遺伝子解析: ネオエピトープ解析

ネオエピトープ解析

Repertoire Genesis株式会社

リンパ球によって認識可能な、患者個人の遺伝子変異を由来とする抗原決定部位(ネオエピトープ)を網羅的に解析するサービスです。体細胞遺伝子変異が起因となって引き起こされるがんや自己免疫疾患に対してその原因と治療ターゲットを明らかにするために利用します。

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特長

  • 次世代シーケンサーを用いたDNA シーケンス解析、RNAシーケンス解析を行い、疾患特異的な体細胞遺伝子変異を同定し、また疾患部位における遺伝子発現を確認します。
  • 患者個人の遺伝子多型(SNP)と疾患部位特異的な変異を正確に識別するために、患者毎に疾患組織と正常組織のDNA解析を実施して、疾患部位特異的な体細胞遺伝子変異を正確に同定します。

背景

がん細胞はそのがん化の過程で多くの体細胞遺伝子突然変異を蓄積しており、正常細胞に存在しないアミノ酸変異を伴うタンパク質を発現しています。細胞内のタンパク質はペプチドに分解された後、MHCクラスI分子に結合して細胞表面に提示され、T細胞受容体によって認識されます。このように疾患部位に特異的な体細胞遺伝子変異に基づくアミノ酸変異が起因する抗原決定部位をネオエピトープといい、もともと体内に存在しないペプチドであることから胸腺での免疫寛容の誘導がないため、ネオエピトープを標的とした強い免疫応答を誘導する治療が期待されています(図1)。

図1. 腫瘍組織における変異ペプチド(ネオエピトープ)

〈原理〉 ネオエピトープ解析

個々人の疾患部位に蓄積された遺伝子変異をDNA シーケンス、また活性程度をRNAシーケンスで網羅的に解析し、新たに開発したバイオインフォマティクスソフトウェアを用いて絞り込みます。続いて、どのペプチド断片が個々人の MHCに対して最も親和性が高いかをソフトウエア上で計算します。最終的に数100万種類の遺伝子変異から絞りこまれた数10種類のペプチド断片が、完全個別化された新しいエピトープ、ネオエピトープとなります(図2)。

図2.ネオエピトープ解析の作業フロー

用途例

  • がん免疫療法への応用

樹状細胞療法などで用いられる「がんライセート」では、がん特異的変異部位ではないペプチドが多数含まれるため、変異タンパクを個々人の樹状細胞に取り込ませる効率性が良くありませんでした。また、自己タンパクを多数含んでいるため、免疫増強法を併用すると自己免疫疾患を誘発するリスクがありました。そのため、あらかじめ変異部位を含むネオエピトープペプチドのみを合成して樹状細胞に提示させ、ネオエピトープに特異的な反応に絞ることで、副作用を抑え、有効な治療効果を向上させることができることが期待できます。

  • 自己免疫疾患への応用

「がん組織」に限らず、体細胞変異に基づいたネオエピトープを網羅的に解析するため、自己免疫疾患患者における変異部位を特定することが可能となり、その原因と治療ターゲットを明らかにできる可能性があります。

サービスの流れ

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ご提供いただくもの

手術時に採取した「がん組織」
マージンとして採取した「正常組織」もしくは血液

※RNAは大変分解されやすいものです。手術検体は必ずRNA later等のRNA 安定化試薬に浸漬保存してください。詳しい検体採取方法につきましては、レパトア・ジェネシスのホームページより検体採取プロトコールが入手できますので、必ずご参照ください。

価格/納期

価格 納期
お見積もり内容をご確認ください 検体受け取り後2ヵ月

納品物

  • 納品書、解析報告書
  • ハードディスクドライブ(DNA、RNAシーケンスデータ、ネオエピトープ解析データ)

■実施例

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オリジナル配列(WT)に対して「がん組織」で変異が認められた部位(MT)の間で、患者HLAとの結合力(IC50:半数阻害濃度)を計算し、変異ペプチドを数値の低い順(結合力が強い順)でソートし、ネオエピトープ候補とした。さらに患者末梢血を用いたペプチド刺激によるIFNγ産生能を確認した。

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