薗頭・萩原クロスカップリング反応
ハロゲン化アリールまたはハロアルカンと、末端アルキンのクロスカップリング反応です。触媒量のPd(0)+ヨウ化銅+アミンのコンビネーションが促進させます。
近年ではパラジウムや銅などがなくても進行する系が見いだされつつあります。
本記事はWEBに混在する化学情報をまとめ、それを整理、提供する化学ポータルサイト「Chem-Station」の協力のもと、ご提供しています。
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歴史的経緯
1975年にHecka)、Cassarb)と薗頭・萩原の3グループから、それぞれ独立してハロゲン化アリールとアルキンとの触媒的カップリング反応が相次いで報告されました。化学量論量以上の銅塩を用いたアルキニル化の例は報告されていましたがa)、本反応は触媒量のパラジウム錯体を用いることで反応が進行する先駆的な例です。特に薗頭らの反応条件は、ヨウ化銅(CuI)を助触媒として用いており、CassarとHeckらより穏和な条件で反応が進行し、対応するアリールアセチレンが高収率で得られます。
a)Dieck, H. A. and Heck, F. R. : J. Organomet. Chem., 93, 259 (1975).
b)Cassar, L. : J. Organomet. Chem., 93, 253 (1975).
反応機構
反応例
Gingkolideの合成1)
分子内園頭-荻原アセチレンカップリングによるエンジイン骨格の合成
それほどsensitiveな反応でもなく、収率も良いため固相担持基質への反応にも応用できます。コンビナトリアル合成・ライブラリー構築に使用されることもあります。
近年パラジウムを用いる触媒的カップリングの発展は著しく、かさ高く電子豊富なリン配位子を用いて低反応性のアリールブロミドやアリールクロリドを反応に供することが出来るようになりました。5, 6)
Callipeltosideアグリコンの合成7)
実験手順
ピリジンブロミドとの薗頭カップリング
実験のコツ・テクニック
上述したようにPdに銅を助触媒として併せもちいるのが本反応です。Pdの場合は、Heck–Classar反応、Cuのみは三浦ら、AuはCrma、そしてFe触媒を用いた場合はそれぞれBolmらによって報告されています。
参考文献
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基本文献
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Review
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