同仁化学 微生物染色試薬(Bacstainシリーズ)

細菌や真菌の生存率は寒天培地を用いたコロニー形成能によって評価されるのが一般的です。しかし、この手法は非常に長い時間を必要とします(24~72 時間)。また、環境中に存在する微生物のほとんどが未だ最適な培養条件が見出せていないとされています(VNC:viable but non-culturable)。迅速検出法も発展を続けており、PCR 法やLAMP 法等の遺伝試験も汎用されています。しかしながら、これらの遺伝子検査では死細胞でも検出されてしまうため、生存率を求めることができません。一方で蛍光染色も迅速検出法のひとつとして、生存率測定に応用されています。
同仁化学研究所ではBacstainシリーズとして微生物染色試薬をラインアップしています。

色素の特性

色素名 検出 λex (nm) λem (nm) 特長
CTC 蛍光 430, 480 630 細胞内呼吸活性により蛍光を発する。
CFDA 蛍光 493 515 細胞内エステラーゼ活性により蛍光を発する。
DAPI 蛍光 360 460 細胞の核酸と結合して蛍光を発する。
EB 蛍光 520~525 615 細胞の核酸と結合して蛍光を発する。
PI 蛍光 530 620 細胞の核酸と結合して蛍光を発する。
AO 蛍光 420~460
500
630~650(ssDNA)
520(dsDNA)
DNAの2本鎖と一本鎖で蛍光特性が異なる。

生菌の検出

高感度!!

CTC は細胞の代謝活性に伴い産生される NAD(P)H により還元され、蛍光性のホルマザン色素を生成します。この色素は脂溶性であり、細胞膜表面に沈着したような形で確認できることから、蛍光顕微鏡やFlow cytometerを使った生存率測定に応用されています。CTC Rapid Staining Kit(for Microscopy, for Flow cytometry)には、CTC の還元反応を増強するenhancing reagentが含まれています。これを用いることによって、従来の CTC 染色に比べ高感度なアッセイが可能です。

従来のCTC染色(右図)と比べ、CTC Rapid Staining Kitによる染色(左図)をしたサルモネラの方が鮮明な赤色蛍光を発している。

生死菌の二重染色

細胞内エステラーゼ活性の有無により生存率を求めるのに 使用されるのがCFDAです。CFDAはそれ自体では蛍光性 を持ちませんが、細胞膜透過後にエステラーゼの加水分解を受けることによって蛍光性のcarboxyfluoresceinとなり、B励起下で緑色の蛍光を発します。また、対比染色試薬として核酸染色試薬であるDAPIやPIが汎用されています。細胞膜透過性の異なる2種の核酸染色試薬を併用した生存率測定法も汎用されています。DAPIはDNAのAT配列に特異的なminor groove binderで、菌染色において汎用されます。膜の損傷に関わらず細胞内へ透過し核酸を染色します。 一方、PIは細胞膜が損傷した細胞にのみ透過します。DAPIとPIを組合わせた二重染色によって、細胞膜の損傷を指標とした生死判定に活用されます。

  • 細菌の二重染色画像

    Lactobacillus caseiを-Bacstain- CTC Rapid Staining Kit(for Microscopy)で染色後、-Bacstain- DAPI solutionで対比染色した(左図)。
    Bacillus cereusを-Bacstain- CFDA solutioinで染色後、-Bacstain- DAPI solutionで対比染色した。(右図)

  • 細菌の二重染色画像

    E.coliを-Bacstain- CFDA solutionで染色後、-Bacstain- DAPIsolutionで対比染色した。(左図)。
    Staphylococcus epidemidisを-Bacstain- DAPI solutionで染色後、-Bacstain- DAPI solutionで対比染色した。(右図)。

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