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【テクニカルレポート】Presep®-C PFC を使用したパーフルオロ化合物の分析

本記事は、和光純薬時報 Vol.76 No.3(2008年10月号)において、和光純薬工業 試薬研究所 吉田 貴三子が執筆したものです。

パーフルオロ化したふっ素化合物であるパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)は、近年、野生生物や人への蓄積が進んでいること、広く環境中に残留していることが明らかになり、地球環境汚染の要監視項目として注目されています。国内では化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律で第2種監視物質に指定されています。国際的には2005年、『ストックホルム条約』において、PFOSは残留性有機汚染物質(POPs)として追加提案され、2009年には廃絶または制限への勧告が報告される見通しで、国内でもPFOSは第1種特定化学物質に指定される見込みです。

筆者らは、パーフルオロ化合物(PFCs)の分析方法を検討し、本誌Vol.75 No.4(2007)に"Wakopak®を使用したパーフルオロ化合物のLC/MS/MS分析"を紹介しました。今回、環境水中のPFOS、PFOAの前処理に有効なPresep®-C PFC(Short)を開発しましたので、その有用性を紹介します。

PFOA、PFOSの微量分析は、前処理した試料をLC/MS/MSで分析する測定法が有効な手段となっています。そこで、試料の前処理にPresep®-C PFC(Short)を、LC/MS/MS分析にWakopak® Navi C 18- 5を組合せた分析系を構築し、LC/MS用超純水1,000 mLにPFCs標準品を添加した時の標準添加回収率の測定と河川水への応用を検討しました。その時の前処理法を図1に、LC/MS/MS 分析条件を図2に示しました。その結果、LC/MS 用超純水に添加した標準品の回収率は、PFOA 88%、PFOS 86%と良好な結果が得られ、他6種類の有機ふっ素化合物(PFCs:PFHxS、PFDS、PFNA、PFDA、PFUnDA、PFDoDA)においても76%から96%の良好な回収率を得ました。

図1.固相抽出条件
図2.LC/MS/MS 条件

表1に各成分のMRM検出イオンと標準添加回収率及び大阪近辺の河川Aから採水した水中のPFCsの濃度をまとめて示し、図3、4に標準液と河川水のクロマトグラムを示しました。河川Aからは、PFDSを除く7成分が検出され、LC/MS/MSによる測定で各検出イオンにおいて他に溶出するピークもなく良好に測定することができました。なお、環境水を取扱う際には、固相抽出カラムの通液性を確保する目的で、グラスフィルターによるろ過が有効な方法となります。

表1.
Peak No. Sample Name Q1 / Q3 標準添加回収率(%) 河川A の濃度 ng/L
1 PFHxS 398.8/ 79.6 amu 76 5
2 PFOS 498.8/ 79.6 amu 86 39
3 PFDS 598.9/ 79.9 amu 91 0
4 PFOA 412.9/368.9 amu 88 38
5 PFNA 462.7/418.8 amu 96 8
6 PFDA 512.9/469.0 amu 91 4
7 PFUnDA 562.9/519.0 amu 90 11
8 PFDoDA 612.9/568.9 amu 89 27
図3.PFCs 8 成分混合標準液 5 ng/mL,注入量5 µL
図4.河川A の水 1,000mL→ 2mLに濃縮、注入量5µL (N2ガスによる濃縮は省略)

以上、水試料の前処理にPresep®-C PFC(Short)を、LC/MS/MS分析にWakopak® Navi C18-5、2.0 x 150mmを使用した分析例を紹介しました。これらは、水道水、水道水源水、環境水のパーフルオロ化合物の分析に有用な商品と考えており、今後もより多くの成分を対象とした一斉分析法の検討を進め、有用な情報をご提供していきたいと考えます。

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