iPS/ES細胞培養用基材

マトリクソーム iMatrixシリーズ

iMatrix(アイマトリックス)は、ラミニンをベースとした細胞外基質です。iPS/ES細胞など多能性幹細胞の培養用足場材としてご使用いただけます。
iMatrix-511は、iPS/ES細胞およびMSC(間葉系幹細胞)を効率良く維持/拡大培養できます。その他のiMatrix製品は、多能性幹細胞の分化誘導を促進します。

iMatrix_マトリクソーム_ニッピ

iMatrix-511 / iMatrix-511 silk :多能性幹細胞の維持・拡大培養

iMatrix-511
iMatrix-511_silk

iMatrix-511とiMatrix-511 silkは、細胞、ES細胞、MSC(間葉系幹細胞)の維持培養および拡大培養用の培養基質です。
ラミニン511E8断片の高純度精製品です。

  • フィーダーフリーで培養が可能
  • シングルセルでの継代が可能
  • hES/hiPS細胞の拡大培養が容易に可能
  • コーティング不要の添加法プロトコルあり
  • EDTAで細胞を剥離可能

iMatrix-511とiMatrix-511 silkの違い

どちらもヒトラミニン511E8断片の組換え体ですが、iMatrix-511はCHO-S細胞、iMatrix-511 silkはカイコを用いて発現しています。性能は同等です。iMatrix-511 silkは、遺伝子組換えカイコ生産系の特徴である高い生産性を活かし、低価格での販売が実現しました。

比較表 iMatrix-511 iMatrix-511 silk
原料 CHO-S細胞の培養上清 カイコ繭
製品グレード 試験研究用* 試験研究用
製品容量 350μL/tube
濃度 0.5μg/μL
保存温度 冷蔵
有効期限 製造後2年間

*別途臨床用グレードの用意あり

iMatrix-511が使用された文献例

文献情報 詳細
ヒト多能性幹細胞(hPSC) の樹立 ・培養技術
Miyazaki et al, Nat. Commun. 3:1236, (2012) hPSCの培養基質としての有用性を実証
Nakagawa et al, Sci. Rep. 4:3594, (2014) 医療グレードのhPSCを樹立
Takashima et al, Cell. 158(6):1254-69, (2014) hPSCの基底状態への移行に貢献
Miyazaki et al, Sci. Rep. 7:41165, (2017) コーティング操作が不要の添加法でhPSCを培養
Sekine et al, Stem Cell Res. 24:40-43, (2017) 疾患特異的のhPSCを樹立
Tan et al, Stem Cell Res. 24:12-15, (2017) 疾患特異的のhPSCを樹立
hPSCから分化誘導した細胞
Doi et al, Stem Cell Reports. 2(3):337-50, (2014) ドパミン産生神経細胞
Ishikawa et al, Hum. Mol. Genet. 25 (23): 5188-5197, (2016) ドパミン産生神経細胞
Nishimura et al, Stem Cell Reports. 6(4):511-524, (2016) ドパミン産生神経細胞
Samata et al, Nat. Commun. 7:13097, (2016) ドパミン産生神経細胞
Kikuchi et al, Nature. 548(7669):592-596, (2017) ドパミン産生神経細胞
Morizane et al, Nat. Commun. 8(1):385, (2017) ドパミン産生神経細胞
Kikuchi et al. J. Neurosci. Res. 95 (9):1829-37, (2017) ドパミン産生神経細胞
Goparaju et al, Sci. Rep. 7:42367, (2017) 運動ニューロン
Burridge et al, Nat. Methods. 11 (8):855-60, (2014) 心筋細胞
Hayashi et al, Nature. 531(7594):376-80, (2016) 視覚系細胞
Hayashi et al, Nat. Protoc. 12(4):683-696, (2017) 角膜上皮細胞
Takayama et al, BBRC. 474(1):91-96, (2016) 胆管上皮細胞
Takayama et al, Hepatology Commun. (2017) 肝実質細胞
Camp et al, Nature. 546 (7659):533-38, (2017) 胚体内胚葉細胞
Musah et al, Nat.Biomed.Eng. 1:0069, (2017) 糸球体上皮細胞
Kawamura et al, Stem Cell Reports. 6(3):312-20, (2016) *心筋細胞に分化するためのhPSCを培養
Sasaki et al, Cell Stem Cell. 17(2):178-94, (2015) *生殖系細胞に分化するためのhPSCを培養
Kojima et al, Cell Stem Cell. 21(4):517-532, (2017) *生殖系細胞に分化するためのhPSCを培養
Furuta et al, PLoS One. 9 (12):e112291, (2014) * 間葉系細胞に分化するためのhPSCを培養
ヒト初代細胞の培養
Okumura et al, Invest. Ophth. Vis. Sci. 56 (5):2933-42, (2015) ヒト角膜内皮細胞
Hongo et al, Invest. Ophth. Vis. Sci. 58 (9):3325-34, (2017) ヒト角膜縁上皮前駆細胞
Polisetti et al, Sci. Rep. 7(1):5152,(2017) ヒト角膜縁上皮前駆細胞
ラミニン-インテグリン間相互作用の分子メカニズム
Ido et al, J. Biol. Chem. 282(15): 11144-54, (2007)
Ido et al, J. Biol. Chem. 283(42): 28149-57, (2008)
Taniguchi et al, J. Biol. Chem. 284(12): 7820-31,(2009)
Taniguchi et al, BBRC. 487(3): 525-531,(2017)
Takizawa et al, Sci Adv. 3 (9) e1701497, (2017)

