prognostic molecular signature of hepatic steatosis is spatially heterogeneous and dynamic in human liver. Cell Reports Medicine 5, 101871, December 17, 2024
Organ Model: Liver
Application: Inflammation & Disease Modeling
<概要>
Liver-Chip S1 Quad Culture を用いて肝脂肪症 (MASLD:Metabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease) のモデル化とヒト集団で同定されたプロテオミクスおよびトランスクリプトミクスのターゲットの検証が行われました。脂肪酸 (オレイン酸とパルミチン酸) を5日間投与することで初期のMASLD を再現し、脂質蓄積や転写変化など肝脂肪症の主要な特徴を示しました。肝細胞および非実質細胞からのタンパク質分泌パターンはヒトのプロテオミクス結果と一致し、動的な細胞応答の解析やMASLD に関連する細胞特異的バイオマーカーの同定に有用であることが示されました。

Human quad liver-on-chip system as a tool toward bridging the gap between animals and humans regarding toxicology and pharmacology of a cannabidiol-rich cannabis extract. Drug Chem Toxicol. 2025 May;48(3):578-585.
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
Liver-Chip S1 Quad-Culture を用いて、カンナビジオール (CBD) を豊富に含む大麻抽出物による肝毒性および動物モデルで示された薬理特性を調査しました。研究者たちは、治療用量では一般的に安全である一方で、高濃度では抗酸化経路が阻害され、軽度の肝障害を引き起こすことを発見しました。

Developing an RNA Signature for Radiation Injury Using a Human Liver-on-a-Chip Model. Radiat Res. 2024 Sep 1;202(3):489-502.
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
研究者はヒトのLiver-Chip を用いて臓器特異的な放射線障害モデルを構築し、放射線医療対策の開発やバイオマーカー検証のプラットフォームとしての有用性を示しました。また、放射線誘発性肝障害のバイオマーカーを特定し、放射線軽減治療のための細胞特異的ターゲットを明らかにしました。

Beyond the hype and toward application: liver complex in vitro models in preclinical drug safety. Expert Opinion on Drug Metabolism & Toxicology Volume 20, 2024 - Issue 7: Innovations in predictive toxicology
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
薬物誘発性肝障害 (DILI) は薬剤開発の脱落原因の一つであり、3D スフェロイド、Organ-Chip、3D バイオプリント組織、流動系などの複雑なin vitro モデル (CIVMs) が前臨床予測の改善に寄与する可能性があります。CIVMs はDILI 検出において高い感度と特異度を示していますが、導入はまだ限定的です。本記事ではDILI の概要、予測の課題と現行の戦略、使用されているモデルを解説し、産業界とFDA の協力や戦略的パートナーシップのデータをレビューした上で、前臨床毒性試験におけるCIVMs の展望を示しています。

Identification of pharmacological inducers of a reversible hypometabolic state for whole organ preservation.
eLife 13:RP93796 September 24, 2024
Organ Model: Liver, Intestine (Caco2)
Application: Organ transplantation
<概要>
代謝や生理機能を一時的に抑制する薬剤は、心臓などの臓器保存に有用です。本研究ではGut-Chip とLiver-Chip を使い、SNC80 が代謝を抑制しATP 産生を減少させることを示しました。

Integrating Liver-Chip data into pharmaceutical decision-making processes.
eLife 13:RP93796 September 24, 2024
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
薬物誘発性肝障害 (DILI) は薬剤開発における大きな課題であり、Liver-Chip 技術の活用により臨床試験の失敗や市場撤退を大幅に減らせる可能性があります。本記事では、Liver-Chip の定量的データを用いたDILI 重症度評価と、動物試験データと統合した臨床試験進行判断のための2つの意思決定支援フレームワークを提案しています。患者安全の観点から、開発者と規制当局はこの技術の導入を積極的に検討すべきであり、これらのフレームワークは前臨床開発における安全性評価の向上に寄与します。

