CHIR99021
CHIR99021は、選択性の高いGSK-3 (glycogen synthase kinase 3) 阻害剤です。CDKs (Cyclin-Dependent kinases) に対して交差性を示しません。
ヒトES/iPS細胞から神経細胞、心筋細胞、肝細胞、網膜細胞、膵島β細胞、腎小胞細胞、ネフロン前駆細胞等への分化誘導工程で使用されます。
当社では、創薬・再⽣医療の基礎研究向けに開発されたISO9001管理品、ICH-Q7 (原薬GMP) に準拠した再生医療等製品の商業生産向けの製品をなどを取り扱っています。
下記の「CHIR99021製品 比較表」より、各製品の試験項目をご覧いただけます。

C22H18Cl2N8=465.34
CHIR99021の特徴・作用
CHIR99021は、強力なglycogen synthase kinase 3 (GSK3) 阻害剤であり、アミノピリミジン誘導体に分類される化合物です。GSK3β (IC50 = 6.7 nM) およびGSK3α (IC50 = 10 nM) の両方を阻害します (Ring D, et al.,2003)。
GSK3阻害剤は、Wnt/β-Catenin 経路内の GSK-3 の活性を抑制し、β-カテニンの分解を阻害することで、β-カテニンの核内移行を促進します。2004年にSatoらが、GSK-3の阻害を介したWnt経路の活性化がマウスおよびヒト胚性幹細胞の多能性維持に重要な役割を果たすことを示して以来 (Sato N, et al., 2004)、このシグナル経路に関連する阻害剤や活性化剤の開発が盛んに行われてきました。中でもBIOやSB-216763、CHIR98014が代表的なGSK-3阻害剤として知られていますが、特にCHIR99021は細胞毒性が低く、Wnt/β-カテニン経路の活性化能が高いことが特徴です。
CHIR99021は体細胞のリプログラミング、多能性幹細胞の維持、細胞増殖の促進、さらには特定の組織細胞への分化誘導まで、幅広い用途に使用されています。

CHIR99021の主な使用用途
未分化維持および自己複製
- LIF存在下でPD0325901と併用することで、未分化のマウスES細胞の維持を促進する (Ying QL, et al., 2008)。
- マウスおよびヒトの腸管幹細胞の増殖を促進する (Wang F, et al., 2013)。
- Wnt3a、Kenpaulloneと併用することで、NODマウス由来ES細胞の増殖を促進する (Hanna J, et al., 2009)。
リプログラミング
- Forskolin、Tranylcypromine、Valproic Acid、3-Deazaneplanocin A、E-616452と共に用いることで、マウス胎児線維芽細胞の化学的リプログラミングを可能にする (Hou P, et al., 2013)。
- 非感受性マウス系統から多能性幹細胞の誘導が可能 (Garbutt TA et al., 2020)。
- OCT4および他の低分子化合物と組み合わせることで、ヒト体細胞のiPS細胞へのリプログラミングを促進する (Zhu S, et al., 2010)。
- Forskolin、ISX-9、SB431542、I-BET151と組み合わせて、マウス線維芽細胞から成熟ニューロンへの直接リプログラミングを行う (Li X, et al., 2015)。
分化誘導
- ヒトiPS細胞からのインスリン産生細胞への分化を促進する (Kunisada Y, et al., 2012)。
- ヒトES細胞およびiPS細胞からの心筋細胞分化を促進する (Lian X, et al., 2012)。
- SB431542およびヒト組換えLIFと併用し、ヒトES細胞から原始神経幹細胞の誘導と維持を行う (Li W, et al., 2011)。
CHIR99021製品 比較表
複数のタイプのCHIR99021製品を取り揃えています。使用用途に合わせてお選びください。
| ICH-Q7 | ISO9001 | 無菌 試験 |
生菌数 試験 |
動物由来 原料 不使用 |
エンド トキシン 試験 |
マイコ プラズマ 否定試験 |
残留 溶媒 試験 |
粉体/ 液体 |
使用 文献※ |
|
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CHIR99021(GMP準拠) | ✓ | ✓ | - | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | 粉体 | - |
| CHIR99021,MF | - | ✓ | - | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | - | 粉体 | - |
| CultureSure® CHIR99021 | - | ✓ | - | - | ✓ | ✓ | ✓ | - | 粉体 | |
| CultureSure® 10mmol/L CHIR99021 DMSO溶液,動物由来物フリー | - | ✓ | ✓ | - | ✓ | ✓ | ✓ | - | 液体 |
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製品概要
CHIR99021 (GMP準拠)
ICH-Q7(原薬GMP) に準拠した再生医療等製品の商業生産向けの原材料です。
GMP管理体制で製造されています。
生菌数試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験、残留溶媒試験を行っています。
- GMP管理体制による文書化
- プロセスバリデーション、分析バリデーションの実施
- 動物由来原料不使用
CHIR99021, MF
ISO9001管理の再生医療等製品の商業生産向けの原材料です。
自主規格に基づいて管理された設備で製造されています。
エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験、生菌数試験などを実施済みです。
- プロセスバリデーション、分析バリデーション、洗浄バリデーションの実施
- 動物由来原料不使用
CultureSure® CHIR99021
創薬・再生医療の基礎研究向け、動物由来原料不使用のISO9001管理品です。
エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験を実施済みです。
CultureSure® 10mmol/L CHIR99021 DMSO溶液,動物由来物フリー
CHIR99021をDMSOで10 mmol/Lに調製した動物由来原料不使用のISO9001管理品です。