iMatrix-411 :iPS細胞を血管内皮細胞へ分化誘導

iMatrix-411

iMatrix-511で培養したiPS細胞をiMatrix-411で培養することで、血管内皮細胞への分化誘導を促進します。フィーダーフリーで培養できます。
CHO-S細胞で発現させたヒトラミニン411-E8断片の高純度精製品です。

血管内皮細胞への分化誘導

ES細胞[KhES-1]由来の
血管内皮細胞
ES細胞 [KhES-1] 由来の血管内皮細胞:iMatrix-411を用いた血管内皮細胞への分化誘導 Ohta R et al., Scientific Reports, 6(35680), 1-12, 2016.
iPS細胞[253G4]由来の
血管内皮細胞
 iPS細胞 [253G4] 由来の血管内皮細胞:iMatrix-411を用いた血管内皮細胞への分化誘導
CD31
: 血管内皮細胞
Ac-LDL
: 血管内皮細胞に取り込まれたコレステロール
DAPI
: 核

iMatrix-332 :iPS細胞を角膜上皮細胞へ分化誘導

 iMatrix-332

iPS細胞の角膜上皮細胞への分化誘導に有用な細胞外基質です。全長ラミニン332と同等のインテグリン結合活性を示します。また、ラミニン332に接着する細胞 (ケラチノサイトなど) の培養にも有用です。ヒトラミニン332のインテグリン結合部位を含むE8フラグメント領域をCHO-S細胞に発現させた組換えタンパク質です。ラミニン-332は、ケラチノサイトや角膜に存在し、インテグリンα3β1やα6β4タンパク質に結合します。

iMatrix-332を用いた角膜上皮細胞への分化誘導
*ラミニン-332E8は、ラミニン-332E8領域の断片でiMatrix-332の主成分です。

Stem Cell Reports. Apr 14;14(4):663-676. PMID: 32197114
Cell Rep. Nov 6;25(6):1668-1679.e5. PMID: 30404017

iMatrix-221 :心筋細胞・骨格筋細胞の純化・維持培養

iMatrix-221

iMatrix-221を培養容器にコーティングすることで、心筋や骨格筋細胞の分化誘導および維持培養を可能にします。
iMatrix-221は、ヒトラミニン221のインテグリン結合部位(E8フラグメント)をCHO-S細胞に発現させた組換えタンパク質です。全長ラミニン221と同等のインテグリン結合活性を示します。また、ラミニン221に接着するその他の細胞の培養にも有用です。

iMatrix-111 :ヒトiPS細胞を肝芽細胞様細胞へ分化誘導

 iMatrix-332

iMatrix-111は、ヒトiPS細胞の肝芽細胞および肝細胞様細胞への分化誘導に有用な細胞外基質です。
ヒトラミニン-111タンパク質のE8領域(インテグリン結合部位含む)を高純度に精製した製品です。ラミニン-111は肝臓に存在し、インテグリンα7X2β1やα6β1タンパク質に結合します。肝臓組織の機能維持に関わるとされています。

 iMatrix-111を用いた肝芽細胞様細胞への分化誘導
ヒトiPS細胞の肝芽細胞および肝細胞様細胞への誘導

Easy iMatrix-511 / Easy iMarix-511 silk :希釈不要のコーティング溶液

Easy_iMatrix-511_Easy_iMarix-511_silk

Easy iMatrix-511およびEasy iMatrix-511 silkは、希釈操作不要のiMatrix-511です。
あらかじめ細胞培養基質として適切な濃度に調製されています。

iMatrixの使用方法:コーティング法と添加法

添加法~コーティングしない便利な方法~

細胞懸濁液にiMatrx-511/-511silkを添加して播種するだけなので、操作が簡単で低コスト化に貢献します。
添加法は2ステップで、従来のコーティング法と同じ効果が得られ、コーティング法で生じてしまうことが多い、コーティングのムラが発生しません。

※対応製品: iMatrix-511, iMatrix-511 silk

詳しいプロトコル・情報はこちらからご確認ください。

ラミニンとは?

ラミニンとは
ラミニン511 (Laminin-511, 分子量800kDa )は多能性幹細胞(ES/iPS細胞)が足場とする基底膜の主要成分であり、細胞表面のインテグリンα6β1と結合します。
ラミニン511はα鎖、β鎖、γ鎖から構成されている非常に大きなタンパク質で、容易に組換えタンパク質を作製することはできません。
iMatrix-511は、細胞表面のインテグリンα6β1と結合する最小構成部位「ラミニン511E8断片(Laminin-511E8 fragment, 分子量150kDa)の組換え体です。

製品一覧

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  • 掲載されている製品について
    【試薬】
    試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
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