ニッピ 低エンドトキシン ゼラチン
ニッピ社は世界をリードするコラーゲン研究のパイオニアとして、半世紀以上にわたりコラーゲンの研究を行っています。独自の製法を用いることで、エンドトキシン濃度を低く抑えたゼラチン試薬の開発に成功しました。ニッピ社では、これら試薬をお使いいただいた基礎研究から、臨床研究使用へ向けたご相談・各種対応までサポート可能です。
エンドトキシンとは
グラム陰性菌の細胞壁を構成するリポ多糖です。Lipopolysaccharide とも呼ばれ、通称LPSと呼ばれています。エンドトキシンは代表的な発熱物質 (pyrogen) であり、pg (10-12g) や ng (10-9g) という微量でも血中に入ることで、発熱や炎症などの種々の生体反応を引き起こします。またエンドトキシンは耐熱性が非常に高く、完全に失活させるためには250℃以上で30分以上の乾熱滅菌が必要となり、ひとたび混入してしまうと除去することは容易ではありません。したがって生体内に直接投与される医薬品や医療機器、そして再生医療等製品においては、原材料からのエンドトキシン持ち込みを最小限にすることが重要となります。
メディゼラチン(HMG-BP)
ゼリー強度に優れ、物理的強度を必要とする用途にも最適です。コラーゲンの共有結合がほとんど分解していない分子量約100kのα鎖が主成分のゼラチンです。ブタ皮をアルカリ処理して精製したゼラチンです。製造工程中にウイルス不活化工程及び0.2 µmのメンブレンろ過を含みます。ゼリー強度に優れ(250g以上)、物理的強度を必要とする医療用途に最適です。皮内反応試験および抗原性試験は陰性です。原薬等登録原簿(マスターファイル)(MF)に登録済みです(228MF40025)。
特長
- 豚皮由来
- 皮内反応試験院生/抗原性試験院生
- ウイルス不活性化
- 日本薬局方「精製ゼラチン」適合
- 高ゼリー強度(250 g以上)
- 低エンドトキシン 10 EU/g以下
用途
再生医療におけるスキャフォールドの原料、ドラッグデリバリーの基材として最適です。
マクロファージの培養液中にエンドトキシンを添加すると、マクロファージが活性されNO(一酸化窒素)が生産されます。活性化したマクロファージはこの地にもTNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインを生産し、これらは生体内において発熱を起こす原因となります。
マウスマクロファージを用いた生物的試験
方法
セルライン:RAW264.7(マクロファージ様細胞) 培地:DMEM+10%FBS 細胞を1日培養した後、ゼラチンを添加し、一定時間培養を行った。その後、上清を回収し、各サイトカインを測定した。
結果
マウスマクロファージに1%のHMG-BPを添加してもTNF-αやIL-6といった炎症性サイトカインは分泌されなかった。
動物実験
- 徐放用DDS(ドラッグデリバリーシステム)の基材
- 組織のスキャフォールド
- 細胞移植の安定化
低エンドトキシンゼラチンは、例えば以下の物質とインジェクション可能です。
- 各種細胞
- DNA/RNA
- bFGF,TGF-β1,BMPsのようなタンパク質
- ハイドロキシアパタイト
ハイグレードゼラチンAP
ブタ皮由来の非ゲル化グレードのゼラチンです。
タンパク系製剤の安定化剤として、広く実績があります。
特長
- 豚皮由来
- 日本薬局方「精製ゼラチン」適合
- 低エンドトキシン 0.2 EU/mg以下
参考文献
“メディゼラチン HMG-BP”
- 局所止血剤:ゼラチン2層シート
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低エンドトキシンゼラチン
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