Negishi Cross Coupling
根岸クロスカップリング反応
有機リチウム化合物・Grignard試薬を用いたクロスカップリング(熊田-玉尾-Corriuクロスカップリング)を複雑化合物合成へと適用すると、有機金属試薬自体が持つ反応性の高さにより、副反応を生じ好ましくないケースが多々あります。塩化亜鉛(ZnCl2)へとトランスメタル化させ、有機亜鉛試薬にしてからクロスカップリングを行うと、温和な条件で反応が行えます。
反応性は一般に良好であり、アルキル(sp3)亜鉛化合物も用いることができます。官能基受容性も高い反応です。
有機亜鉛の代わりに有機アルミニウム、有機ジルコニウムを用いる反応も根岸カップリングと呼ばれます。
本記事はWEBに混在する化学情報をまとめ、それを整理、提供する化学ポータルサイト「Chem-Station」の協力のもと、ご提供しています。
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反応機構
基本的な反応機構は他のパラジウムカップリングと共通です。(参考:J. Am. Chem. Soc., 129, 3508 (2007).)
反応例
Scabronine Gの合成1)
βヒドリド脱離が速くこれまで適用の難しかった2級アルキルハライドを用いても、クロスカップリング反応が進行する触媒系が開発されています。以下の例はFuらによって報告された不斉根岸カップリングへの展開です。2)
参考文献
- Waters, S. P., Tian, Y., Li, Y.-M. and Danishefsky, S. J. : J. Am. Chem. Soc., 127, 13514 (2005). DOI: 10.1021/ja055220x
- Arp, F. O. and Fu, G. C. : J. Am. Chem. Soc., 127, 10482 (2005). DOI: 10.1021/ja053751f
基本文献
- King, A. O., Okukado, N. and Negishi, E. : J. Chem. Soc., Chem. Commun., 683 (1977). DOI: 10.1039/C39770000683
- Negishi, E., King, A. O. and Okukado, N. : J. Org. Chem., 42, 1821 (1977). DOI: 10.1021/jo00430a041
- Negishi, E. : Acc. Chem. Res., 15, 340 (1982). DOI: 10.1021/ar00083a001
- Erdik, E. : Tetrahedron, 48, 9577 (1992). doi:10.1016/S0040-4020(01)81181-9
- Knochel, P. and Singer, R. D. : Chem. Rev., 93, 2117 (1993). DOI: 10.1021/cr00022a008
- Negishi, E. et al. : Aldrichimica Acta, 38, 71 (2005).
- Pd-Catalyzed Cross Coupling in Total Synthesis: Nicolaou, K. C., Bulger, P. G. and Sarlah, D. : Angew. Chem. Int. Ed., 44, 4442 (2005). doi:10.1002/anie.200500368
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