抗体作製試薬

抗体は免疫動物に免疫原となる分子を注射して動物内で産生させます。免疫動物に効率的に抗体を産生させるためには、特異的免疫応答の産出を高める操作が必要です。当社は、抗体作製において広く利用されるキャリアタンパク質やアジュバントをはじめとする試薬を取り揃えています。

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学術コンテンツ

抗体は目的の分子に特異的に結合するタンパク質です。このような結合特異性はライフサイエンス分野における研究をはじめ、現在では医療や診断の分野においても広く利用されています。抗体は生物が有する生体防御機能を利用して産生されるタンパク質であり、動物を利用して作製されています。

抗体は病原体などの異物が生体内に侵入した際に免疫系細胞であるB細胞から産生されるタンパク質です。抗体は抗原となる異物に特異的に結合し、これが排除される応答に貢献します。このように抗原に対して特異的に結合するという性質を持つ抗体は、1970年代より研究においても広く利用されるようになりました。抗体は免疫化学染色やウエスタンブロッティング、フローサイトメトリーといったライフサイエンス分野において不可欠な手法に利用されています。

抗体はマウスやハムスター、ウサギ、ロバ、ヤギなどの動物に対して抗原としたい物質を免疫原として連続的に摂取することにより産生させます。しかしながら、抗原の種類によっては抗体が産生されにくい場合もあり、状況に合わせて免疫原の摂取方法を選定することが必要です。

アジュバントによる免疫応答の促進

抗原性が弱い免疫原の場合は、マクロファージの抗原捕捉能を上昇させるアジュバントが有効です。アジュバントを免疫原に混合することにより抗体作製の効率が増強されますが、これは免疫応答の非特異的な促進や注入物質の沈殿および隔離の促進により抗体応答の向上を可能にします。
アジュバントには完全フロイントアジュバントと不完全フロイントアジュバントがあります。完全フロイントアジュバントは、初回接種時に使用され、その後の接種には不完全フロイントアジュバントが使用されます。フロイントアジュバントは高い効果が得らえる一方で、マイコバクテリア (死菌) が含まれるため、対象動物に対して毒性が見られる場合があります。
そのような状況に対して、フロイントアジュバントの代替物質として水酸化アルミニウム溶液も広く利用されています。水酸化アルミニウム溶液は完全フロイントアジュバント に比べて応答が弱い反面、毒性を低減させることが可能です。

キャリアタンパク質とは?

また、薬剤などの小さな分子を抗原とする抗体を作成する際にはキャリアタンパク質が用いられます。キャリアタンパク質とは、サイズが不十分、あるいは構造が単純であるため免疫応答が起きないハプテンを抗体産生に使用する場合に利用されるタンパク質です。キャリアタンパク質と結合させることによりサイズの増大、複雑性が向上して免疫応答が生じるようになります。キャリアタンパク質にはウシ血清アルブミンが広く利用されています。