半導体光触媒
半導体光触媒とは
半導体光触媒とは、太陽光エネルギーと水を利用することで水素と酸素を発生させる光触媒です。光照射により光触媒中で電子(e⁻)および正孔(h⁺)に分離します。放出された電子は水を還元して水素、放出された正孔は水を酸化して酸素を生成することが推測した反応機構として知られています。
半導体光触媒による水分解の主な課題は、高いエネルギー効率の実現です。様々な光触媒が開発されてきましたが、太陽光エネルギー変換効率は3%程度です¹⁾。この課題の解決法が光触媒の高活性化であり、現在も盛んに研究がされています。光触媒の高活性化には結晶表面の制御や助触媒の担持などが効果的ですが、最近ではZスキーム型光触媒というのも注目されています。通常は単一の光触媒から水素と酸素を発生させますが、Zスキーム型光触媒は水素発生触媒と酸素発生触媒の2種類の光触媒と電子伝達剤などを組み合わせることで反応速度が向上し、水分解反応が進行することが知られています(図1-2)。単一の光触媒よりシステムが複雑になりますが、2種類の光触媒に分けることで、少ないエネルギーで酸化・還元反応が進行かつ波長領域も広げられることから現在注目されている技術です。
参考文献
- 堂免一成, 瀬戸山享監修:「光触媒/光半導体を利用した人工光合成」p.185, ((株)エヌ・ティー・エス出版) (2017).
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