A novel approach to interrogating the effects of chemical warfare agent exposure using organ-on-a-chip technology and multiomic analysis. PLoS ONE 18(2): e0280883. 2023
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
本研究では、化学兵器VX にLiver-Chip を曝露し、VX の主な作用機序であるアセチルコリンエステラーゼ阻害に加え、代謝や細胞エネルギー経路に関与する新たなタンパク質結合パートナーの可能性や、末梢臓器系の二次毒性についても示唆されました。結果は、organ-on-a-chip が従来のin vivo 研究の代替として有望であることを示し、アミノ酸合成、薬物代謝、エネルギー代謝など複数の細胞プロセスの著しい異常調節を明らかにしました。

A human liver organoid screening platform for DILI risk prediction. J Hepatol. 2023 May;78(5):998-1006.
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
薬物誘発性肝障害 (DILI) は、内因性・特異体質性を問わず、罹患率や死亡率の増加、臨床試験の失敗、市販後の撤退を引き起こしており、多様な遺伝的背景や臨床要因を考慮できるDILI リスク予測のための改良されたin vitro モデルの必要性が示されています。本研究では、高スループットなDILI リスク予測およびOrgan-on-Chip システムにおけるヒト肝臓オルガノイドの有用性を評価しました。

Co-Culture of Human Primary Hepatocytes and Nonparenchymal Liver Cells in the Emulate Liver-Chip for the Study of Drug-Induced Liver Injury.Current Protocols 05 July 2022
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
本稿では、Liver-Chip の準備、PHHs (Primary Human hepatocytes) およびNPCs (Hepatic Nonparenchymal Cells) の播種、アセトアミノフェンによる肝障害評価のための灌流培養プロトコルを詳細に解説し、ヒト肝細胞機能の保持に優れたDILI 評価用in vitro モデルの構築方法を示しています。

The Future of Uncertainty Factors With in vitro Studies. Toxicological Sciences, Volume 186, Issue 1, March 2022, Pages 12–17
Organ Model: Review Article
Application: Toxicology
<概要>
新しいヒト細胞を使ったin vitro 毒性試験 (臓器チップなど) は、従来の動物実験に基づくリスク評価の不確実性係数の一部、特に動物からヒトへの種差係数 (10倍) を除外できる可能性があります。しかし、ヒト内の個人差を考慮する係数は、追加の毒物動態・毒性動態データが必要で完全には除けません。また、他の不確実性係数も追加データが求められる場合があります。今後は、従来のリスク評価専門家と最新技術の研究者が協力し、新たな評価方法を検討することが重要です。

Modeling alcohol-associated liver disease in a human Liver-Chip. Cell Reports Volume 36, Issue 3109393 July 20, 2021
Organ Model: Liver
Application: Immunology & Inflammation
<概要>
アルコール性肝疾患 (ALD:Alcohol-associated Liver Disease) は世界的な健康問題であり、進行性の肝障害や合併症、死亡率の増加を引き起こします。人間に適した前臨床モデルが求められる中、本研究ではLiver-Chip Tri-Culture を用い、臨床的に関連する血中アルコール濃度でALD を再現しました。48時間のエタノール曝露により、脂肪蓄積や酸化ストレスなどのALD マーカーを濃度依存的に示し、血中エンドトキシンのような二次的なダメージも評価可能です。特に胆管網の再構築がアルコール性肝毒性の定量的指標となることを示しました。

Utilization of a model hepatotoxic compound, diglycolic acid, to evaluate liver Organ-Chip performance and in vitro to in vivo concordance. Food Chem Toxicol. 2020 Dec:146:111850.
Organ Model: Liver
Application: ADME-Tox
<概要>
MPS は薬物の安全性・毒性評価に有望なモデルとして注目されています。FDA はEmulate 社と協力し、Liver-Chip を規制評価で検証しました。肝毒性物質であるジグリコール酸を1 - 20 mM の濃度でLiver-Chip と従来のマルチウェルプレートで比較した結果、10 mM 以上で両方のプラットフォームで強い細胞毒性が認められ、5 mM ではLiver-Chip で軽度の毒性が見られました。肝細胞機能の低下はLiver-Chip で5 mM、ウェルプレートで1 mM から確認され、ウェルプレートの方が影響が早く強かったです。Liver-Chip は生化学的指標で変動が少なく感度・特異度が高く、効果検出には3 - 4 チップで十分でした。

