遺伝子導入試薬

同仁化学 HilyMax

HilyMax(ハイリーマックス)は、カチオン性リポソームを利用した導入試薬です(特許第4911416号)。
多岐にわたる動物細胞へプラスミドDNAを高効率に導入することができ、またsiRNA用導入試薬としても使用可能です。培地中の血清の影響を殆ど受けないため、遺伝子導入時の面倒な培地交換をする必要がありません。本品は化学合成品のため、遺伝子導入時に影響を及ぼす可能性のある生物由来成分は含まれていません。

特長

  • 多岐にわたる細胞へDNAを高効率に導入
  • 血清を含む培地での導入が可能
  • 導入遺伝子の細胞内シグナル応答が良好
  • コストパフォーマンスに優れた純国産導入試薬
  • ワンチューブによるシンプルプロトコール
  • 遺伝子導入前の培地交換が不要

キット内容

キット構成 容量
HilyMax Reagent 1 tube
lipoform Buffer 1.0 ml×1
  • HilyMAX Reagentの性状が透明~白色結晶であり、内容物が微量のため確認がしづらい場合がございます。

下記の写真は、アシストチューブの底を撮ったもので、中央付近の白い部分が現物となります。

アシストチューブの底

使用法

はじめに

Lipoform BufferをHilyMax Reagent に加えてリポソーム溶液を調製します。

使用法

保存法

  • リポソーム溶液を調製後は、-20 ℃で保存してください。6 ヶ月間安定です。
  • リポソーム溶液を頻繁に使用する際は、0 ~ 5 ℃保存も可能です(1 ヶ月間安定)。
  • 凍結したリポソーム溶液を融解後は、必ずボルテックス又はピペッティングにより、良く混合してご使用下さい。
  • リポソーム溶液は、20回の凍結融解を繰り返しても、導入能に変化がないことを確認しております。
  • 凍結融解の繰り返しを避けたい場合は、滅菌済みチューブへリポソーム溶液を小分けして、ご使用ください。

導入実績のある細胞種

細胞種ごとの導入条件・使用論文は下記リンク(メーカーHP)をご参照ください。

細胞名 由来種 組織
293 ヒト 腎臓
293T ヒト 胎児腎臓
3T3-L1 マウス
A172 ヒト グリア芽腫
A549 ヒト 肺上皮がん
AGS ヒト 胃上皮
ASPC1 ヒト 膵臓
BmN カイコ カイコ 卵巣
C2C12 マウス 骨芽
Caco2 ヒト 腸管上皮
CEF ニワトリ
CHO チャイニーズハムスター 卵巣
CHO-S チャイニーズハムスター 卵巣(卵巣)
COS1 アフリカミドリザル 腎臓
COS7 アフリカミドリザル 腎臓
COV ニワトリ 卵巣
DT40 ニワトリ 血球・リンパ系
DU145 ヒト 前立腺がん細胞
ECPC4 マウス 脳脈絡叢がん
END-D マウス 血管内皮
H1395 ヒト 肺がん
HaCaT ヒト 皮膚角化細胞
HC ヒト 胎児肝臓
細胞名 由来種 組織
HEK293 ヒト 胎児腎臓
HEK293FT ヒト 胎児腎細胞
HEK293 T ヒト 胎児腎細胞
HeLa ヒト 子宮頸がん
HeLaS3 ヒト 子宮頸がん
HepG2 ヒト 肝臓胆嚢
HFL-1 ヒト 胎児肺
HHSteC ヒト 肝星細胞
HT29 ヒト 結腸がん
Human hepatic Stellate ヒト 肝臓
JHH-4 ヒト 肝臓、胆嚢がん
Jurkat ヒト 白血病性T細胞
K562 ヒト 血球・リンパ球
KINGS1 ヒト グリア細胞
L マウス 線維芽
L6 ラット 筋組織
L929 ラット 線維芽
LMHI ニワトリ 肝臓がん
LNCap ヒト 前立腺がん
MC3T3-E1 マウス 骨芽細胞
MCAS ヒト 卵巣がん
MCF7 ヒト 乳がん
MDCK イヌ 腎臓
細胞名 由来種 組織
Mesenchymal cell ヒト 間葉系
MEF マウス 胎児由来線維芽細胞
MG63 ヒト 骨肉腫
MKN ヒト
NB1 ヒト 神経芽細胞腫
Neuro2a マウス 神経系
NIH3T3 マウス 胎仔
PA-1 ヒト テラトカルシノーマ
PanC1 ヒト 膵臓がん
PC12 ラット 副腎髄質
PC3 ヒト 前立腺がん
Primary Osteoblast 初代骨芽細胞 初代骨芽細胞
RBL2H3 ラット 血球・リンパ球
Sf9 ヤトウガ ヤトウガ
S2 ショウジョウバエ ショウジョウバエ
SHSY-5Y ヒト 神経芽
T98G ヒト 脳グリオブラストーマ
U937 ヒト 単球性白血球
UtSMC ヒト 子宮平滑筋
Vero アフリカミドリザル 腎臓
VSMC ラット 血管平滑筋
初代培養細胞 マウス 胎児海馬
初代培養細胞 耳下腺腺房細胞 耳下腺腺房細胞

