組織脱灰液シリーズ

骨や石灰化巣等の硬組織の薄切切片を作製する場合、そのままミクロトーム刀で薄切するのは困難です。そのため、石灰を除去する脱灰操作を行います。この操作では、組織内の炭酸カルシウムを酸等で分解して軟らかいカルシウム塩にし、薄切を容易にします。脱灰剤は以下の条件を満たす必要があります。

  • 脱灰が速く完了すること
  • 組織の染色性に影響がないこと
  • 操作ができるだけ単純であること
  • 脱灰によって組織の膨化、収縮、溶解等による変形等の傷害が起こらないこと

操作手順

組織片の厚さ : 5 mm厚以下が望ましい。
脱灰液量 : 1 gに対し100 mL以上
脱灰処理の温度 : 基本は室温で行って下さい。温度を上げると脱灰速度が上がりますが、組織への損傷が著しくなります。
脱灰液B(中性EDTA)では30 ℃で行われる事が多く、また56 ℃でも組織は原形を保ち染色性もほぼ変わらないと報告されています。
中和 : カルキトックス™、脱灰液A(プランク・リュクロ処方)、塩酸、硝酸で脱灰を行った際には、5 % 硫酸ナトリウム溶液による中和が必要です。
中和時間は脱灰時間に要した時間での処理が一般的ですが、早くしたい場合は少なくとも半日は処理して下さい。中和後は十分に水洗いして硫酸ナトリウムを除去して下さい。
その他のコツ : 適度に撹拌することで脱灰速度が上がります。1日2~3回撹拌する程度で向上します。

カルキトックス™

本製品はプランク・リュクロ処方脱灰液、キレート剤処方脱灰液の各特性を備えた脱灰液です。

使用法

脱灰時間は室温で約1晩です。組織の大きさにより多少異なります。

低温脱灰(4 ℃冷蔵庫内1晩~2晩)を推奨します。脱灰完了後は、硫酸ナトリウム溶液で数時間~1晩中和処理し、十分水洗してください。

その後は、脱水・中間剤処理・パラフィン包埋へと工程を進めてください。

特長

  • 脱脂と脱灰が同時に可能
  • 低温脱灰(4 ℃)が可能
  • 免疫染色が可能

組成

塩酸、EDTAを主成分として調製しています。

染色例

  • 図1. 大腸がん(腺がん)の骨転移(x 10)
    左 : HE 染色, 右 : アルシアン青・PAS 染色
  • 図2. 大腿骨に発生した骨肉腫(x 20)
    左上 : マッソン・トリクローム染色 左下 : 鍍銀染色,
    右 : 酵素抗体法(上 : オステオカルシン, 下 : オステオネクチン)

脱灰液A、B

脱灰法 脱灰液 組成 特長
迅速脱灰法 脱灰液A
(プランク・リュクロ処方)
・塩化アルミニウム・・7.0 g
・塩酸・・・・・・・・8.5 mL
・ぎ酸・・・・・・・・5.0 mL
 蒸留水で全量100 mLにする。
・脱灰時間 : ぎ酸、硝酸の約3倍
・抗原性の保持は良くない
・5 % 硫酸ナトリウムにて中和が必要
中性脱灰法 脱灰液B
(EDTA処方)
0.5 mol/L EDTA溶液(pH7.0~7.5)を主成分とする。 ・組織に対する損傷が少ない
・構造や染色性の保存が良い
・免疫組織染色に最適
・脱灰に長時間を要する

染色例

脱灰液A 脱灰液B
HE染色 12時間完全脱灰、骨の厚さ10 mm

脱灰時間は速い
5日間完全脱灰、骨の厚さ3 mm

脱灰時間は遅い
免疫組織染色 12時間完全脱灰、骨の厚さ3 mm

CEA抗原部分は損失
5日間完全脱灰、骨の厚さ3 mm

CEA抗原部分の保持は良い

モールス液

中性EDTA溶液の脱灰と比べ8倍程度速く脱灰が可能で、免疫染色やin situ hybridizationにおいてもEDTAと遜色がないと報告されています。

組成

  • 22.5 % ぎ酸
  • 10 % くえん酸ナトリウム

染色例

ラット鼻腔 HE染色

製品一覧

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