Kidney-Chip


- BioKit Model
- Guided Model
- Community Model
Kidney-Chip は、 Emulate社 が開発・検証したBioKit モデルです。この製品はBioKit として提供されており、事前評価済みの細胞、Organ-Chip 消耗品、検証済みのプロトコルが含まれており、特性評価と機能性に関する保証が付いています。
BioKit Models ご使用にあたって
- BioKit Models は、「Cell Pack」 と 「Basic Research Kit」 の同時購入が必須です。Chip-S1® あるいは Chip-R1™ をお持ちの場合でも、単品購入はできません。
- Emulate 社システムでのみ使用できます。
- BioKit Models は、別途 Emulateシステム専用装置と専用試薬※が必要です。
- Emulate 社専用Chip に細胞はプレコートされておりません。凍結細胞をドライシッパーにて納品いたします。お客様にて細胞融解後、Chip へ播種してください。
- Chip-R1には専用試薬 (ER1およびER2) があらかじめプレコートされているため、Chip-R1を用いてKidney-Chipを作製する際には、別途専用試薬を用意する必要はありません。
Kidney-Chip ご購入方法
Proximal Tubule Kidney-Chip
Proximal Tubule Kidney-Chip(腎臓チップを12 個作製する場合)
| メーカーコード | 製品名 | 容量 | 発注数量 | 構成 |
|---|---|---|---|---|
| OBK-WOER-12 | Basic Research Chip Kit-12pk | 1キット | 1 | 12×Chip-S1, 12×Pod-1, 4×Steriflip |
| AI-BIO-KH-CO-JP | Kidney Proximal Tubule Cell Pack | 1パック | 1 | Primary Renal Proximal Tubule Epithelial Cells (RPTECs) 1 本 Primary human Renal MicroVascular Endothelial Cells (RMVECs) 1 本 |
Proximal Tubule Kidney-Chip(腎臓チップを24 個作製する場合)
| メーカーコード | 製品名 | 容量 | 発注数量 | 構成 |
|---|---|---|---|---|
| OBK-WOER-24 | Basic Research Chip Kit-24pk | 1キット | 1 | 24×Chip-S1, 24×Pod-1, 8×Steriflip |
| AI-BIO-KH-CO-JP | Kidney Proximal Tubule Cell Pack | 1パック | 2 | Primary Renal Proximal Tubule Epithelial Cells (RPTECs) 2 本 Primary human Renal MicroVascular Endothelial Cells (RMVECs) 2 本 |
モデル概要

生理的に適切な腎臓モデル
Kidney-Chip 内では、細胞が生体内に近い表現型を獲得し、高度な分化能、正常な上皮細胞の極性および形態を示し、機能的なトランスポーター活性も示しています。これにより、健康な腎機能や薬物候補の腎毒性をより生理学的に解析することが可能です。
長期培養により、メカニズム解明研究、バイオマーカー探索、栄養代謝の解析など、多様な測定を行うことができます。

主要な腎細胞集団を含む
Kidney-Chip には、プライマリー近位尿細管上皮細胞と腎微小血管内皮細胞が含まれているため、単一培養細胞モデルとは異なり、細胞間相互作用を可能にします。

重要な腎機能特性を維持
Kidney-Chip は、アルブミンの再吸収や特徴的な細胞形態などの機能を、従来の細胞株が時間経過とともに分化能を失うのに対し、最大14日間の培養にわたり維持します。

細胞構造と分極の改善
培地灌流によるシェアストレスが上皮細胞の細胞構造を大幅に改善し、静置培養の腎上皮細胞に比べて極性の向上、細胞の高さの増加、そして繊毛の形成が促進されます。

トランスポーター活性の上昇
腎臓特異的な内皮細胞が存在する場合、Kidney-Chip におけるナトリウム/リン酸 (Na/Pi) 共トランスポーターの発現が増加します。この効果は単一培養モデルや腎臓特異的でない内皮細胞との共培養では見られません。
Kidney-Chip S1 の概略図
近位尿細管の組織間界面を再現するため、プライマリーヒト腎近位尿細管上皮細胞 (RPTECs) を上部チャネルに播種し、糸球体から分離したプライマリーヒト腎微小血管内皮細胞 (RMVECs) を下部チャネルに播種します。このモデルの二重チャネル構造により、それぞれのチャネルに異なる上皮細胞用および内皮細胞用の培地を流すことができ、生理的な細胞機能とモデルの安定性を最大14日間維持することが可能です。