Reproducing Human and Cross-Species Drug Toxicities Using a Liver-Chip. Science Translational Medicine 6 Nov 2019 Vol 11, Issue 517
Organ Model: Liver
Application: ADME-Tox
<概要>
非臨床のげっ歯類・非げっ歯類モデルは臨床試験での薬物失敗の一因となることがあります。本研究では、ラット、イヌ、ヒトの種特異的肝細胞を用いたマイクロエンジニアリング技術によるLiver-Chip を開発し、生理的な流れの下で培養しました。このLiver-Chip は肝細胞障害、脂肪肝、胆汁うっ滞、線維化など多様な肝毒性表現型や種特異的毒性を検出できました。多種のLiver-Chip は肝毒性の予測や動物実験で得られた毒性のヒトへの関連性評価に有用なプラットフォームとなる可能性があります。

Optimizing Drug Discovery by Investigative Toxicology: Current and Future Trends. ALTEX Apr 10, 2019
Organ Model: Review Article
Application: Toxicology
<概要>
調査毒性学は、医薬品開発における毒性リスクの低減やメカニズム解明を通じて早期の安全性判断を支援する分野であり、近年は記述的手法からエビデンスに基づく機械論的アプローチへと転換しています。これは高コスト・低スループットのin vivo 試験や動物福祉の3R 原則への対応が背景にあります。調査毒性学は規制毒性学の枠を超え、新技術を取り入れてin silico、in vitro、in vivoの橋渡しを強化し、人の反応予測を目指します。適切でない動物モデルによる化合物の早期廃棄を減らし、動物実験に依存しないヒト化in vitro 試験系の開発が期待されています。この分野の推進のため、欧州の製薬業界リーダー14 名がITLF (Investigative Toxicology Leaders Forum) を設立し、CAAT-Europe (Centre for Alternatives to Animal Testing Europe) と連携して専門家との交流を深めるワークショップを開催しました。本記事はその議論をまとめ、調査毒性学の課題と展望を示しています。

Integrated in vitro models for hepatic safety and metabolism: evaluation of a human Liver-Chip and liver spheroid. Organ Toxicity and Mechanisms Volume 93, pages 1021–1037, (2019)
Organ Model: Liver
Application: Toxicology
<概要>
本研究では、従来の2D モデルを超えた肝機能や代謝活性を持つマイクロエンジニアリングされたOrgan-Chip と3D 肝球モデルの2つを比較評価しました。アセトアミノフェン (APAP) とフィアルリジン (FIAU) による毒性を複数のバイオマーカー (ATP、アルブミン、miR-122、α-GST) や代謝機能で検証し、両モデルとも用量・時間依存的に肝毒性を示しました。APAP ではLiver-Chip のアルブミン、肝球のmiR-122 とATP が最も感度が高く、FIAU ではLiver-Chip のアルブミンと肝球のmiR-122 が敏感でした。両モデルは毒性と代謝機能を統合的に示し、臨床濃度での肝毒性評価に有用であることが示されました。

Application of Microphysiological Systems to Enhance Safety Assessment in Drug Discovery. Annual Review of Pharmacology and Toxicology Volume 58:65-82, 2018
Organ Model: Review Article
Application: Toxicology
<概要>
新薬の安全性リスクを早期に検出することは創薬における大きな進歩となります。MPS 技術は、高品質な前臨床生理データを提供し、前臨床から臨床への翻訳を支援する可能性があります。本レビューでは、薬物の安全性や代謝に関わる主要な標的臓器に焦点を当て、これらの臓器向けに開発されたMPS モデルや関連するin vitro モデルの現状と、創薬への応用に向けて克服すべき課題を概説しています。
Poster

