光延反応試薬

光延反応は、光延旺洋(みつのぶおうよう)により、1967年開発された。現在までに4500以上の本反応に関する文献が報告されている。

第二級アルコールにアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、トリフェニルホスフィン(Ph3P)、安息香酸を反応させると、立体反転(SN2経路)を伴って、対応するベンゾイルオキシ誘導体が生成する。続くアルカリ加水分解により、対応するアルコールに変換できる。すなわち、アルコールの立体反転法として用いられる。

穏和な条件で反応が進行するため、天然物・複雑化合物合成に頻用されている。しかしながら、目的物以外にも副産物が多く生成する為、TLCの検出作業および精製が困難になるケースも多い。

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反応機構

アゾジカルボン酸ホスフィン付加体の塩基性が弱いため、求核剤には酸性プロトン(pKa<13)が必要とされる。単純にアルコールの反転目的で使用したい場合には、安息香酸よりも酸性度の高いp-ニトロ安息香酸を用いると収率が良い場合が多い。(参考:Chirality 2000, 12, 346)

反応例

カルボン酸以外の求核剤も⽤いることができ、さまざまな化合物へと変換される。

参考文献

  1. Mitsunobu, O., Yamada, M. and Mukaiyama, T. : Bull. Chem. Soc. Jpn., 40, 935 (1967). doi:10.1246/bcsj.40.935
  2. Mitsunobu, O. and Yamada, M. : Bull. Chem. Soc. Jpn., 40, 2380 (1967). doi:10.1246/bcsj.40.2380
  3. Review: Mitsunobu, O. : Synthesis, 1 (1981).
  4. Review: Hughes, D. L. : Org. React., 42, 335 (1992).
  5. Review: Dandapani, S. and Curran, D. P. : Chem. Eur. J., 10, 3130 (2004). DOI: 10.1002/chem.200400363
  6. Review: Dembinski, R. : Eur. J. Org. Chem., 2763 (2004).
  7. But, T. Y. S. and Toy, P. H. : Chem. Asian. J., 2, 1340 (2007). doi:10.1002/asia.200700182
  8. Swamy, K. C. K., Kumar, N. N. B., Balaraman, E. and Kumar, K. V. P. P. : Chem. Rev., 109, 2551 (2009). doi:10.1021/cr800278z
  9. Fletcher, S. : Org. Chem. Front., 2, 739 (2015). DOI: 10.1039/C5QO00016E

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