無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験を行っています。
0.1 μmフィルター滅菌済みのため、そのまま培地等に添加して使用いただけます。
物性情報
| CAS RN® | 252917-06-9 |
|---|---|
| 分子式 | C22H18Cl2N8 |
| 分子量 | 465.34 |
| Purity (HPLC) |
CHIR99021 (GMP-compliant) : ≧99.5% CHIR99021, MF : ≧98.0% CultureSure®CHIR99021 : ≧97.0% |
| 別名 | 6-{2-[4-(2,4-ジクロロ-フェニル)-5-(5-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-エチルアミノ}-ニコチノニトリル |
各種用語について
GMP
GMPとは、Good Manufacturing Practiceの略称で、医薬品等の製造管理や品質管理の基準であり、医薬品等の製造業者が守るべきものです。
GMPは、以下の3つの要件から成り立っています。
- 1)人為的な誤りを最小限にすること
- 2)医薬品の汚染及び品質低下防止すること
- 3)高い品質を保証するシステムを設計すること
ICH-Q7(原薬GMP)
ICHとは、医薬品規制調和国際会議 (International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticalsfor Human Use) の略称で、医薬品規制当局と製薬業界の代表者が協働して、医薬品規制に関するガイドラインを科学的・技術的な観点から作成する国際会議です。
そのガイドラインの中でもICH-Q7 (原薬GMP) は、原薬に関する製造管理及び品質管理の実施について、その標準的なあり方を示したものです。
ISO9001
ISOとは非政府機関、国際標準化機構 (International Organization for Standardization) の略称で、ISOが制定した規格をISO規格といいます。ISO規格は、製品の製造・プロセスの管理・サービスの提供・材料の供給などに関して定められた基準で、専門家によって国際的に合意されたものです。
ISO9001は、品質管理システムを対象とした規格です。顧客が一貫して適切な品質の製品とサービスを入手できるよう、多くの企業や組織がISO9001の認証を取得しています。
使用例
CHIR999021は、iPS細胞およびES細胞の分化誘導に使用されます。文献で報告されている最新の知見に基づき、当社製品の使用例をご紹介します。
神経
心筋
呼吸器
膵臓
参考文献
CHIR99021の作用メカニズムなどについては以下の文献をご参照下さい。
| CultureSure® CHIR99021 |
|---|
| Kitai, Y., et al.: J. Gen. Virol., 106, 002131 (2025). Changes in ORF4 of HCoV-229E under different culture conditions |
| Nakata, Y., et al.: iScience., 28,114105 (2025). Mpox virus OPG175 negatively regulates viral replication by controlling Wnt signaling |
| Umei, TC., et al.: iScience., 28, 112843 (2025). Serine synthesis pathway regulates cardiac differentiation from human pluripotent stem cells |
| Soma, Y., et al.: iScience., 27, 111234 (2024) Metabolic changes of human induced pluripotent stem cell-derived cardiomyocytes and teratomas after transplantation |
| Katayama, M., et al.: PLoS One, 18, e0285356 (2023). Organoids containing neural-like cells derived from chicken iPSCs respond to poly:IC through the RLR family |
| Moriwaki, T., et al.: Cell Rep. Methods, 3, 100666 (2023) Scalable production of homogeneous cardiac organoids derived from human pluripotent stem cells |
| CultureSure® 10mmol/L CHIR99021 DMSO溶液,動物由来物フリー |
|---|
| Inage, Y., et al.: Int J. Mol. Sci., 25, 4793 (2024). Fetal Kidney Grafts and Organoids from Microminiature Pigs: Establishing a Protocol for Production and Long-Term Cryopreservation |
| Yamasaki, S., et al.: iScience, 25, 103657 (2021). A Genetic modification that reduces ON-bipolar cells in hESC-derived retinas enhances functional integration after transplantation |
CHIR99021をはじめ、低分子化合物を使用した下記の研究に関する文献は、再生医療研究用 培養用化合物カタログにてご覧いただけます。
- リプログラミング効率向上
- 細胞の増殖と未分化能維持
- 分化誘導
- オルガノイド培養
製品一覧
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- 掲載されている製品について
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- 【医薬品原料】
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