Cell types & Characterization endopoints
Cell types
Primary renal proximal tubule epithelial cells (RPTECs) +Primary human renal microvascular endothelial cells (RMVECs),
Characterization endopoints
- Transcriptomic analysis demonstrating expression of key gene signatures
- qPCR of SGLT2, Aquaporin-1, and NA+/K+ ATPase
- Immunofluorescent staining of tight junction proteins and kidney-specific markers (β-catenin, AQP-1, occludin and Na+/K+ ATPase)
- Functional albumin reabsorption
アプリケーション:Toxicology
前臨床開発において、薬剤誘導性腎毒性の予測が課題となっています。
確立された前臨床in vitro モデルは、動的なin vivo 微小環境を再現できないため、腎毒性の早期兆候を予測する上での有用性が限られています。細胞株は時間の経過とともにトランスポーターの発現と機能が低下し、臨床的に関連する薬物濃度に対して十分に感受性を示さないことが多いです。一方で、動物モデルでは、腎トランスポーター、薬物動態・薬力学、そして代謝反応において種差が存在します。これらを総合すると、患者の安全性を向上されるには、より優れた前臨床の腎モデルが必要とされています。

KIDNEY-Chip Benefits
より良い臨床応用のための改良された前臨床腎毒性モデル
従来のin vitro モデルとは異なり、Kidney-Chip は臨床的に関連する薬物濃度での薬剤誘発性腎毒性のメカニズムをモデル化することができます。対照試験により、Kidney-Chip は静的な上皮単一培養モデルよりも濃度依存的な応答が優れていることが示されています。形態学的損傷、細胞死(LDH、ALP)、酸化ストレス、腎障害パネル(KIM-1、クラステリン、TFF3、VEGF)など、多様なエンドポイントを測定できます。
テクニカルノート

Proximal Tubule Kidney-Chip for Modeling Human Physiology
<概要>
Proximal Tubule Kidney-Chip を用いて、ヒトの腎臓の複雑な機能を再現する方法を学びましょう。
参考文献

Circulating extracellular vesicles in human cardiorenal syndrome promote renal injury in Kidney on Chip system. JCI Insight. 2023;8(22):e165172.
Application: Inflammation
Organ Model: Kidney (Proximal Tubule)
<概要>
心不全 (HF:Heart Failure) に伴う腎障害である心腎症候群 (CRS:Cardiorenal syndrome) は高い罹患率と関連しているが、循環する細胞外小胞 (EV:Extracellular Vesicles) とそのRNAが病態にどのように関与するかは不明です。そこで、CRS 患者由来の循環EV が腎上皮細胞および内皮細胞に与える影響を、Kidney-Chip を用いて検証しました。

Human kidney proximal tubule-on-a-chip for drug transport and nephrotoxicity assessment. Integr Biol (Camb). 2013 Sep;5(9):1119-29.
Organ Model: Kidney (Proximal Tubule)
Application: ADME & Toxicology
<概要>
腎毒性予測のための従来モデルの限界を克服するため、プライマリー近位尿細管上皮細胞を用いた生体模倣システムを開発しました。シェアストレスを与えることで細胞の極性化や機能が向上し、シスプラチン毒性やトランスポーター活性がin vivo に近い反応を示しました。
Webinar

Emulate BioKits: Innovative Case Studies in Disease Modeling and Immunotherapy Safety
<概要>
本ウェビナーでは、マサチューセッツ総合病院のポスドク研究員であるEmeli Chatterjee 博士と、Emulate社のBen Swenor 氏が、査読付き論文3件のケーススタディを紹介します。これらの研究では、臓器チップを用いて心腎症候群、環境性腸機能障害 (EED:Environmental Enteric Dysfunction)、および免疫療法の安全性が検討されています。臓器チップを活用して複雑な疾患メカニズムの解明や免疫療法の安全性評価を行う方法について、ぜひご覧ください。

