包埋剤
動物組織は柔らかいため、そのままでは薄切することが困難です。包埋剤は組織を適度な硬さにするために使用されます。光学顕微鏡ではパラフィン包埋が、電子顕微鏡では各種樹脂による包埋が一般的に使用されますが、包埋の代わりに凍結法を利用する場合もあります。当社では、組織浸透性を向上させた精製パラフィンであるパソプレップや非脱灰硬組織 (骨・歯) の樹脂包埋剤のオステオレジン包埋キット、電子顕微鏡用エポキシ樹脂などを取り扱っております。
製品ラインアップ
学術コンテンツ
パラフィン包埋
ホルマリンで固定した組織中の水分をパラフィンに置換することで組織を適度な硬さにします。パラフィン切片の特長は保存性に優れることで、光学顕微鏡レベルの永久標本を作製する際に使用されます。また1~10 μm程度の比較的薄い切片を得ることができるというメリットもあります。一方で、包埋の過程で抗原性が低下することがあり、包埋に時間がかかるというデメリットもあります。
樹脂包埋
電子顕微鏡用の包埋剤にはエポキシ樹脂をはじめ各種の樹脂が使われています。エポキシ樹脂系の包埋剤は硬化剤や重合触媒、加速剤などの種類や添加量をコントロールすることにより、硬さを調節することができます。包埋用の樹脂は次のような条件が要求されます。
- 重合の際に収縮しない。
- モノマーは取り扱いやすく、組織内に浸透しやすい。
- 透明で、なるべく色がついていない。
- 重合したものは電子線に強い。
- 適当な硬さの重合体をつくりやすい。
- 薄切しやすい。
当社では、組織浸透性を向上させた精製パラフィンであるパソプレップや非脱灰硬組織(骨・歯)の樹脂包埋剤のオステオレジン包埋キット、電子顕微鏡用エポキシ樹脂などを取り扱っております。
参考文献
高田邦昭, 斎藤尚亮, 川上速人 編, 第5版 実験医学別冊 染色・バイオイメージング実験ハンドブック, 羊土社, 2012
高橋英機 監修, 大久保和央 著, 細胞・組織染色の達人, 羊土社, 2018