デュポン社イオン交換樹脂
デュポン社イオン交換樹脂は、懸濁重合法により合成されたイオン交換樹脂で、水処理をはじめ、アミノ酸、糖などの精製や金属の除去など様々な用途で使用されています。
デュポン社イオン交換樹脂について
デュポン社のイオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンの微細孔構造をもつ共重合体であり、懸濁重合法によって粒径が制御されて生産されています。本品の特長としては、①酸化、還元、力学的な摩耗や破損への対応に優れている、②破砕状の樹脂と比較して、信頼性と再現性の高いパフォーマンスを示す、③粒径、架橋度(または含水率)を制御した商品群になっていることが挙げられます。
デュポン社イオン交換樹脂は、樹脂の種類(強酸性、強塩基性)、架橋度(ジビニルベンゼンの比率)、メッシュサイズの組み合わせによって性能が異なりますので、お客様の用途に合わせてお使いください。
樹脂の種類は下記の3種類です。
50W: 強酸性陽イオン交換樹脂
1: 強塩基性陰イオン交換樹脂、タイプI
2: 強塩基性陰イオン交換樹脂、タイプII
ダウ社製イオン交換樹脂との対応表
ダウ社のイオン交換樹脂事業がデュポン社へ移行したことに伴い、商品名が変更になりました。対応表は下記の通りとなります。変更点は商品名のみであり、品質、性能等は同じです。
強酸性陽イオン交換樹脂
コード | 容量 | ダウ社イオン交換樹脂 (商標抜き) | コード | 品名 |
---|---|---|---|---|
322-97561 | 100mL | 50Wx2 50-100メッシュ強酸性陽イオン交換樹脂(H形) | 353-45621 | 強酸性陽イオン交換樹脂No.1 (架橋度2%, 50-100メッシュ, H形) |
324-97565 | 500mL | 355-45625 | ||
325-97551 | 100mL | 50Wx2 100-200メッシュ強酸性陽イオン交換樹脂(H形) | 351-45661 | 強酸性陽イオン交換樹脂No.2 (架橋度2%, 100-200メッシュ, H形) |
327-97555 | 500mL | 353-45665 | ||
356-27271 | 100mL | 50Wx4 50-100メッシュ強酸性陽イオン交換樹脂 (H形) | 350-46231 | 強酸性陽イオン交換樹脂 No.8 (架橋度4%, 50-100メッシュ, H形) |
358-27275 | 500mL | 352-46235 | ||
329-97571 | 100mL | 50Wx4 100-200メッシュ強酸性陽イオン交換樹脂 (H形) | 358-45671 | 強酸性陽イオン交換樹脂No.3 (架橋度4%, 100-200メッシュ, H形) |
321-97575 | 500mL | 350-45675 | ||
323-97591 | 100mL | 50Wx8 50-100メッシュ強酸性陽イオン交換樹脂 (H形) | 355-45681 | 強酸性陽イオン交換樹脂No.4 (架橋度8%, 50-100メッシュ, H形) |
325-97595 | 500mL | 357-45685 | ||
328-97541 | 100mL | 50Wx8 100-200メッシュ強酸性陽イオン交換樹脂 (H形) | 352-45691 | 強酸性陽イオン交換樹脂No.5 (架橋度8%, 100-200メッシュ, H形) |
320-97545 | 500mL | 354-45695 | ||
326-97581 | 100mL | 50Wx8 200-400メッシュ強酸性陽イオン交換樹脂 (H形) | 355-45701 | 強酸性陽イオン交換樹脂No.6 (架橋度8%, 200-400メッシュ, H形) |
328-97585 | 500mL | 357-45705 | ||
354-14381 | 100mL | 650C 強酸性陽イオン交換樹脂 (H形) | 352-45711 | 強酸性陽イオン交換樹脂No.7 (H形) |
350-14383 | 1000mL | 358-45713 |
強塩基性陰イオン交換樹脂
コード | 容量 | ダウ社製イオン交換樹脂 (商標抜き) | コード | 品名 |
---|---|---|---|---|
323-97471 | 100mL | 1x2 50-100メッシュ強塩基性I型陰イオン交換樹脂(Cl形) | 359-45721 | 強塩基性陰イオン交換樹脂 No.1 (架橋度2%, 50-100メッシュ, Cl形) |
325-97475 | 500mL | 351-45725 | ||
326-97461 | 100mL | 1x2 100-200メッシュ強塩基性I型陰イオン交換樹脂(Cl形) | 356-45731 | 強塩基性陰イオン交換樹脂 No.2 (架橋度2%, 100-200メッシュ, Cl形) |
328-97465 | 500mL | 358-45735 | ||
327-97511 | 100mL | 1x4 50-100メッシュ強塩基性I型陰イオン交換樹脂(Cl形) | 353-45741 | 強塩基性陰イオン交換樹脂 No.3 (架橋度4%, 50-100メッシュ, Cl形) |
329-97515 | 500mL | 355-45745 | ||
320-97501 | 100mL | 1x4 100-200メッシュ強塩基性I型陰イオン交換樹脂(Cl形) | 350-45751 | 強塩基性陰イオン交換樹脂 No.4 (架橋度4%, 100-200メッシュ, Cl形) |
322-97505 | 500mL | 352-45755 | ||
