変異原性のない核酸染色用試薬

ニッポンジーン CLEAR STAIN Blue

本品はアガロースゲル電気泳動後の核酸を染色するための試薬です。
本品は核酸を青色に染色し可視化するため、検出用の装置を必要としません。また臭化エチジウム(EtBr)のような変異原性はなく、取り扱いは非常に安全で容易です。

【使用上の注意】

  • 電気泳動の際には 6 x Loading Buffer Orange G など、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が含まれていないローディングバッファーを使用してください。
    ローディングバッファーに SDS が含まれているとゲルに染色されない丸い領域ができることがあります。
  • CLEAR STAIN Blue 原液に塩が混ざると色素が析出して使用できなくなります。塩を含む溶液が付着した器具などを原液につけないようにしてください。
  • 容器に色素が付着するため、染色用容器(タッパーなど)は本品専用としてください。衣服等に本品が付着しないようご注意ください。

製品内容

特長

  • 検出感度はEtBrと同程度
  • 変異原性はなく、非常に安全
  • 専用の検出用装置を必要としません

使用回数

200 mlの染色液を調製する場合、20 ml のCLEAR STAIN Blueを180 ml の水に加えて撹拌します。10倍に希釈した染色液は使用頻度にもよりますが、数日から1週間以内であれば数回繰り返し使用できます。

使用例

使用の際には水(蒸留水、またはイオン交換水)または、泳動バッファー(1 x TAE, 1 x TBE)で10倍に希釈してください。アガロースゲルの大きさに合わせて、適当な大きさの容器(タッパー等)*1を準備します。ゲルが染色液に完全に浸る量を調製します。

*1 青色色素は容器に付着します。染色用容器は本品専用としてください。本品に接触するもの(容器や使い捨てスポイト等)は、色素が付着してもよいものを使用してください。

使用例1 アガロースゲルの染色とDNAの検出

CLEAR STAIN Blue の染色条件
染色時間: 10分間
脱色方法: 40℃程度のお湯に入れ、2時間脱色、お湯を取り換え、一晩脱色
電気泳動条件
1.5 % Agarose S ゲル、100V 45分電気泳動
Lane 1: Gene Ladder Wide 1 (5 μl)
Lane 2-10: PCR産物
Lane 11: PCR溶液(鋳型なし)
Lane 12: Gene Ladder Wide 1 (5 μl)

使用例2 エチジウムブロミド(EtBr)とCLEAR STAIN Blue との比較

染色液として、CLEAR STAIN Blue を10倍に希釈した溶液と、EtBr Solution を 0.6 μg/mlに調製した溶液を用意した。
約6 kbpのプラスミドDNAを制限酵素で切断し、6 x Loading Buffer Orange G を加えたあと1% Agarose S ゲルにアプライした (下図矢印: 400, 200, 100, 50, 25, 10 ng) 。 マーカーは、Gene Ladder Wide 1 を 5 μl アプライした (下図 M)。
電気泳動後のアガロースゲルを取り出し、各染色液の中に10分間沈めて染色し、溶液から取り出したゲルを40℃程度のお湯の中に2時間沈めて脱色を行った後、写真撮影した。

使用例3 脱色の経時変化

電気泳動したアガロースゲルを10倍希釈したCLEAR STAIN Blueの染色液で10分間染色したあと、40℃程度のお湯に浸して脱色した。

上図:12ウェルのアガロースゲルを、染色直後、脱色15分後、30分後、2時間後、一晩後に撮影
下図:6ウェルのアガロースゲルを、染色直後、脱色15分後、一晩後に撮影

Q & A

脱色時間を短くするためシェーカー等で振とうした方がよいですか?
脱色は静置で問題なく進みます。また、振とうでゲルの割れ、欠けなど生じる可能性があるため、ニッポンジーンでは静置で実施しています。
より早く脱色したい場合はこまめに高めのお湯(60℃以下)を交換する方が早いです。
染色時間が長くなると、脱色時間も長くなります。
バンドを見やすくする方法はありませんか?
アガロースゲルの厚さを薄くし、脱色時間を長くすると見やすくなります。
上図: 一晩脱色した後のゲルを写真撮影
下図: バンドを見やすくする工夫の一例
実験例

12ウェルのアガロースゲルを1% Agarose S(30 ml)で作製した。 電気泳動後、染色10分、60℃のお湯で脱色を行った。 * お湯の温度が高い方が早く脱色しますが、60℃以上のお湯を使用するとゲルが溶ける恐れがあるためご注意ください。

脱色15分後には25 ng以上のバンドを確認でき、脱色2時間後には10 ng以上のバンドを確認できた。

備考:

脱色時間が長すぎるとバンドがぼやける場合もあります。目的フラグメントのサイズ、ゲル濃度や厚み、染色時間にもよりますが、脱色時間は一晩よりも3-4時間程度の方がバンドが見えやすい傾向があります。

アガロースゲルの厚さは、アガロース濃度や強度、サイズによりますが、なるべく薄く(3-5 mm程度)すると見やすくなります。

発砲スチロールの箱にラップを張って、その上にゲルを載せるとバンドが見やすいです。

CLEAR STAIN Blueで染色後、ゲルから切り出したDNAはクローニングに使用できますか?
CLEAR STAIN Blueで染色したDNAは、切り出し・クローニングに問題なく使用できます。また、EtBr/UV処理したものと比較しても同等以上の形質転換効率を得ています。また、一晩脱色したあとのゲルから切り出したDNA断片からも、問題なく形質転換できることを確認しております。
実験例
  1. プラスミドGFP-pUC18を制限酵素EcoRIで切断し、等量ずつ1% Agarose Sゲルに電気泳動した。
  2. CLEAR STAIN Blue希釈溶液とEtBr溶液(0.6 μg/ml)で10分間染色、10分間脱色した後、目的のバンドを切り出した。 この時、EtBr染色したゲルには30秒間紫外線を照射し、この時間以内に切だしを行った。
  3. 切り出したアガロースゲル断片からISOSPIN Agarose GelでDNAを抽出し、エタノール沈殿を行った。
  4. 抽出したインサートDNA(50 ng)、プラスミドベクター(25 ng)、2X Ligatin Mixでtotal 10μlの反応溶液を調製し、ライゲーション(16℃、5分)を行った。
  5. 反応後の溶液 1 μlをECOS competent E.coli JM109(100 μl)に形質転換した(ECOS 6分間プロトコル)。形質転換後、20μlをそれぞれLBプレート(アンピシリン 50 μg/ml)に塗布し、37°Cでインキュベートした。
結果
緑色蛍光タンパク質GFP遺伝子を持つDNA断片をCLEAR STAIN Blue染色ゲルから回収した後、プラスミドベクターにクローニングし、大腸菌に導入した。形質転換した大腸菌の菌体内でGFP 遺伝子が発現し、プレートに紫外線を照射すると大腸菌が緑色に発光した。 また、EtBr染色ゲル(UV照射30秒間)から回収したDNA断片と比較しても、形質転換効率は同等であった。

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