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[12/20発売] 細胞外小胞の大量精製用カラム・バッファー 
MassivEV™ EV Purification Column PS / MassivEV™ Purification Buffer Set

富士フイルム和光純薬株式会社(本社:大阪市中央区、社長:吉田 光一)は、間葉系幹細胞※1などを培養した際に得られる上澄み溶液(細胞培養上清)から、エクソソームなどの細胞外小胞(extracellular vesicles : EV)を高純度・高効率に大量精製するためのカラム「MassivEV™ EV Purification Column PS」と、専用のバッファー6種類セット「MassivEV™ Purification Buffer Set」を2023年12月20日より発売します。

EVは、細胞が放出する脂質二重膜の小胞体で、脂質、核酸、タンパク質など様々な生理活性物質を内包しています。中でも、間葉系幹細胞などが分泌するEVは、様々な疾患に対して治療効果を示すことや、美容や健康を促進することが報告され、医療分野の他、化粧品や食品の分野においても研究開発が活発に行われています。特に、高い品質が求められる医療分野では、医薬品製造プロセスに適用できる高純度で高効率なEVの大量精製ニーズが高まっています。

今回発売する「MassivEV™ EV Purification Column PS」と「MassivEV™ Purification Buffer Set」は、安全性試験や薬理試験に十分な量となるリッタースケールの細胞培養上清から、EVを簡便に精製することができる製品です。抗体医薬品の製造過程で一般的に使用される精製手法である「アフィニティー法」※2の原理を応用し、金沢大学の華山教授と共同開発した「PSアフィニティー法」※3を採用しています。それにより、複数回の精製工程を必要とする従来のEV大量精製法※4と比べてより高純度なEVを高効率にワンステップで精製することができます。

今後当社は、商業製造への適用を視野にいれ、生物由来原料基準※5やISO20399※6への準拠や、さらなるスケールアップに向けて開発を推進していきます。

当社は、企業活動のベースとなる「次の科学のチカラとなり、人々の幸せの源を創造する」という理念のもと、社会や顧客ニーズに応える高機能・高品質な製品を開発・提供し、学術研究、産業、医療の幅広い分野の発展に貢献していきます。

※1 間葉系幹細胞は、骨や軟骨、血管、心筋細胞等に分化できる能力をもつ細胞。 
※2 特定の分子間の特異的な相互作用を利用して目的の分子を選択的に捕捉・分離する手法。
※3 EVの膜成分のホスファチジルセリン(PS)に特異的に結合するTim4タンパク質 (T-cell immunoglobulin domain and mucin domain-containing protein 4) を利用した精製法。カルシウムイオン依存的にPSに結合するTim4タンパク質の性質を利用し、担体に固相化したTim4タンパク質に、カルシウムイオン存在下でサンプル中のEVを捕捉させます。その後洗浄操作により夾雑物質を排除した後、EV Elution Buffer(キレート剤)を添加することによって担体上のTim4タンパク質からEVをダメージの少ない状態で溶出精製する手法です。
※4 従来の大量EV精製は、ろ過をベースとしたTFF (Tangential Flow Filtration)法、AEX(Anion-Exchange Chromatography: 陰イオン交換クロマトグラフィー)法、SEC (Size Exclusion Chromatography:サイズ排除クロマトグラフィー)法等が組み合わされ用いられています。
※5 厚生労働省告示第 37 号。医薬品等に使用されるヒト・その他の生物(植物を除く)に由来する原料等(添加剤、培地等として製造工程において使用されるものを含む)について、製造に使用される際に講ずべき必要な措置に関する基準。
※6 国際標準化機構(ISO)において定められた「細胞治療製品の製造時に使用する補助材料」に関する国際規格。
  • MassivEV™ EV Purification Column PS

  • MassivEV™ Purification Buffer Set