324-97521 | 100mL | 1x8 50-100メッシュ強塩基性I型陰イオン交換樹脂(Cl形) | 357-45761 | 強塩基性陰イオン交換樹脂 No.5 (架橋度8%, 50-100メッシュ, Cl形) |
326-97525 | 500mL | 359-45765 | ||
327-97491 | 100mL | 1x8 100-200メッシュ強塩基性I型陰イオン交換樹脂(Cl形) | 354-45771 | 強塩基性陰イオン交換樹脂 No.6 (架橋度8%, 100-200メッシュ, Cl形) |
329-97495 | 500mL | 356-45775 | ||
321-97531 | 100mL | 1x8 200-400メッシュ強塩基性I型陰イオン交換樹脂(Cl形) | 351-45781 | 強塩基性陰イオン交換樹脂 No.7 (架橋度8%, 200-400メッシュ, Cl形) |
323-97535 | 500mL | 353-45785 | ||
355-14431 | 100mL | 550A 強塩基性I型陰イオン交換樹脂 (OH形) | 358-45791 | 強塩基性陰イオン交換樹脂No.8 (OH形) |
351-14433 | 1000mL | 354-45793 |
デュポン社製イオン交換樹脂の物性表
強酸性陽イオン交換樹脂 (官能基:スルホン酸)
コード No. | 容量 | 樹脂名 | 架橋度 (%) | メッシュサイズ | イオン形 | 含水率 (%) | 総交換量 (meq/mL) | 耐用温度(℃) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
353-45621 | 100mL | No.1 (50Wx2) | 2 | 50-100 | H+ | 74-82 | 0.6 | 150 |
355-45625 | 500mL | |||||||
351-45661 | 100mL | No.2 (50Wx2) | 2 | 100-200 | H+ | 74-82 | 0.6 | 150 |
353-45665 | 500mL | |||||||
350-46231 | 100mL | No.8 (50Wx4) | 4 | 50-100 | H+ | 64-72 | 1.1 | 150 |
352-46235 | 500mL | |||||||
358-45671 | 100mL | No.3 (50Wx4) | 4 | 100-200 | H+ | 64-72 | 1.1 | 150 |
350-45675 | 500mL | |||||||
355-45681 | 100mL | No.4 (50Wx8) | 8 | 50-100 | H+ | 50-56 | 1.7 | 150 |
357-45685 | 500mL | |||||||
352-45691 | 100mL | No.5 (50Wx8) | 8 | 100-200 | H+ | 50-58 | 1.7 | 150 |
354-45695 | 500mL | |||||||
355-45701 | 100mL | No.6 (50Wx8) | 8 | 200-400 | H+ | 50-58 | 1.7 | 150 |
357-45705 | 500mL | |||||||
352-45711 | 100mL | No.7 (650C) | ー | 650±50μm | H+ | 46-51 | 2.0 | 130 |
358-45713 | 1000mL |
強塩基性陰イオン交換樹脂タイプI (官能基:トリメチルベンジルアンモニウム)
コード No. | 容量 | 樹脂名 | 架橋度 (%) | メッシュサイズ | イオン形 | 含水率 (%) | 総交換量 (meq/mL) | 耐用温度(℃) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
359-45721 | 100mL | No.1 (1x2) | 2 | 50-100 | Cl- | 65-75 | 0.7 | 100 |
351-45725 | 500mL | |||||||
356-45731 | 100mL | No.2 (1x2) | 2 | 100-200 | Cl- | 70-80 | 0.6 | 100 |
358-45735 | 500mL | |||||||
353-45741 | 100mL | No.3 (1x4) | 4 | 50-100 | Cl- | 50 min. | 1.0 | 100 |
355-45745 | 500mL | |||||||
350-45751 | 100mL | No.4 (1x4) | 4 | 100-200 | Cl- | 55-63 | 1.0 | 100 |
352-45755 | 500mL | |||||||
357-45761 | 100mL | No.5 (1x8) | 8 | 50-100 | Cl- | 43-48 | 1.2 | 100 |
359-45765 | 500mL | |||||||
354-45771 | 100mL | No.6 (1x8) | 8 | 100-200 | Cl- | 39-45 | 1.2 | 100 |
356-45775 | 500mL | |||||||
351-45781 | 100mL | No.7 (1x8) | 8 | 200-400 | Cl- | 39-45 | 1.2 | 100 |
353-45785 | 500mL | |||||||
358-45791 | 100mL | No.8 (550A) | ― | 590±50μm | OH- | 55-65 | 1.1 | 60 |
354-45793 | 1000mL |
Q&A集
Q1. 推奨する保管方法は?
