クラレ〈スキャポバ®〉PVAマイクロキャリア


〈スキャポバ®〉はクラレが製造するPVAマイクロキャリアで再生医療等製品にも使用可能です。
再生医療等製品の製造にマイクロキャリアを導入する際に生じる、ターゲット細胞を大量に増やせない、あるいは、医療基準を満たす安全性の担保への懸念、といった課題を解決できます。
細胞培養に使用する培地に投入して足場材料とすることで、表面に細胞が付着・増殖し、大量の細胞を効率的に培養できます。攪拌しても破損しにくく、培養細胞に異物混入のリスクが低い安全性や、細胞の培養効率の高さを特長とするマイクロキャリアです。
- 本製品は試験研究用です。臨床使用の場合は別途お問い合わせください。
- 初回購入時用途確認書の記入が必要です。

マイクロキャリアとは
マイクロサイズのビーズ状になった細胞固定化担体です。
ビーズの表面上に細胞が接着し増殖します。
フラスコによる平面培養よりも、省スペース・作業量で細胞培養可能なため、大量培養に適した足場材です。
原料にPVA*樹脂を使用した唯一のマイクロキャリアです。
*:Polyvinyl Alcohol
特長
〈スキャポバ®〉はPVAハイドロゲルビーズに表面処理を施した製品です。
培養したい細胞にあわせて選択することが可能です。

〈スキャポバ®〉CL

〈スキャポバ®〉CL は、粒子の表面をコラーゲンで修飾したマイクロキャリアです。
コラーゲンは生物由来原料基準に対応した医療現場で使用できるグレードのものを採用しています。
細胞の培養効率に優れる
表面にコラーゲンType Iがコートされているため、さまざまな細胞の接着と増殖に適しています。
播種細胞数に対する増殖率比較
医療レベルの安全性
弾力性の高いPVAハイドロゲルで作られているため攪拌などの衝撃では壊れにくく、破片の異物混入リスクが低いです。
厳格な品質管理を徹底し、臨床使用を見据えた安全性試験を実施しています。
| 安全性試験 | 結果 |
| 細胞毒性 遺伝毒性 全身性急性毒性 埋植試験 |
陰性 (ISO 10993に従って 試験実施) |
| 溶出物 抽出物 | BPOGガイドラインに 従って試験実施 |
圧縮試験の様子

ハンドリングが良い
原料のPVOH は透明性が高く、顕微鏡での観察性が良好なため、細胞培養工程の効率化が期待できます。

使用方法
〈スキャポバ®〉CL にはさまざまなタイプの振とう・攪拌培養が適用可能です。

〈スキャポバ®〉CL は培地に入れるとすぐに膨潤します。またγ線滅菌済みですので、特別な前処理は必要ありません。
乾燥燥状態のまま添加する方法とPBSにPVAマイクロキャリアを懸濁して添加する方法があります。
【乾燥状態のまま〈スキャポバ®〉CL を添加する方法】
- 電子天秤で50 mLチューブの空重量を測定します。
- 滅菌したスパチュラで〈スキャポバ®〉CL をすくい取り、50 mLチューブに必要量を測り取ります。
※ 〈スキャポバ®〉CL は電流や静電気により飛散することがありますので、取り扱いにご注意ください。 - 培地を〈スキャポバ®〉CL に加え、培養容器に培地ごと〈スキャポバ®〉CL を移します。
【PBS に〈スキャポバ®〉CL を懸濁して添加する方法】
- 〈スキャポバ®〉CL 1 gに対し30 mL - 50 mLのPBSを容器に直接加えて懸濁します。
- PVAマイクロキャリアが均一に分散するようにピペッティングし、PBSごと必要量の〈スキャポバ®〉CL を15 mLチューブ等に測り取ります。
※ PBS中では〈スキャポバ®〉CL がポリスチレン製のピペットの内側に吸着しやすくなります。吸着を防ぐため、ポリスチレン製ピペットの内側をFBS入り培地でコート ( 2、3回ピペッティング) してからお使いいただくか、ガラス製のピペットをお使いください。 - 5分程度静置または遠心 (300×g、5分、原則設定を最低にセット) して、〈スキャポバ®〉CL を沈殿させ、 PBS上清を取り除きます。
- 培地を加え、培地ごと〈スキャポバ®〉CL を内容容器に移します。
なお、PBSに懸濁した残りの〈スキャポバ®〉CL は冷蔵で6ヶ月保存可能です。
細胞の播種~観察~回収についてはプロトコールをご用意しておりますのでお問い合わせください。
〈スキャポバ®〉AS

〈スキャポバ®〉AS は、粒子に特殊処理を施し、表面を活性化させたマイクロキャリアです。
活性化させることで、任意の細胞接着分子をコーティングすることが可能です。
さまざまな細胞培養が可能
培養したい細胞に適した接着分子を〈スキャポバ®〉AS にコーティングすることで、さまざまな細胞を培養することが可能です。
<コーティング実績>
iMatrix-511 (コードNo.:385-07361)、Vitronectin、Fibronectin、Laminin、Synthemax®Ⅱ、Poly-L-lysine、Collagen
動物由来原料フリー
〈スキャポバ®〉AS は原料に動物由来原料を含みません。
〈スキャポバ®〉AS にリコンビナントたんぱくや合成ペプチドをコーティングすることで動物由来原料フリーでの培養が可能です。
使用方法
〈スキャポバ®〉AS は培養開始前に細胞接着分子のコーティングが必要です。
2種類のコーティング方法があります。詳細なアプリケーションはお問い合わせください。
細胞接着分子の溶液によるコーティング

- 細胞接着分子の溶液を準備
- 乾燥状態の〈スキャポバ®〉AS に溶液を投入
- 1時間程度混和し、PBSで洗浄
細胞接着分子を培地に直接添加

- 培地に適量の細胞接着分子を添加
- 細胞接着分子を加えた培地と〈スキャポバ®〉AS をバイオリアクターに投入し、攪拌
コーティング後は通常の細胞工程と同じ手順で培養可能です。詳細な工程はお問い合わせください。
製品概要
| 〈スキャポバ®〉CL | 〈スキャポバ®〉AS | |
|---|---|---|
| 粒子サイズ (D50) | 200 μm - 250 μm | 120 μm - 200 μm |
| 表面処理 | コラーゲンコーティング | 活性化処理 |
| 膨潤度 | 10 | 5 |
| 乾燥1 gあたりの表面積 | 2,600 cm2 | 1,900 cm2 |
| 推奨投入量 (MSCを1 L培養時) | 1.54 g | 2.11 g |
| 滅菌 | ガンマ線滅菌 | ガンマ線滅菌 |
培養実績
〈スキャポバ®〉CL
ヒトMSC、ヒト線維芽細胞、VERO細胞、ウシ筋芽細胞
〈スキャポバ®〉AS
ヒトMSC、ヒトiPS細胞
培養プロトコルやアプリケーションノートはお問い合わせください。
製品一覧
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