同仁化学 Good's Buffer シリーズ
生体成分の分離・精製や組織培養を行なうにあたっては、溶液内のpH をー定に保つ必要があります。適当な弱酸とその共役塩基の混合溶液がpH 緩衝液として利用されています。陸生生物の生体成分のpH は通常6.5~7.5 で、海生生物とくに海藻類はpH8 程度であるため、生化学用途としてはpH6~8 の範囲を緩衝できるものでなければなりません。
Goodらは生化学緩衝剤としての望ましい条件を考慮して、Zwitter ion 構造をもつ各種のアミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸誘導体を合成し、その有用性を明らかにしました。
分子生物学研究に用いる緩衝液は、実験内容に応じてDNaseやRNaseなどbuffer中に検出されないことも必要です。同仁化学では、生化学や分子生物学の研究で汎用されるbufferおよびbuffer調整時に必要なキレート剤など取り揃えております。
特長
- 水に良く溶け、濃厚な緩衝液が作成可能
- 生体膜を透過しにくい
- 酸解離平衡が濃度、温度、イオン組成の影響を受けにくい
- 金属イオンとの錯形成能が小さい
- 化学的に安定で、再結晶による高純度精製が可能
- 可視、紫外部に吸収を持たないために、目的成分の検出が容易
Good‘s Bufferの利用最適pH範囲
Good’s Buffer緩衝液の調製法
(1) ADA、PIPES、POPSO の場合
(A) 0.1 mol/l モノナトリウム塩溶液調製(1000 ml)
ADA、PlPES、POPSO の遊離酸は難溶のためモノナトリウム塩溶液を調製して使用する。 ADA 19.026 g(PlPES 30.237 g、POPSO 39.846 g)とNaOH(水酸化ナトリウム)4 g を脱イオン水300~400ml に完全に溶解した後、脱イオン水で全量を1000 ml とする。
--- A液とする。
(B) 0.1 mol/l NaOH 溶液調製(1000 ml)
NaOH 4 g を脱イオン水200~300 ml に溶解した後、脱イオン水で全量を1000 ml とする。
--- B液とする。
(C) 緩衝液の調製
A液25 ml にB 液0 ml、5 ml、10 ml、15 ml、20 ml を加えた時のpH(20℃)が表(1)のとおりである。 A液に希望のpH になるようにB 液を加える。
(2) Bis-Tris の場合
(A) 0.1 mol/l Bis-Tris 溶液調整(250 ml)
Bis-Tris 5.231 g を脱イオン水で溶解し、全量を250 ml とする。
--- A 液とする。
(B) 0.1 mol/l HCl 溶液調整(250 ml)
塩酸2.25 ml(0.9115 g HCl)を脱イオン水で溶解後、全量を250 ml とする。
--- B 液とする。
(C) 緩衝液の調製
A液25 ml にB 液0 ml、5 ml、10 ml、15 ml を加えた時の20℃における各々のpHが表(2)のとおりである。A液に希望のpHになるようにB液を加える。
(3) (1)、(2)以外のもの
(A) 0.1 mol/l 遊離酸溶液調製(1000 ml)
ACES 18.22 g を脱イオン水300~400 ml に完全に溶解した後、脱イオン水で全量を1000 ml とする。
--- A 液とする。
*他の化合物については次のとおりである。
製品情報
メーカーコード | 品名 | 和光コード | 容量 | 製品概要 |
---|---|---|---|---|
GB01 | ACES | 347-04882 | 25 g | 水に溶け、0.22 mol/l(0℃)で飽和する。pKa=6.90、pH6.0~7.5の緩衝液を作るのに適する。 |
349-04881 | 100 g | |||
GB02 | ADA | 346-04732 | 25 g | 遊離酸の状態では水には溶けない。pKa=6.60、pH5.8~7.4の緩衝液を作るのに適する。 |
348-04731 | 100 g | |||
GB03 | BES | 341-00262 | 25 g | 水によく溶け、3.2 mol/l (0℃)で飽和する。pKa=7.15、pH6.6~8.0の緩衝液を作るのに適する。 |
347-00264 | 100 g | |||
345-00265 | 500 g | |||
GB04 | Bicine | 347-03282 | 25 g | 遊離酸も水には溶ける(1.1 mol/l、0℃で飽和)。pKa=8.35、pH7.7~9.1の緩衝液を作るのに適する。 |
343-03284 | 100 g | |||
GB05 | Bis-Tris | 343-04742 | 25 g | 水によく溶ける。pKa=6.46(20℃)とTrisより酸性側に移動し、その緩衝領域もpH5.7~7.3の範囲に適する。 |
345-04741 | 100 g | |||
GB06 | CAPS | 347-00482 | 25 g | 水に溶け、0.8 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒には溶けない。pKa=10.40、pH9.7~11.1の緩衝液を作るのに適する。 |
343-00484 | 100 g | |||
GB07 | CHES | 342-04692 | 25 g | 水に溶ける。pKa=9.5、pH8.6~10.0の緩衝液を作るのに適する。 |
GB09 | EPPS | 348-03192 | 25 g | 水によく溶け、2.5 mol/l(0℃)で飽和する。pKa=8.0、 pH7.5~8.5の緩衝液を作るのに適する。 |
GB80 | EPPS 分子生物学用 | 347-08341 | 20 g | DNase,RNase試験(不検出)、エンドトキシン試験を行なっており、かつ純度99.5%以上を保証したものである。 |
GB10 | HEPES | 348-01372 | 25 g | 水によく溶け、2.25 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒にはほとんど溶けない。pKa=7.55、pH6.8~8.2の緩衝液を作るのに適する。 |
346-01373 | 100 g | |||
340-01371 | 250 g | |||
342-01375 | 500 g | |||
340-01376 | 1 Kg | |||
GB70 | HEPES 分子生物学用 | 340-08233 | 20 g | RNase、DNase、エンドトキシンを規格に加えた製品である。 |
344-08231 | 100 g | |||
346-08235 | 500 g | |||
GB60 | HEPES buffer solution | 345-06681 | 100 ml | 細胞培養用緩衝液のストック溶液として使用できる。 本品は0.2 μmフィルターろ過滅菌を行なっており、pHは水酸化ナトリウムにて調整した。容器には耐圧ガラス瓶を使用しており、オートクレーブ滅菌も可能である。 |