屋内冷暗室で、高温多湿を避け、室温(0~30℃)中での保管をお願いします。
Q2. イオン交換樹脂の取り扱い方は?
通常の使用においては一晩純水に浸漬させます。購入したイオン交換樹脂のイオン形を他のイオン形に変換する場合は、変換したいイオン形を含む薬液を使用することによってイオン形を変換することができます。例えば、H形の陽イオン交換樹脂をNa形に変換したい場合、1Nの塩化ナトリウム溶液で浸漬・リンスすることによってNa形に変換できます。有機溶媒などの精製では樹脂を乾燥させてから使用する場合もあります。乾燥温度は樹脂の耐用温度を超えない範囲で行うようにしてください(耐用温度は物性表を参考にしてください)。
Q3. イオン交換樹脂を使用する際の注意点は?
硝酸などの強い酸化剤と接触すると、イオン交換樹脂は直ちに酸化され、条件によっては爆発的な反応を起こすことがあります。眼・顔面の保護のため、安全メガネを着用してください。眼との接触があった場合、大量の水で洗眼してください。また、床へ流出した場合は滑りやすく危険です。すぐにふき取るようにしてください。詳細はSDSをご参照願います。
Q4. イオン交換樹脂のイオン形の変換方法は?
■ 強酸性陽イオン交換樹脂
- H→Na形:イオン交換樹脂をカラムに詰め、0.5-2.0%の塩化ナトリウム水溶液あるいは水酸化ナトリウム水溶液を2~4BV*通液させる。このとき、液の接触時間は最低15分以上とする(イオン形が変換されている間は酸性あるいは中性の溶液が流出する)。
- H→K形:0.5M (~3wt%)の水酸化カリウム水溶液を3~4.5BV*通液させる。
- Na→H形:5~8%の塩酸水溶液を5~6BV*通液させ、純水で抽出液が中性付近になるまで洗浄する。
■強塩基性陰イオン交換樹脂
- Cl→OH形:イオン交換樹脂をカラムに詰め、4%の水酸化ナトリウム水溶液を5~10BV*通液させる。このとき、液の接触時間が最低1時間以上になるようにゆっくり通液させる。その後、純水で抽出液が中性付近になるまで洗浄する。
■弱塩基性陰イオン交換樹脂
- Cl→OH形:イオン交換樹脂をカラムに詰め、4~8%の水酸化ナトリウム水溶液を2~4BV*通液させる。このとき、液の接触時間が最低30分以上になるようにゆっくり通液させる。その後、純水で抽出液が中性付近になるまで洗浄する。
*BV (Bed Volume):充填したイオン交換樹脂体積量を1BVとする
Q5. イオン交換樹脂の再生方法は?
再生する樹脂によって使用する薬液の種類と濃度が異なります。一般的に再生で使用される薬液と濃度は以下の通りです。
- 強酸性陽イオン交換樹脂:3~8%塩酸水溶液または硫酸水溶液
- 強塩基性陰イオン交換樹脂:3~8%水酸化ナトリウム水溶液
- 弱塩基性陰イオン交換樹脂:0.5~5%水酸化ナトリウム水溶液
薬液の接触時間は、強酸性陽イオン交換樹脂でおよそ30分、強塩基陰イオン交換樹脂でおよそ45分を目安としています。ただし、この方法で100%納品時の状態に戻る保証はありません。使用した薬液に対して、どれくらいの割合で樹脂が再生できたかを管理することが一般的です。
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