Viability PCR(v-PCR)用 色素

Biotium社 PMAxx™ Dye

本品は、Viability PCR(v-PCR)用の光反応性DNA結合色素です。従来のViability Dyeであるプロピジウムモノアジド(PMA)の改良製品です。
qPCRによる生菌の選択的検出にご利用頂けます。

Viability PCR(v-PCR)

Viability PCR(v-PCR)は、生菌を高感度かつ迅速に検出するため技術です。

時間のかかる培養方法とは異なり、qPCRは迅速で高感度な検出方法ですが、通常のqPCRでは生細胞と死細胞を区別できません。ViabilityPCR用色素(PMA or PMAxx)でサンプルを処理すると色素がdsDNAにインターカレートし、可視光照射により共有結合を形成します。その結果、修飾されたDNAはPCR増幅が阻害されます。この色素は、細胞膜不透過性であるため細胞膜が損傷した死菌のみがDNA修飾を受けやすくなり、qPCR反応では、死細胞のDNAは生細胞のDNAよりも増幅が遅れ、Ct値が高くなります。

利用が期待される分野
  • 食品安全試験
  • 水質試験
  • 生きているが培養できない(VBNC)細菌の検出

特長

死細胞特異的色素

従来品PMAより生菌/死菌の区別が良好

光活性化後、DNAに共有結合

手順概要

ステップ1 色素添加→ ステップ2 インキュベート→ ステップ3 露光→ ステップ4 DNA抽出→ステップ5 qPCR

製品概要

濃度: 20mM in water

励起波長/蛍光波長:

λAbs = 464 nm (before photolysis)

λAbsEm= ~510/~610 nm (with DNA/RNA, after photolysis)

PMAxx™ とPMAの性能比較

枯草菌(未処理と熱処理)に25μM PMAまたはPMAxx™を添加、LED光源を照射し、DNAを精製後、枯草菌DNAの500bpフラグメントを増幅した。PMA及びPMAxx™によって処理したサンプルでは、生細胞由来DNAの増幅には影響見られず、死細胞においては未処理サンプルと比較してCt値が上昇(死細胞DNAのPCR増幅を抑制)が見られた。また、PMAxx™で処理された死細胞のqPCRは、PMAで処理された死細胞と比較して有意に遅延(> 7 Ct)することが示された。

PMAxx 細菌検査キット

PMAxx Dyeを用いた特定の生細菌検査キットもラインアップしています。

対象 メーカーコード
E. coli (uidA) 31050-X
E. coli O157:H7 (Z3276) 31037-X
Salmonella enterica (invA) 31033-X
Listeria monocytogenes (hly) 31051-X

 *プロトコールやキット内容はメーカーHPをご覧ください。

参考文献

  1. Emerson, J. B.,et al.: Microbiome, 5,86(2017).
  2. Fraisse, A.,et al.: Int J Food Microbiol 269, 64(2018).
  3. Garcia-Fontana, C.,et al.: Microorganisms. Front Microbiol.,7,2066(2016).
  4. Han, S.,Jiang, et al.: PLoS One,13,e0196525(2018).
  5. Lopez-Galvez,F., et al.: J. Environ Qual.,47,1139(2018).
  6. Randazzo, W.,et al.: Int.J Food Microbiol.266,(2018).

FAQ

Q1.

EMA, PMA, PMAxx™の違いは何ですか。

A1.

Viability-PCR(v-PCR)には元よりEMAが使用されていましたが、Biotium社がMontana State大学と共同でPMAを開発しました。PMAはEMAより死細胞の選別に優れており、多様な微生物やウイルスの検出に使用できます。PMAxx™は最新のv-PCR用の検出試薬です。PMAxxは死細胞DNAの増幅を抑えるため従来品より効果の高い結果が得られます。

Q2.

PMAxx™はDMSOと水のどちらに溶解して保存できますか。

A2.

PMAxx™は水溶性のため水に溶解可能です。一部の文献ではDMSOで溶解しています。

Q3.

PMAを使用していますが、PMAxx™に切り替えすべきでしょうか。

A3.

Biotium社でPMAとPMAxx™の性能を様々な細菌種で比較した結果、すべての結果でPMAxx™の方が良い結果が得られました。全ての細菌種で検証していませんが、PMAxx™の使用を推奨します。
ノロウイルスの検出にはPMAxx™の方が良い結果が得られたとの報告もありますが、酵母:Saccharomyces cerevisiae ではPMAの方が同等以上の良い結果が得られたとの報告もあります。

Q4.

環境サンプルでの使用はできますか。

A4.

多くのユーザーがPMAを使用して環境サンプルでv-PCRに成功したとの報告があります。
PMAxx™での使用実績はありませんが、Biotium社ではPMAで成功した場合、PMAxx™でも成功すると予想しています。
PMAの文献はコチラをご参照ください。

Q5.

PMAxx™を室温で放置してしまいましたが大丈夫でしょうか。

A5.

PMAxx™は遮光されている限り化学的に安定しています。Biotium社では室温で10日間放置した場合に影響がないことをHPLCによって確認しています。

Q6.

PMAxx™を処理後にDNAを精製する必要がありますが。それともサンプルに直接PCRを行っても大丈夫でしょうか。

A6.

Biotium社でのv-PCR標準プロトコールはPMA処理後に精製を行っています。ですが、いくつかの文献ではサンプルで直接v-PCRを行い、成功したとの報告もあります。いずれにしても考慮すべき点はPMAの色素が分解もしくは除去されていることが重要となります。

Q7.

PMAxx™処理の前後にサンプルを凍結しても問題ないでしょうか。

A7.

PMAxx™の処理前に凍結はすべきではありません。理由はPMAxx™は細胞膜不透過性であり、凍結により生細胞の細胞膜に損傷が入ることで生細胞と死細胞の判別ができなくなるからです。
PMAxx™処理と光分解後であり、DNA抽出とPCRの前サンプルであれば凍結保存は可能です。光分解では死細胞DNAに結合したPMAxx™は分解されません。
また、細胞を回収するには凍結前に細胞をペレット化して上清を除く事を推奨します。

Q8.

v-PCRにはどのようなプライマーを使用するとよいのでしょうか。

A8.

Biotium社を含めいくつかの研究機関ではアンプリコンの長さがv-PCRの結果に影響を及ぼすことを発見しています。より長いアンプリコンを使用すると死細胞のPCR産物の抑制効果が大きくなるため良い結果が得られます。

製品一覧

  • 項目をすべて開く
  • 項目をすべて閉じる

PMAxx Dye

PMAxx PCRキット

関連製品一覧

  • 項目をすべて開く
  • 項目をすべて閉じる

  • 掲載内容は本記事掲載時点の情報です。仕様変更などにより製品内容と実際のイメージが異なる場合があります。
  • 掲載されている製品について
    【試薬】
    試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
    試験研究用以外にご使用された場合、いかなる保証も致しかねます。試験研究用以外の用途や原料にご使用希望の場合、弊社営業部門にお問合せください。
    【医薬品原料】
    製造専用医薬品及び医薬品添加物などを医薬品等の製造原料として製造業者向けに販売しています。製造専用医薬品(製品名に製造専用の表示があるもの)のご購入には、確認書が必要です。
  • 表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
  • 表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。