他社との比較例

■ HilyMAXは汎用されている市販の導入試薬と同等かそれ以上の導入効率

細胞名 HilyMax I社導入試薬
CHO 90% 80%
HeLa 70% 70%
HEK293 60% 60%
NIH3T3 70% 50%
A549 50% 50%
L6 30% 20%
3T3-L1 30% 30%
K562 30% 3%
LNCap 70% 30%
PC3 70% 45%
細胞名 HilyMax I社導入試薬
MCF-7 70% 70%
Neuro2a 70% 70%
MG63 20% 17%
HC 50% 65%
COS7 40% 50%
HepG2 10% 20%
Vero 40% 55%
MDCK 20% 25%
Jurkat 3% 4%
UtSMC 10% 15%

■ 初代培養細胞、血球系細胞での高効率遺伝子導入

初代培養細胞(COV)への遺伝子導入

初代培養細胞(COV)への遺伝子導入

血球系細胞(DT40)への遺伝子導入

血球系細胞(DT40)への遺伝子導入

COV(ニワトリ卵巣由来)細胞およびDT40(ニワトリB細胞由来)細胞にpGL3 vectorを血清存在下で遺伝子導入し、24時間後にLuciferase活性を測定した。
(データ提供:就実大学薬学部生物薬学科分子細胞薬学ユニット)

■ 汎用されている細胞へのGFP導入例

CHO cell

CHO cell

HEK293 cell

HEK293 cell

A549 cell

A549 cell

HeLa cell

HeLa cell

NIH3T3 cell

NIH3T3 cell

HilyMAXによる遺伝子導入例

Q&A

遺伝子導入後の培地交換は必ず行う必要はありますか?
低い細胞毒性と高い導入効率を望まれる場合は、培地交換をお勧めします。
しかし、細胞(例:CHO細胞など)によっては、培地交換が毒性や導入率に影響しないものもありすので、細胞系にあわせて行ってください。
導入効率が悪かった場合、どのような点を検討すれば良いでしょうか? (DNA量、HilyMax量、複合体形成比、時間など)

<細胞毒性が低い>
 導入効率が極端に低い場合は、DNA量を増やすか、DNA(μg):HilyMax(μL)=1:5~1:9にしてみてください。
 高い導入効率を示す場合があります。

<細胞毒性が高い>
 DNA量またはHilyMax量を減らしてください。

説明書には、保存条件が『冷蔵』と『冷凍』の2つの記載があります。 どのように保存すればよいのでしょうか? 最初から『冷凍』したり、ずっと『冷蔵』ではダメですか?

未開封・未使用の場合には『冷蔵保存』、試薬を緩衝液と混合し溶解した後は『冷凍保存』してください。
未開封の状態で『冷凍保存』いただいても品質には問題はありませが、使用時に凍結した[Lipoform Buffer]を融解していただく必要があります。

また、溶解後に関しては、2~3週間以内に使い切る場合であれば『冷蔵保存』いただいても性能に影響はありません。数週間を越える使用の場合には、必ず『冷凍保存』してください。

参考文献

  1. S. Mima, H. Ushijima, H.-J. Hwang, S. Tsutsumi, M. Makise, Y. Yamaguchi, T. Tsuchiya, H. Mizushima and T. Mizushima, "Identification of theTP01gene in Yeast, and its Human Orthologue TETRAN, which Cause Resistance to NSAIDs",FEBS Lett.,2007,581, 1457.
  2. T. Namba, T. Ishihara, K. Tanaka, T. Hoshino and T. Mizushima, "Transcriptional Activation of ATF6 by Endoplasmic Reticulum Stressors",Biochem. Biophys. Res. Commun.,2007,355, 543.
  3. H. Nakajima, W. Amano, A. Fujita, A. Fukuhara, Y. Azuma, F. Hata, T. Inui and T. Takeuchi, "The Active Site Cysteine of the Proapoptotic Protein Glyceraldehyde-3-phosphate Dehydrogenase Is Essential in Oxidative Stress-induced Aggregation and Cell Death",J. Biol. Chem.,2007,282(36), 26562.
  4. A. Endo, D. Sumi and Y. Kumagai, "1,2-Naphthoquinone Disrupts the Function of cAMP Response Element-binding Protein through Covalent Modification",Biochem. Biophys. Res. Commun.,2007,36(1), 243.

製品一覧

  • 項目をすべて開く
  • 項目をすべて閉じる

  • 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
  • 掲載されている製品について
    【試薬】
    試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
  • 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
  • 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。