ケモジェネティクスに有用なリガンド

Tocris DREADDリガンド

Tocris社では、DREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)に対するリガンドを取り扱っています。
DREADDは、遺伝子変異を加えたGタンパク質共役受容体(GPCR)であり、本来の内在性リガンドとは反応せず、人工的に合成されたリガンド(デザイナーリガンド/デザイナー薬剤)にのみ活性化されます。また、DREADDは、野生型の受容体と機能的には類似していることが報告されています。特定の細胞にDREADDを発現させることで、シグナル伝達を操作することができるので、GPCRシグナル伝達研究に有用です。

DREADDリガンドのシグナル伝達作用メカニズム

DREADDリガンドのGαq-DREADDsへの結合は、ニューロンの発火を引き起こすのに対し、Gαi-DREADDsへの結合は、ニューロンの活動を抑制します。クロザピンN-オキシド二塩酸塩およびDREADDアゴニスト21は、非選択性ムスカリンDREADDアゴニストであり、発現された特定の受容体によりニューロンの活動を活性化または抑制できます。サルビノリンBは、Gαiシグナリングに連結するKORD受容体選択的であるので、ニューロンの活動を抑制します。

Clozapine N-oxide

クロザピン(製造元コード:0444)の代謝物です。in vitroにおいて、ヒトムスカリンデザイナー受容体(DREADDs)を活性化します。in vitroにおいて、hM4 DREADDsを発現する海馬ニューロンを抑制します。マウスにおいて、脳室内投与によりGs-linked DREADDs-AgRPを活性化します。P-糖タンパク質(P-gp)排出ポンプの基質であることが示されています。
二塩酸塩(製造元コード:6329)は、水溶性タイプです。




Clozapine N-oxide(製造元コード:4936)
CAS RN®:34233-69-7

  1. Eiermann, B. et al. : Br. J. Clin. Pharmacol., 44, 439 (1997).
  2. Armbruster, B. N. et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 5163 (2007).
  3. Zaman, T. et al. : J. Neurosci., 34, 140 (2014).
  4. Gomez, J. L. et al. : Science, 357, 503 (2017).
  5. Nakajima, K. et al. : Nat. Commun., 7, 10268 (2016).
  6. Roth, B. L. : Neuron, 89, 683 (2016).
  7. Allen, D. C. et al. : J. Pharmacol. Exp. Ther., 368, 199 (2019).

DREADD agonist 21

強力なムスカリンDREADDアゴニストです。pEC50(in vitro)=8.91(hM1Dq)、8.48(hM3Dq)、7.77(hM4Di)。野生型受容体と比べ、hM1DqおよびhM4Diに10倍以上の親和性を示します。また、野生型M3受容体にほとんど活性を示しません。in vivoにおいて、hM3Dq DREADDsを発現している神経細胞を活性化し、hM4Diを発現している神経細胞の活性を抑制します。優れた脳透過性を示します。
二塩酸塩(製造元コード:6422)は、水溶性タイプです。




DREADD agonist 21(製造元コード:5548)
CAS RN®:56296-18-5

  1. Chen, X. et al. : ACS Chem. Neurosci., 6, 476 (2015).
  2. Thompson, K. J. et al. : ACS Pharmacol. Transl. Sci., 1, 61 (2018).

Perlapine

強力なムスカリンDREADDアゴニストです。pEC50(in vitro)=8.38(hM1Dq)、8.08(hM3Dq)、7.27(hM4Di)。hM3受容体と比べてhM3Dq受容体に対し、10,000倍以上の選択性を示します。




Perlapine(製造元コード:5549)
CAS RN®:1977-11-3

  1. Chen, X. et al. : ACS Chem. Neurosci., 6, 476 (2015).
  2. Thompson, K. J. et al. : ACS Pharmacol. Transl. Sci., 1, 61 (2018).

Salvinorin B

強力で選択的なκ-オピオイドDREADD(KORD)アクチベーター(EC50=11.8 nmol/L)です。内在性κオピオイド受容体および他の関連したターゲットと比べ、KORD選択性を示します。野生型マウスにおいて、鎮痛または運動失調作用を示しません。KORD発現モデルマウスにおいて、神経の過分極を誘導し、自発運動および摂食行動を調節します。脳透過性です。サルビノリンA(製造元コード:2134)の代謝物です。




Salvinorin B(製造元コード:5611)
CAS RN®:92545-30-7

  1. Vardy, E. et al. : Neuron, 86, 936 (2015).
  2. Ansonoff, M. A. et al. : J. Pharmacol. Exp. Ther., 318, 641 (2006).

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