同仁化学 リソソーム pH 検出キット(Green/Deep Red)
リソソームは不要な物質を分解することで生体内恒常性の維持に寄与しています。リソソームの機能不全は神経変性疾患等の発症•進展に深く関与していることから、リソソームを詳細に解析することが病態の解明や治療薬の開発に有用であると考えられています。
最近の研究では、神経変性疾患アルツハイマー病のモデルマウスでリソソーム内部の酸性度が低下することでオートファゴソーム内部の老廃物の分解ができなくなり、毒性のアミロイドβが蓄積されることがわかってきており※、リソソームの pH を確認する必要性が高まっています。
既存試薬では、単一の色素の蛍光輝度のみで議論するため、リソソームの量が変動したのか、機能（pH）が変動したのかを判別することが困難でした。
本キットは、2 種類の色素を組み合わせて、リソソーム pH と量を同一サンプルで測定することでリソソーム機能の詳細な解析が可能になります。
特長
- リソソームのpH変化を正確に検出
- リソソームの量とpHを同時解析できるオールインワンキット
- 蛍光顕微鏡・フローサイトメーターでの測定可能
- 赤色と共染色可能(キットは緑色と紫色を採用)
「pH 」と「量」~2 つの変化で見えること~
本キットは、リソソームへの特異性が高く pH に依存的な蛍光の変動を示す pHLys Green (酸性条件でリソソームを検出)とpH 抵抗性のLysoPrime Deep Red (pHに依存せずリソソームを検出) が含まれています。その2 種類の色素を組み合わせて、リソソーム pH と量を同一サンプルで測定することでリソソーム機能の詳細な解析が可能になります。
| 試薬 | リソソームの検出 | リソソームについてわかること | |
|---|---|---|---|
| 酸性条件 | 中性条件 | ||
| pHLys Green | 〇 | × | pHの変化 |
| LysoPrime Deep Red | 〇 | 〇 | 量の変化 |
既存試薬との比較
同仁化学のリソソーム検出色素シリーズは、既存の染色色素に比べ選択的にリソソームへ集積し 24 時間以上染め続けます。これらの色素を組み合わせて使用することで、リソソームの量と pH をより正確に確認することができます。既存試薬との比較データは HP に掲載しています。
| リソソーム pH 検出キット(Green/Deep Red) | リソソームpH検出キット Red/Green (関連製品) |
T 社 | T 社 | |||
| 色素 / 波長 | pHLys Green Ex=488 nm Em=490-550 nm |
LysoPrime Deep Red ※ Ex=633 nm Em=640-700 nm |
pHLys Red ※ Ex=561 nm Em=560-650 nm |
LysoPrime Green ※ Ex=488 nm Em=500-600 nm |
リソソーム pH センサー |
リソソーム 染色試薬 |
| 用途 | pH | 量 | pH | 量 | pH | 量 |
| リソソーム pH 依存性 |
〇 | × 応答しない |
〇 | × 応答しない |
△ | △ |
| リソソーム 特異性 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ |
| リソソーム 滞留性 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ |
| 利用装置 | 蛍光顕微鏡•FCM | 蛍光顕微鏡•プレートリーダー | 蛍光顕微鏡 | 蛍光顕微鏡 | ||
※単品もラインアップしています。詳細は「関連製品一覧」をご参照ください。
実験例 ~Bafilomycin A1 を用いたリソソームpH 変化のイメージング・FCM 解析~
HeLa 細胞を用いて、リソソーム酸性化阻害剤 Bafilomycin A1（Baf. A1）で処理した際のリソソームの量と pH 変化を検出しました。LysoPrime Deep Red の蛍光は、Baf. A1 添加にかかわらず殆ど変化しませんが、pHLys Green は Baf. A1 添加に伴うリソソーム中性化により蛍光の低下が確認されました。またフローサイトメーターでも検出が可能でした。このことから、Baf. A1 添加によりリソソーム機能は低下するもののリソソームの量には影響がないことが判りました。
製品一覧
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