Mizoroki-Heck Reaction

溝呂木・ヘック反応

Pd(0)触媒存在下に、ハロゲン化アリール/アルケニルを末端オレフィンとクロスカップリングさせ、置換オレフィンを合成する反応です。官能基選択性が優れており、高収率です。

生成するオレフィンの位置異性化が起こらない系に対して特に有効です。基質にアリルアルコール類を用いると、オレフィンの位置異性化が起こりカルボニルが得られます。

アリール・アルコキシカルボニルなどの電子求引基をもつアルケンの場合、置換基の無い炭素で結合形成が起こります。他方、アルコキシエーテルなどの電子供与性置換を持つアルケンにおいては、位置選択制制御は困難です。

分子内Heck反応はDiels-Alder反応と並び、四級不斉炭素を有する縮環化合物を合成可能な数少ない方法論です(反応例参照)。

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反応機構

migratory insertionおよびβ-hydride eliminationは、ともにパラジウムに対してsynの位置で起こります。この知見はHeck反応の立体化学(特に縮環化合物を合成するケース)を理解するのに重要です。

反応例

Arenastatin Aの合成1)

アリールアミン類とのHeck反応

π-アリルパラジウム中間体の補足2)

アミドのN原子がパラジウムに対して逆面から求核攻撃します。

Scopadulcic Acid A合成におけるドミノHeck反応3)

パラジウムに対してsynの位置に脱離すべきβ-ヒドリドがない場合、2つめのオレフィンが挿入して多環性化合物を与えます。

不斉Heck反応を用いるEpitazocine合成4)

二座キラルホスフィン配位子を用いることで不斉化が可能です。カチオン性パラジウムが高選択的反応には重要です。基質としてトリフラートを用いるか、もしくはハライド+銀塩添加が必要です。

酢酸パラジウムとP(o-Tol)3から調製される安定なパラダサイクル触媒を用いると触媒回転数(TON)を100万程度にまで向上させることができます。

実験手順

アルケニルブロミドおよびアクリル酸メチル間の溝呂木-Heck反応5)

 

参考文献

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基本文献

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