RNA抽出

植物組織のRNA抽出・精製キット

ISOSPIN Plant RNA

ISOSPIN Plant RNA (アイソスピン プラント RNA) は、植物組織からRNA を抽出・精製するためのキットです。本キットは、カオトロピックイオン存在下でRNA がシリカへ吸着する原理を応用しており、フェノールやクロロホルムを使用しません。使用するスピンカラムは、カラム容積を最大限確保しており、内封されたシリカメンブレンは、充分なRNA 吸着容量と高い溶出効率を確保しています。

本キットでは、夾雑物を遠心分離により除去する方法とシリカメンブレン上でのDNase I 処理を採用しており、約1 時間で高純度のRNA を抽出・精製できます。

Assist Buffer for ISOSPIN Plant RNA

本製品は、植物組織からのRNA抽出キット「ISOSPIN Plant RNA」専用のオプションバッファー (補助試薬) です。キットのみでは抽出困難な植物試料からでもISOSPIN Plant RNA のPT-Extraction Buffer に本製品を加えるだけで、高収量、高純度なRNAを抽出することができるようになります。

特長

  • 高純度RNA
    遠心分離による夾雑物の除去とシリカメンブレン上でのDNase I 処理により高純度なRNA抽出が可能です。
  • フィルターによる前処理が不要
    試料のホモジナイズやろ過を目的としたフィルター処理を必要としません。本キットは遠心分離により夾雑物を沈殿して除去します。
  • フェノール、クロロホルムが不要
    フェノールやクロロホルムなどの毒性有機溶媒は使用しません。
  • DNase I 添付
    DNase I (RNase free) がキットに含まれているため、別途購入の必要はありません。
  • 抽出困難な植物試料 (松葉やバラ) にはAssist Buffer添加
    いままで困難だったマツ (葉)、バラ (葉、花弁)、ツバキ (葉)、ブドウ (果肉、外皮) などからも効率よくRNA抽出可能です。

プロトコール

  • 標準プロトコール (Assist Buffer なし)

    ISOSPIN_Plant_RNAのプロトコル
  • オプションプロトコール (Assist Buffer あり)

    ISOSPIN_Plant_RNAのプロトコル_Assist Buffer

RNA収量の目安

試料 RNA収量
ホウレンソウ (葉) 0.5 µg RNA / mg tissue
ブロッコリー (芽生え) 1.0 µg RNA / mg tissue
キャベツ (種子) 1.3 µg RNA / mg tissue
キャベツ (芽生え) 1.4 µg RNA / mg tissue
キャベツ (葉) 0.1 µg RNA / mg tissue
タケ (葉) 0.3 µg RNA / mg tissue
チューリップ (球根) 0.2 µg RNA / mg tissue

シロイヌナズナの葉からのRNA抽出(RNA品質の比較)

ISOSPIN Plant RNA およびA社RNA抽出キットを用いて、シロイヌナズナの葉から各社プロトコールに従いRNAを抽出した。抽出したRNAの品質を、バイオアナライザ (Agilent Technologies社) によるRIN値の測定、アガロースゲル電気泳動、および吸光度測定により比較した。

吸光度測定結果とRIN値

  • 抽出キット A260 / A280 A260 / A230 RNA収量
    (ng / mg tissue)
    RIN値
    ① A社 1.95 1.13 72 7.8
    ② ISOSPIN Plant RNA 2.35 2.69 79 7.5

    ※n=2

  • 抽出RNAの吸光度測定結果とRIN値



    Lane ① : A社キットで抽出したRNA
    Lane ② : ISOSPIN Plant RNAで抽出したRNA
    各100 ngずつ電気泳動 in 1% Agarose

RNAの吸光スペクトル

抽出RNAの吸光スペクトル

結果

ISOSPIN Plant RNAで抽出したRNAは、A社キットで抽出したRNAと比べて、より高品質であることが確認できた。また電気泳動では、各サンプルの吸光度に基づき同じRNA量を泳動しているが、ISOSPINで抽出したRNAはバンドが濃く、高純度であることが示唆された。

ISOSPIN Plant RNAを用いた他の抽出例はニッポンジーンのホームページよりご参照下さい。

ISOSPIN Plant RNAとAssist Buffer for ISOSPIN Plant RNAの併用によるRNA抽出効率の改善

RNA抽出が困難な植物組織から、ISOSPIN Plant RNAのみ、またはISOSPIN Plant RNAとAssist Buffer for ISOSPIN Plant RNAを併用してRNA抽出を行い、抽出したRNA溶液の吸光スペクトルを比較した。

RNA抽出効率の改善

結果

ISOSPIN Plant RNAだけではRNA抽出が困難な植物組織において、Assist Buffer for ISOSPIN Plant RNAと併用することにより、RNAの収量や純度を改善することができた。

効果が確認された植物組織

ISOSPIN Plant RNAとAssist Buffer for ISOSPIN Plant RNAの併用によりRNA抽出効率の改善が確認された組織

  • 植物組織 収量の目安
    マツ (葉) 0.1 µg RNA / mg tissue
    バラ (葉) 50ng RNA / mg tissue
    バラ (花弁) 80ng RNA / mg tissue
    ツバキ (葉) 70ng RNA / mg tissue
    ミカン (外皮) 80ng RNA / mg tissue
    カキ (果肉) 30ng RNA / mg tissue
    ブドウ (果肉) 10ng RNA / mg tissue
    ブドウ (外皮) 50ng RNA / mg tissue
  • 植物組織 収量の目安
    バナナ (果肉) 15ng RNA / mg tissue
    コチョウラン (葉) 20ng RNA / mg tissue
    シクラメン (葉) 0.1µg RNA / mg tissue
    イチゴ (葉) 0.1µg RNA / mg tissue
    トマト (果肉) 25ng RNA / mg tissue
    トマト (種子) 60ng RNA / mg tissue
    チャ (葉) 0.6µg RNA / mg tissue

※ISOSPIN Plant RNAだけではRNA抽出が困難な植物組織

Q & A

Q:RNA抽出効率が悪い場合の改善方法はありますか。

A
試料のホモジナイゼーションまたは溶解が不十分だと、PT Extraction Buffer (植物用) に触れていない細胞内部でのRNA分解が進みます。組織の摘出を素早くすることと、効果的にホモジナイズすることが重要です。

Q:ISOSPIN Plant RNAで抽出したRNAをRNA-seq解析に使用した実績はありますか?

A
東京大学植物病理学研究室の以下論文にて、RNA-seq解析のRNA抽出に本キットをご使用いただいております。
Tokuda R, Nishikawa M, Hosoe N, Nijo T, Iwabuchi N, Yoshida T, Watanabe K, Maejima K, Yamaji Y, Namba S. (2019) Complete Genome Sequence of a Carrot Torradovirus 1 Isolate, Obtained from Angelica. Micorobiology. 8 (15): e00110-19

製品一覧

  • 項目をすべて開く
  • 項目をすべて閉じる

関連製品一覧

  • 項目をすべて開く
  • 項目をすべて閉じる

植物からのDNA抽出

穀物からのDNA抽出

加工食品からのDNA抽出

  • 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
  • 掲載されている製品について
    【試薬】
    試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
  • 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
  • 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。