Evaluating the Hepatotoxicity of Cannabidiol, Cannabinol, Cannabichromene and Cannabigerol Using a Human Quad-Culture Liver-Chip
<概要>
ヘンプ由来製品の人気が高まる中、カンナビノイドの肝毒性の理解が重要です。これまでの限られた臨床研究では結果が一致せず、安全基準も確立されていません。特にCBN、CBC、CBGの肝毒性はほとんど調査されていません。本研究では、Emulate 社のQuad-Culture Liver-Chip などのMPS を用い、ヒト肝細胞と非実質細胞の相互作用を再現し、CBD、CBN、CBC、CBGの肝毒性をアセトアミノフェンと比較評価しました。7日間の連続曝露で形態変化、肝機能、ミトコンドリア機能、活性酸素種、炎症性サイトカインを解析しました。CBD は高濃度で肝細胞に影響を与え、CBCはアルブミン産生を低下させ、CBD、CBC、CBGは炎症性サイトカインを増加させました。CBG は形態変化が見られませんでした。

On the potential of the Human Liver-Chip as a model of cholestatic toxicity
<概要>
胆汁酸は脂質の消化を助け、肝臓で合成された一次胆汁酸は腸内で二次胆汁酸に変わり、腸肝循環で戻ります。BSEP(Bile Salt Export Pump)は肝細胞から胆汁酸を分泌し、胆汁うっ滞を防ぎます。糖尿病薬トログリタゾンはBSEP を阻害し肝毒性を引き起こしました。本研究では、Emulate社 Liver-Chip Quad-Culture で主要な胆汁酸を投与し、トログリタゾンの影響を評価して薬物性胆汁うっ滞モデルを作成しました。

Evaluating the immunotoxicity of CD137-induced agonism on the Emulate Human Liver-Chip
<概要>
がん免疫療法は急速に発展しているが、治療効果や患者の反応、副作用の予測が困難です。CD137 を標的とするアゴニスト抗体ウレルマブはマウスモデルで高い効果を示すが、臨床試験では1 mg/kg 以上の投与で肝毒性 (主にトランサミナーゼ上昇) が認められ、マウスや非ヒト霊長類の前臨床試験では予測できませんでした。肝毒性のメカニズムは完全には解明されていないが、ヒト化マウスの研究から免疫介在性の薬剤性肝障害が示唆されています。そこで、ヒト末梢血単核球 (PBMC) を用い、リンパ球やNK 細胞、CD137 陽性単球を含む免疫機能を持つ新規Liver-Chip Quad-Culture を作製し、ウレルマブによる肝毒性のモデル化を試みました。

Evaluation of Cannabidiol (CBD) and Cannabinol (CBN) Toxicity in the Human Quad-Culture Liver-Chip
<概要>
カンナビノイドの使用拡大に伴い、カンナビジオール (CBD) とカンナビノール (CBN) の毒性評価の必要性が高まっています。本研究では、Emulate 社のLiver-Chip Quad-Culture を用いて、これら2つの化合物の肝毒性の可能性を評価しました。

Developing a Human Liver-Chip Model for Alcoholic Steatosis
<概要>
非アルコール性・アルコール性脂肪肝疾患は米国で成人の約4分の1に影響し、治療法が不足しています。本研究では、Liver-Chip Quad-Culture にエタノールを投与し、脂肪蓄積や星状細胞の活性化、肝機能指標の変化を評価しました。結果、エタノール濃度と時間依存的に脂肪肝や細胞毒性が示され、ドナー間で反応差も確認されました。

Liver-Chip: A Model for Understanding Diet-Induced Liver Disease and Drug Efficacy Assessment
<概要>
非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD:NonAlcoholic Fatty Liver Disease) は肝臓の脂肪蓄積から進行し、治療開発にはヒトに適したin vitro モデルが求められています。本研究では、ヒトLiver-Chip を用いて、飽和脂肪酸 (パルミチン酸) や不飽和脂肪酸 (オレイン酸) で脂肪肝を誘導し、TGF-β で肝細胞傷害と星状細胞活性化を評価しました。脂肪酸除去で脂肪蓄積が減少し、ACC阻害剤 (firsocostat 類似物) 投与により脂肪蓄積が濃度依存的に抑制されました。

