Hiyama Cross Coupling

檜山クロスカップリング

パラジウム触媒存在下、アリールハライド・アリールトリフラートと有機ケイ素試薬を用いたクロスカップリング反応です。有機ケイ素試薬は通常きわめて安定であり、クロスカップリングに用いるためにはフッ素などのLewis塩基を添加して、トランスメタル化した活性な高配位シリケート種にする必要があります。 ケイ素の置換基にはヘテロ原子やアリール基が通常必須となります。トリアルキルシリル基の場合には、シリケート種の形成が困難であり、クロスカップリングに用いることはきわめて難しいです。 ケイ素の低毒性・低環境負荷性などは大きな利点となるため、高いポテンシャルを秘める反応です。アルキンのヒドロシリル化では内部ビニルシランを合成できます。この為、ヒドロホウ素化経由では実現できない位置選択性を出すことも可能です。

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基本文献

反応機構

有機ケイ素種は安定であるため、フッ素などのルイス塩基によってトランスメタル化して活性なシリケート種に変換する必要があります。

反応例

シラシクロブタンはそのひずんだ構造に起因して、よりLewis酸性が高くなっています。このため、穏和な条件下、檜山クロスカップリングに用いることができます。1)

配位性のピリジルシリル基を用いたクロスカップリングにより、合成の難しい四置換オレフィンを完璧な位置選択性で合成できます。2)

デザインしたフェニルシラン誘導体を用いると、フッ素を必要とせず檜山カップリングが進行します。副生してくるケイ素化合物は、再利用が可能です。3)

有機シラノールは、安価なTMSOK(トリメチルシラノール カリウム塩)を塩基とする活性化を経て檜山クロスカップリングができます。4) フッ素源に弱い官能基を持つ基質に対しても用いることができます。

参考文献

  1. Denmark, S. E., Choi, J. Y.: J. Am. Chem. Soc., 121, 5821 (1999). DOI: 10.1021/ja9908117
  2. Itami, K., Kamei, T., Yoshida,J.: J. Am. Chem. Soc., 125, 14670 (2003). DOI: 10.1021/ja037566i
  3. Nakao, Y., Imanaka, H., Sahoo, A. K., Yada, A., Hiyama, T.: J. Am. Chem. Soc., 127, 6952 (2005).DOI: 10.1021/ja051281j
  4. (a) Denmark, S. E., Sweis, R. F. : J. Am. Chem. Soc., 123, 6439 (2001). DOI: 10.1021/ja016021q
    For mechanistic implications, see: (b) Denmark, S. E. et al.: J. Am. Chem. Soc., 126, 4865 (2004). DOI: 10.1021/ja037234d
    (c) Denmark, S. E., Sweis, R. F.: J. Am. Chem. Soc., 126, 4876 (2004). DOI: 10.1021/ja0372356

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