細胞培養関連機器
細胞培養とは、動物や植物などの生体組織から分離した細胞を体外で増殖・維持することです。その生体外で培養している細胞のことを培養細胞と呼びます。生体組織から細胞を採取し、最初の植え替え(継代)を行うまでを初代培養、培養細胞を新たな培養容器へと移し替えて増殖、維持することを継代培養と呼びます。培養細胞には、接着細胞と浮遊細胞があります。接着細胞は、培養容器に付着して増殖し、浮遊細胞は培地内で浮遊した状態で増殖します。この状態は細胞が由来する生体の状態を反映します。また、培養細胞を用いた研究では、生体に比較してより単純な実験系で種々の生命現象を解析できます。
細胞を増殖させるためには、培地以外に、ウシ胎児血清(FBS:Fetal Bovine Serum)やサイトカインのようなタンパク質が必要です。接着細胞を継代するためには、培養容器と細胞間の接着、あるいは細胞間の接着を剥がすためにトリプシンのような細胞分散・剥離試薬が使用されます。ほかにも接着細胞を培養するためには細胞と培養容器の接着を介する細胞外基質が必要になることもあります。また、培養細胞の長期間保管には細胞を凍結保存しますが、培養に使用する培地を用いると、凍結融解後の生存率が良くありません。そのため、細胞の凍結保存時には培地にDMSO(ジメチルスルホキシド)を添加したものや、専用の凍結保存溶液を使用します。当社では、一連の細胞培養に使用する製品を幅広くラインアップしています。そのため、用途に合わせて適切な製品を選んでいただくことができます。
Emulate社の生体機能チップは、チップ上の微細な流路内にある多孔質膜の両側で、ヒト生体の臓器から採取した異なる細胞を同時に培養し、肺や腸、肝臓などの複雑な臓器モデルを作製できます。さらに、流路には伸縮性のある素材を採用しているため、流路に刺激を与えて体内の肺細胞の拡張・伸縮や腸細胞の蠕動運動といった臓器の動きを模倣できるなど、ヒト生体の臓器に近い機能を再現でき、それぞれの臓器の疾患に対する、医薬品候補の有効性・安全性をより高精度に調べることが可能です。
Organ-on-a-chip (Emulate社)
Emulate社は、米ハーバード大学のWyss(ヴィース)研究所が開発した生体機能チップ技術の実用化を目的に2013年に設立された創薬支援スタートアップです。すでに生体機能チップを製品化し、本チップ上で細胞を培養するための培養装置とあわせて製薬企業やアカデミアに販売するなど、欧米を中心に事業を展開しています。
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