Liver-Chip Model for Determination of Species Differences and Risk Assessment of Hepatotoxicity in Humans
<概要>
薬剤性肝障害 (DILI) は薬剤開発における主要な失敗原因であり、動物モデルや既存のin vitro モデルはヒトでの結果を十分に予測できません。より予測性の高いモデルが求められており、これには生体内の代謝機能を反映する関連細胞種の共存、長期的な細胞生存維持、DILI の多様なメカニズムの再現が必要です。Liver-Chip は高度な工学技術を用いて肝組織の微小環境を制御し、肝細胞と肝洞内皮細胞の相互作用や細胞外マトリックス、血流を再現しています。さらに、ラットや犬のモデルも開発され、種差の薬物動態や毒性、作用機序の評価に活用されています。

Human Liver-Chip for Drug Metabolism and Liver Safety Assessment
<概要>
製薬業界では、薬物代謝、薬物相互作用、薬剤性肝障害 (DILI) をより正確に再現できるヒトモデルのニーズが高いです。従来の2D 肝モデルは生体内の細胞環境を十分に反映できず、臨床での反応を捉えられないことが多いです。本研究では、プライマリーヒト肝細胞、肝洞内皮細胞、クッパー細胞を含み、生理的な血流下で肝臓の細胞構造を再現した血管化ヒトLiver-Chip モデルを用いました。長期的な細胞生存と機能向上が可能で、培養中のバイオマーカーやサイトカインの測定、形態解析も容易です。

Liver-Chip Model for Human Fatty Liver Disease
<概要>
肝脂肪蓄積 (脂肪肝) は薬剤性肝障害、アルコール性 (ASH) および非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の初期段階であり、進行すると肝硬変や肝細胞癌に至る可能性があります。多くの動物実験やin vitro モデルでNASH の分子機構は解明されているが、ヒトへの治療応用は未だ課題です。これに対し、肝細胞、肝洞内皮細胞、クッパー細胞、星状細胞を含む微細加工されたLiver-Chip が開発され、長期的な細胞生存と生体内に近い代謝機能を維持し、薬剤性肝障害の多様なメカニズムを再現可能です。肝特異的機能 (アルブミン分泌、CYP450 活性、遺伝子発現) も従来モデルより優れており、ヒトLiver-Chip は遊離脂肪酸、グルコース、エタノールによる脂肪肝誘導に応答できることが示さました。
Webinar

Regulatory Green Light: Using Organ-on-a-Chip Technology to Meet Evolving FDA Expectations
<概要>
動物モデルはヒト予測が難しく薬剤開発の障害となっていますが、FDA の動物使用削減方針やEmulate 社のLiver-Chip S1 のFDA ISTAND 認定により、Organ-on-a-Chip 技術の規制承認が進んでいます。本ウェビナーでは、Liver-Chip データの規制申請活用法やFDA 認定の意義、動物実験削減との連携について解説します。

Human Liver-on-a-Chip to Predict and De-Risk Next Gen Therapeutics
<概要>
Moderna 社のDr. Samantha Atkins 氏は、Emulate 社のヒトLiver-Chip を用いて脂質ナノ粒子 (LNP) およびmRNA 治療薬の肝毒性メカニズムを予測・解析しています。従来の動物モデルでは非ヒト霊長類や臨床での有害反応を予測しきれないことがありますが、Liver-Chip は線維化の早期遺伝子サインやコラーゲン再構築を特定し、問題のあるLNP を早期に検出可能です。さらに、LNP 由来とmRNA 由来の毒性メカニズム (例:ネクロプトーシス) を区別し、安全な治療設計に役立てています。この技術は動物実験の削減とコスト・時間の節約にも貢献します。

Efficacy Evaluation of AAV-Delivered Liver-Specific Promoters
<概要>
このウェビナーでは、Bayer 社のDr. Rui Sun 氏がEmulate 社のLiver-Chip を使い、肝臓特異的AAV プロモーターの遺伝子導入効率と選択性を評価した事例を紹介しました。Organ-on-a-Chip 技術により、従来の2D 培養より生理的に近い環境で、プロモーターの効果や細胞種別の導入効率、肝疾患モデルでの評価が可能になります。