GB11 | HEPPSO | 340-04132 | 25 g | 水によく溶け、2.2 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒には溶けない。pKa=7.9、pH7.4~8.6の緩衝液を作るのに適する。 |
GB12 | MES | 341-01622 | 25 g | 水には溶けるが、TES、HEPES に比較すれば溶解度は小さく、 0.65 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒には溶けない。 pKa=6.15、pH5.5~7.0の緩衝液を作るのに適する。 |
349-01623 | 100 g | |||
343-01621 | 250 g | |||
345-01625 | 500 g | |||
343-01626 | 1 Kg | |||
GB81 | MES 分子生物学用 | 344-08351 | 20 g | RNase、DNase、エンドトキシンを規格に加えた製品である。 |
GB13 | MOPS | 349-01802 | 25 g | 水にはよく溶けるが、有機溶媒には溶けない。 pKa=7.2、pH6.5~7.9の緩衝液を作るのに適する。 |
345-01804 | 100 g | |||
341-01801 | 250 g | |||
343-01805 | 500 g | |||
341-01806 | 1 Kg | |||
GB61 | MOPS buffer solution | 342-06691 | 100 ml | ノーザンブロッテイングのための電気泳動用ストック溶液として便利である。 本品は0.2 μmフィルターろ過滅菌を行なっており、pHは水酸化ナトリウムにて調整した。容器には耐圧ガラス瓶を使用しており、オートクレーブ滅菌も可能である。 |
GB71 | MOPS 分子生物学用 | 347-08243 | 20 g | RNase、DNase、エンドトキシンを規格に加えた製品である。 |
341-08241 | 100 g | |||
343-08245 | 500 g | |||
GB14 | MOPSO | 341-04162 | 25 g | 水に溶け、0.75 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒には溶けない。pKa=6.95、pH6.2~7.4の緩衝液を作るのに適する。 |
GB15 | PIPES | 341-02222 | 25 g | 水には遊離酸の状態ではあまり溶けない(1 g/l,100℃)。ナトリウム塩はよく溶けて、1.4 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒には溶けない。pKa=6.80、pH 6.1~7.5の緩衝液を作るのに適する。 |
347-02224 | 100 g | |||
345-02225 | 500 g | |||
GB72 | PIPES 分子生物学用 | 344-08253 | 20 g | RNase、DNase、エンドトキシンを規格に加えた製品である。 |
348-08251 | 100 g | |||
340-08255 | 500 g | |||
GB25 | PIPES sesquisodium | 340-08032 | 25 g | PIPESの1.5ナトリウム塩。PIPESは通常遊離酸の状態であり水にはあまり溶けない(1 g/l, 100℃)が、本品は水によく溶ける。有機溶媒には溶けない。pKa=6.80、pH6.1~7.5の緩衝液を作るのに適する。 |
GB16 | POPSO | 344-04152 | 25 g | 水にはほとんど溶けないが、モノナトリウム塩は極めてよく溶ける。pKa=7.85、pH7.2~8.5の緩衝液を作るのに適する。 |
GB17 | TAPS | 344-02572 | 25 g | 水にはかなりよく溶けるが、有機溶媒には溶けない。 pKa=8.40、pH7.7~9.1の緩衝液を作るのに適する。 |
340-02574 | 100 g | |||
GB18 | TES | 346-02652 | 25 g | 水によく溶け、2.6 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒にはほとんど溶けない。pKa=7.50、pH6.8~8.2の緩衝液を作るのに適する。 |
344-02653 | 100 g | |||
340-02655 | 500 g | |||
GB19 | Tricine | 341-02842 | 25 g | 水に溶け、0.8 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒には溶けない。pKa=8.15、pH7.8~8.8の緩衝液を作るのに適する。 |
347-02844 | 100 g | |||
GB20 | TAPSO | 348-04172 | 25 g | 水によく溶け、1.0 mol/l(0℃)で飽和する。有機溶媒には溶けない。pKa=7.7、pH7.0~8.2の緩衝液を作るのに適する。 |
関連製品
メーカーコード | 品名 | 和光コード | 容量 | 製品概要 |
---|---|---|---|---|
MB01 | 0.5M EDTA | 347-07481 | 1 L | |
MB04 | 10x TBE | 344-07511 | 1 L | 0.89 mol/l Tris-borate, pH 8.3(±0.1、25℃), 20 mmol/l EDTA |
MB08 | 10x TE(pH 8.0) | 344-07555 | 500 mL | 0.1 mol/l Tris-HCl, pH8.0(±0.1、25℃), 10 mmol/l EDTA |
MB10 | 1M Tris-HCl | 348-07575 | 500 mL | pH8.0 (±0.1、25℃) |
製品一覧
- 項目をすべて開く
- 項目をすべて閉じる
分子生物学用Good’s Buffer (DNase,RNase:不検出、エンドトキシン:試験適合)
一般タイプGood’s Buffer
- 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
- 掲載されている製品について
- 【試薬】
- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
- 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
- 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。