Investigating a Functional Role for EVs in Modulating Disease Signaling Pathways in Organ-on-Chip Models
<概要>
マサチューセッツ総合病院 (MGH:Massachusetts General Hospital) のDr. Saumya Das 博士が、Organ-on-a-Chip 技術を用いて、細胞外小胞 (Evs:Extracellular Vesicles) が心代謝疾患を含む複数臓器の疾患メカニズムに与える影響を研究しています。動物モデルの限界を克服し、ヒト特有の臓器間相互作用を再現するため、EmulateのHuman Emulation System を活用し、腎臓や肝臓、心臓、脳を含む複雑な病態モデルを構築。4つの具体的なケーススタディを紹介しています。

Assessing Nephrotoxicity and Drug-Drug Interactions with the Emulate Proximal Tubule Kidney-Chip
<概要>
従来の不死化細胞株や動物モデルではヒトの腎毒性や薬物相互作用を正確に予測できず、臨床試験の失敗につながっています。Emulate 社のProximal Tubule Kidney-Chip は、プライマリーヒト腎上皮細胞と組織特異的内皮細胞を用いた動的環境で、より生理的な腎機能を再現し、腎毒性や薬物相互作用の予測精度を向上させることが可能です。ウェビナーでその活用法を学びましょう。

Evaluating the Kidney-Chip for Transporter-Mediated Drug-Drug Interactions Applications
<概要>
Covance 社とEmulate 社が協力し、Proximal Tubule Kidney-Chip を用いて輸送体を介した薬物間相互作用の研究・予測モデルとしての特性を評価しました。Organ-Chips 技術は従来モデルより生理的でヒトに関連した機能を再現し、前臨床から臨床へのギャップを埋める可能性があります。本ウェビナーで最新データを紹介します。
Poster

A Human Proximal Tubule Kidney-Chip for Accelerated Therapeutic Development
<概要>
薬剤誘発性腎毒性は急性腎障害の主な原因であり、臨床開発の失敗にもつながっています。腎近位尿細管が主な標的であることから、よりヒトに近い近位尿細管モデルが求められています。今回紹介するProximal Tubule Kidney-Chip は、尿細管と血管内皮の二重チャネル構造でin vivo の環境を再現し、重要な輸送体の発現や生理的な毒性応答を示します。シスプラチンやゲンタマイシンなどのよく知られた腎毒性物質を用いて、生理学的に関連する濃度での毒性応答も実証しています。

Human Proximal Tubule Kidney-Chip as a Model to Study Renal Transporters
<概要>
ヒトの腎輸送体は薬物動態と薬物相互作用に重要だが、既存の細胞モデルは臨床予測に不十分です。これを解決するため、腎輸送体を評価可能なヒト近位尿細管Kidney-Chip を開発し、複数の輸送体による薬物排出活性を実証しました。本モデルでは、P-gp によるジゴキシンの排出活性、OCT1/2、MATE1、MATE2-K が共同で関与するテトラエチルアンモニウムおよびメトホルミンの排出活性、さらにOAT1/3 によるパラアミノ馬尿酸の排出活性をプローブ基質を用いて示しています。

Development of Human Proximal Tubule Kidney-Chip to Study Transporter-Based Drug-Drug Interactions
<概要>
腎臓の輸送体は薬物の排泄と相互作用に重要だが、既存の細胞モデルは臨床予測に不十分です。そこで、ヒト近位尿細管と血管内皮細胞を二重チャネルで培養し、流体環境を再現したKidney-Chip を開発しました。ヒト近位尿細管から分離したプライマリー上皮細胞を管腔チャネルに、ヒト糸球体内皮細胞を血管チャネルに培養し、これらの細胞に流体の流れを与えることでヒト近位尿細管の主要な機能を再現しています。このヒト近位尿細管Kidney-Chip は、腎近位尿細管と周尿細管毛細血管の自然な組織間インターフェースを再現しています。これにより、腎輸送体を介した薬物間相互作用や腎毒性の評価が可能です。
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