iCell® DDP(パーキンソン病モデル)
iCell® DDP (パーキンソン病モデル) の製品群は、 iCell® ドーパミン神経細胞 (SNCA A53T) -01279、 iCell® ドーパミン神経細胞 (GBA N370S) -11344 および iCell®ドーパミン神経細胞 (LRRK2 G2019S) -11299 の三種類のパーキンソン病モデル細胞からなります。
iCell® ドーパミン神経細胞 (SNCA A53T) -01279 は、健常者由来 iPS 細胞において、アルファシヌクレイン (α-syn) 遺伝子の 53 残基のアラニンがトレオニンのヘテロ変異 (A53T) を導入後、ドーパミン神経細胞に分化した "engineered" パーキンソン病モデル細胞です。さらに、iCell® ドーパミン神経細胞 (GBA N370S) -11344 および (LRRK2 G2019S) -11299 は、これらの変異を持ったパーキンソン病患者由来 iPS 細胞から、ドーパミン神経細胞に分化した "innate" パーキンソン病モデル細胞です。
疾患メカニズムの解明から、標的分子の同定、医薬品候補物質のスクリーニング、薬効評価、安全性試験といった創薬研究におけるさまざまなステージでご利用いただけます。
ドナー情報
iCell DopaNeurons SNCA A53T HZ-01279 |
iCell DopaNeurons LRRK2 G2019S -11299 |
iCell DopaNeurons GBA N370S -11344 |
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性別 | 男性 | 男性 | 男性 |
年齢層 | 50-59歳 | 50-59歳 | 60-69歳 |
民族性 | Caucasian | Caucasian | Caucasian |
組織起源 | PBMC | PBMC | PBMC |
遺伝子変異 | SNCA (A53T) | LRRK2 (G2019S) | GBA (N370S) |
リプログラミング法 | エピソーマルベクター | エピソーマルベクター | エピソーマルベクター |
病態モデル作製法 | Genetic Engineering | Innate | Innate |
iCell® ドーパミン神経細胞 (SNCA A53T) -01279について
SNCA 遺伝子の A53T 変異は、パーキンソン病 (PD) に関連する遺伝子変異のうち PD 発症率が高くまた広く研究されている遺伝子変異です。SNCA 遺伝子は、主に脳のシナプス前終末で発現する α-シヌクレイン (α-syn) タンパク質をエンコードし、その A53T 変異は、α-syn を PD 病理の特徴的な指標である凝集体の形成と蓄積を引き起こします。
健常人iPS細胞由来ドーパミン神経細胞である iCell® DopaNeurons と同じ遺伝背景を持った01279 iPS 細胞株の SNCA 遺伝子に A53T ヘテロ変異を導入後、ドーパミン神経細胞に分化した iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279を作製しました。
qPCR 法により iCell® DopaNeurons に対し、iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279 の TH (tyrosine hydroxylase) および DDC (dopa decarboxylase) 遺伝子発現の減少と COMT (catechol-O-methyltransferase) の遺伝子発現の増加が明らかになり、iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279 における DA (dopamine) の生合成レベルの低下が示唆されます。
iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279における、α-シヌクレイン 陽性シグナルは iCell® DopaNeurons よりも強く認められます。
XFミトストレステストによるミトコンドリア機能評価
WT (iCell® DopaNeurons) および A53T (iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279) 細胞の生体エネルギー分析の比較において、酸化的リン酸化脱共役剤である FCCP (carbonyl cyanide 4-(trifluoromethoxy)phenylhydrazoneと最大呼吸能力への応答が A53T 変異細胞で大きいことを示しています。
MEAによる計測
MEA (multi electrode array) において、iCell® DopaNeurons および iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279 の両細胞は、活発な自発発火と同期バーストを示します。 iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279 細胞では、同期バーストの頻度が少なくなりますが、バーストの強度は約5倍大きくなります。
自発 Ca オシレーションの比較
培養の初期 (7日目) の A53T (iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279) 細胞における自発 Ca オシレーション波形は、iCell® DopaNeurons とは大きく異なる振幅と頻度を示します。
iCell® ドーパミン神経細胞 (GBA N370S) -11344 および (LRRK2 G2019S) -11299 について
GBA N370S および LRRK2 G2019S について
Glucosylceramidase (GBA)遺伝子変異はパーキンソン病の強いリスク因子であり、なかでも、GBA N370S 変異はメジャーな変異であることが知られています。GBA 活性とアルファシヌクレイン蓄積量に負の相関が認められます。Leucine rich-repeat kinase 2 (LRRK2) 遺伝子変異は家族性パーキンソン病の責任遺伝子において最も高頻度で認められ、LRRK2 G2019S 変異のパーキンソン病患者脳において、リン酸化タウによる病変が報告されています。