Organ-Chip Quantitative Analysis: How to Confidently Predict Toxicity of Preclinical Drug Candidates with the Emulate Liver-Chip
<概要>
このウェビナーでは、Emulate 社のLiver-Chip を用いた薬剤性肝障害 (DILI) 予測の新たな定量的枠組みが紹介されました。Liver-Chip データと動物のin vivo データを組み合わせることで、薬剤のDILI リスクを標準的なカテゴリーに分類でき、臨床試験失敗のリスク低減に役立ちます。内容は、Liver-Chip のDILI 予測性能、前臨床ワークフローでの活用場所、定量的評価の活用法、動物データとの統合方法などが含まれています。

Toxicology Assessment with Organ-on-a-Chip Technology
<概要>
このウェビナーでは、Bayer 社のHeidrun Ellinger 博士がEmulate 社のSasha Berdichevski と、肝毒性の兆候により自主的に中止された第2相臨床試験について議論しています。

Towards A More Predictive Model of Human Biology: A Fireside Chat
<概要>
2022年12月に発表された2つの重要な論文とFDA Modernization Act 2.0 の成立により、Organ-on-a-Chip 技術が新薬申請に活用可能となり、動物実験義務が緩和されました。このウェビナーでは、創薬における予測妥当性の重要性や、Emulate 社のLiver-Chip が薬物誘導性肝障害 (DILI) を高精度で予測できること、これにより患者安全性向上や研究開発効率の大幅な改善が期待できる点、そして今後の規制動向について専門家が解説しています。

A Faster, Human-based Approach to AAV optimization with the Emulate Liver-Chip
<概要>
このウェビナーでは、Emulate 社のLiver-Chip を用いて肝臓の遺伝子治療に使われるAAV ベクターの送達効率や毒性を迅速かつ生理的に評価する方法が紹介されました。従来の動物実験や2D 培養の限界を克服し、Liver-Chip はAAV の時間・濃度依存的な遺伝子導入効率の評価、異なるAAV 間の効率比較、毒性評価、血管から標的組織への輸送の検証を可能にし、遺伝子治療の開発加速に貢献します。

Therapeutic Antibody Pharmacology Applications on the Human Liver-Chip
<概要>
このウェビナーでは、Emulate 社のLiver-Chip を用いて肝臓の微小環境を再現し、肝洞内皮細胞 (LSEC) の長期培養と機能維持を実現した事例が紹介されました。特に、治療用抗体の薬物動態評価に重要なCD32B 受容体の発現が、ドナーや細胞の継代数、検出抗体、せん断応力などの条件で変動することが示されました。さらに、Liver-Chip 上で14日間CD32B 発現が維持され、走査型電子顕微鏡でLSEC の特徴的な細孔構造が確認されました。

Predicting Hepatotoxicity with the Liver-Chip
<概要>
このウェビナーでは、Dr. Jonathan Sexton 氏がiPSC 由来のヒト肝臓オルガノイド (HLOs) を用いた薬剤性肝障害 (DILI) リスク予測の評価を紹介しました。Emulate 社のOrgan-Chip と多角的オミクス解析 (メタボロミクス、シングルセルRNAシーケンス、高コンテンツイメージング) を組み合わせ、HLOs はアルブミン産生やCYP450 発現が増加し、DILI を引き起こす薬剤でALT/AST が放出されることを示しました。さらに、HLO Liver-Chip はB 型肝炎治療薬inarigivir の肝毒性を予測し、臨床試験で問題となったtenofovir-inarigivir 併用による肝障害のメカニズムを再現しました。

Predictive Toxicology: Organ-Chips Demonstrate Superior Performance to Animal Models and Spheroids
<概要>
このウェビナーでは、Nature Portfolio のCommunications Medicine に掲載された論文「Performance assessment and economic analysis of a human Liver-Chip for predictive toxicology」のデータをもとに、Emulate 社のLiver-Chip が薬剤性肝障害 (DILI) 予測において高い感度 (87%) と特異度 (100%) を示したことを紹介しました。27種類の薬剤を用いた blinded テストでの結果で、従来の動物モデルや肝臓スフェロイドより優れた予測性能を持ちます。経済分析では、この技術の導入により小分子薬の研究開発生産性が向上し、年間30億ドルの経済効果が期待されると示されました。ウェビナーでは、予測妥当性の重要性、IQ MPS ガイドラインとの比較、Liver-Chip の導入可能な開発段階などについても解説しています。
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