AGCテクノグラス ECMコート製品
AGCテクノグラスのECMコート製品はポリスチレン製およびガラス製培養容器に各種細胞外基質（Extracellular Matrix ：ECM）を薄層コーティングすることにより光学的特性はそのままに、各種細胞の接触、増殖および分化を促進します。
ECMとは
細胞接着と細胞外基質（ECM）
接着性細胞は培養容器底面（培養面）に接着することによって増殖しますが、この時に細胞外基質（ECM）を必要とします。通常、細胞自身が産生するECMや培養液中の血清に含まれるECMを利用し細胞が接着伸展しますが、ECM産生能が低い細胞や無血清培養などでは、ECMが必要になります。細胞は細胞表面の リセプター(Receptor）を通じて、細胞外基質と結合します。
ECMコート製品に用いられるECM
- ● コラーゲン
- ：繊維状硬タンパク質の一種で、結合組織の 主要なタンパク質です。 生体内に広く分布しており、存在場所により特徴のある色々なコラーゲンが発見されています。
- ● ゼラチン
- ：コラーゲンが熱変性し、3本鎖構造がほどけた状態の物質です。
- ● ファイブロネクチン
- ：多くの動物細胞表面に見られる周辺タンパク質で、ECMや 基質膜における主要な非コラーゲン糖タンパク質です。生体内では、細胞接着、細胞移動、組織損傷の場などに関わります。
- ● ポリリジン
- ：アミノ酸リジンが鎖状に結合したポリペプチドです。ポリ-L-リジ ンは天然型と呼ばれるL体リジンで、ポリ-D-リジンは光学異性体であるD体リジンで構成されています。
ラインアップ
| コート試薬 | 細胞培養容器 |
|---|---|
| コラーゲン タイプI | ディッシュ、フラスコ、マイクロプレート、ガラスベースディッシュ、 チャンバースライドⅡ、カバーガラス、EZVIEW®カルチャープレートLB |
| ゼラチン | ディッシュ、フラスコ、マイクロプレート |
| ポリ-L-リジン | ディッシュ、マイクロプレート、ガラスベースディッシュ、チャンバースライドⅡ、 カバーガラスチャンバー、カバーガラス |
| ポリ-D-リジン | ディッシュ、マイクロプレート、ガラスベースディッシュ、カバーガラスチャンバー |
| ポリエチレンイミン | ディッシュ、マイクロプレート |
| ファイブロネクチン | ディッシュ |
培養例
コラーゲン Iコート製品を用いた培養例
コード：630-33331（4000-010)
Cell：ヒト臍帯静脈血管内皮細胞, HUVEC
Medium：Endotherial Cell Growth Medium V2
×100, Day-7
コード：630-33331（4000-010)
Cell：ヒト臍帯静脈血管内皮細胞, HUVEC
Medium：Endotherial Cell Growth Medium V2
×100, Day-7
FAQ
ECMコート製品は再利用できますか？
再利用はできません。
接着性の細胞は細胞分裂の際、タンパク分解酵素などを放出したり、自らECMを産生したりします。
細胞が増殖した後の培養表面の状態は、未使用の状態とは全く異なりますので、同様の性能は保証できません。
ECMコート品上で増殖した細胞が剥がれてきました。なぜでしょうか？
ECMコートは、細胞の初期の接着を助けますが、その後、接着性細胞自身で接着因子としてのECMを作り出します。シート状に細胞が剥がれる場合、細胞の種類によっては増殖後期になると、生産したECMの層が厚くなりすぎたり、細胞同士の接着が強固になり、細胞が剥がれてしまうことがあります。
細胞がコンフルエント(培養容器の接着面を覆いつくした状態)に近い状態で、シート状に剥がれている現象はECMコート品だけでなく、Nonコートの培養容器でも起こる現象で、ピーリングと呼ばれます。
なるべく塊がない細胞懸濁液を均一にまき、80%コンフルエント以内で細胞を回収することである程度防ぐことができます。
コラーゲンコートやゼラチンコートの容器で培養した細胞をコラゲナーゼで回収することはできますか？
回収することはできません。
細胞は、接着後に足場および細胞間接着に関わる種々のタンパク質性の接着因子を自ら生産するため、コラーゲン分解酵素のみでは完全に接着を解離することができないからです。
効率の良い細胞回収にはEDTA-トリプシン溶液をご使用ください。
ラインアップ以外の容器でのコート品が欲しいのですが？
特注品としてお受けできるケースがございます。
ご希望の容器、ECM、数量(枚数)をご確認の上、お問い合わせください。
製品一覧
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コラーゲン Iコート
ゼラチンコート
ポリ-L-リジンコート
ポリ-D-リジンコート
ポリエチレンイミンコート
ファイブロネクチンコート
- 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
- 掲載されている製品について
- 【試薬】
- 試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
- 試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
- 【医薬品原料】
- 製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
- 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
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