これらの変異を持ったパーキンソン病患者由来 iPS 細胞から、iCell® ドーパミン神経細胞 (GBA N370S) -11344 および (LRRK2 G2019S) -11299 を作製しました。
iCell® ドーパミン神経細胞 (GBA N370S) -11344 および (LRRK2 G2019S) -11299 の細胞性状
コントロールの健常者 iPS 細胞由来ドーパミン神経細胞と比較して、 iCell® ドーパミン神経細胞 (GBA N370S) -11344、(LRRK2 G2019S) -11299 および (SCNA A53T) -01279 は、 GBA 活性の低下 (A)、α-シヌクレインタンパク質の蓄積の増加 (B)、および電気生理学的アクテビティの減少 (C) を示した。
ドキュメント
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iCell®DDP(パーキンソン病モデル)
※iCell細胞製品共通
※iCell ドーパミン神経細胞と共通
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iCell®ドーパミン神経細胞
(SNCA A53T) -01279 -
iCell®ドーパミン神経細胞 (GBA N370S/N) -11344
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iCell®ドーパミン神経細胞 (LRRK2 G2019S/G) -11299
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iCell® 神経用基礎培地
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iCell® 神経用サプリメント B
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iCell® 神経系サプリメント
専用培地
製品コード | メーカーコード | 品名 | 容量 | コントロール細胞 上段:製品コード 下段:メーカーコード |
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iCell® DopaNeurons (SNCA A53T) 01279 株 | ||||
553-34791 | C1112 | iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279 1M Cells 1M iCell® ドーパミン神経細胞 (SNCA A53T) -01279 |
≥1.0 x 106 cells/vial | 551-33511 C1087 |
556-34801 | C1113 | iCell® DopaNeurons SNCA A53T HZ, 01279 5M Cells 5M iCell® ドーパミン神経細胞 (SNCA A53T) -01279 |
≥5.0 x 106 cells/vial | 551-33371 C1028 |
iCell® DopaNeurons (GBA N370S) 11344 株 | ||||
559-41981 | C1147 | iCell® DopaNeurons (GBA N370S) 11344 1M Cells 1M iCell® ドーパミン神経細胞 (GBA N370S) -11344 |
≥1.0 x 106 cells/vial | 551-33511 C1087 |
556-41991 | C1148 | iCell® DopaNeurons (GBA N370S) 11344 5M Cells 5M iCell® ドーパミン神経細胞 (GBA N370S) -11344 |
≥5.0 x 106 cells/vial | 551-33371 C1028 |
iCell® DopaNeurons (LRRK2 G2019S) 11299 株 | ||||
553-42001 | C1149 | iCell® DopaNeurons (LRRK2 G2019S) 11299 1M Cells 1M iCell® ドーパミン神経細胞 (LRRK2 G2019S) -11299 |
≥1.0 x 106 cells/vial | 551-33511 C1087 |
550-42011 | C1150 | iCell® DopaNeurons (LRRK2 G2019S) 11299 5M Cells 5M iCell® ドーパミン神経細胞 (LRRK2 G2019S) -11299 |
≥5.0 x 106 cells/vial | 551-33371 C1028 |
550-33601 | M1010 | iCell® Neural Base Medium 1 100mL iCell® 神経用基礎培地 |
100 mL | - |
551-33631 | M1029 | iCell® Neural Supplement B 2mL iCell® 神経用サプリメント B |
2 mL | - |
558-33641 | M1031 | iCell® Nervous System Supplement 1mL iCell® 神経系サプリメント |
1 mL | - |
培地およびサプリメントはコントロール細胞と共通です。
関連論文
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・iCell® ドーパミン神経細胞 (SNCA A53T)
- Nasia Antoniou., et al.:npj Parkinsons Dis. 8, 15 (2022)
High content screening and proteomic analysis identify a kinase inhibitor that rescues pathological phenotypes in a patient-derived model of Parkinson’s disease
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iCell ドーパミン神経細胞 (SNCA A53T)-01279
iCell ドーパミン神経細胞(GBA N370S)-11344
iCell ドーパミン神経細胞 (LRRK2 G2019S)-11299
専用培地・サプリメント
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