Beckmann Rearrangement
ベックマン転位反応
オキシムの酸触媒による転位、引き続く加水分解によりアミドが得られます。環状オキシムを用いると環拡大されたアミドが得られます。シクロヘキサンオキシムからのBeckmann転位により、6-ナイロンの原料であるε-カプロラクタムが合成できます。これは工業的にも利用されています。
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反応機構
軌道論的には、オキシムのOH基に対しトランスからの転位が優位です。しかし、酸性条件においてはオキシムのE/Z異性化は速いため、実際には転位しやすい置換基が転位します。転位のしやすさは aryl,alkenyl> tert-alkyl > sec-alkyl > prim-alkyl の順であり、電子豊富さと相関が高くなります。
参照: Angew. Chem. Int. Ed., 44, 2370 (2005).
反応例
山本・石原らは、塩化シアヌル-塩化亜鉛触媒系がBeckmann転位が有効であることを見出しています1)。
分子内カルボニル-ene反応と組み合わせるとジヒドロピリジン環が合成できます2)。
Pinnaic Acidの合成3)
MSH試薬4)を用いたBeckmann転位によって、α-四級アミンを立体選択的に構築しています。
参考文献
- Furuya, Y., Ishihara, K. and Yamamoto, H. : J. Am. Chem. Soc., 127, 11240 (2005). DOI: 10.1021/ja053441x
- 大学院講義有機化学 II, p138.
- Xu, S., Arimoto, H. and Uemura, D. : Angew. Chem. Int. Ed., 46, 5764 (2007). DOI:10.1002/anie.200701581
- Tamura, Y., Fujiwara, H., Sumoto, K., Ikeda, M. and Kita, Y. : Synthesis, 215 (1973).
- Schinzer, D. and Bo, Y. : Angew. Chem. Int. Ed., 30, 687 (1991). DOI: 10.1002/anie.199106871
基本文献
- Beckmann, E. : Ber., 19, 988 (1886).
- Donaruma, L. G. and Heldt, W. Z. : Org. React., 11, 1 (1960).
- Gawtey, R. E. : Org. React., 35, 1 (1988).
- Hauske, J. R. : Comp. Org. Syn., 1, 98 (1991).
- Maruoka, K. and Yamamoto, H. : Comp. Org. Syn., 6, 763 (1991).
- Craig, D. : Comp. Org. Syn., 7, 689 (1991).
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