ヒトの血液中に見出された新規抗菌ペプチド

ペプチド研究所 Hepcidin / LEAP-1、抗菌ペプチド(Defensins 他)

植物や動物には、病原微生物の侵入・定着を防ぐために、抗菌作用を持つ種々のペプチドが存在します。これらの抗菌ペプチドはクラス分けされ、その作用機序も解明されつつあります[Nature, 415, 389 (2002)]。ヒトでは代表的なものに Defensin があり、構造上の違いなどからα型とβ型の2種類が知られています。2000年に、ヒトの血液の透析液中に 25 アミノ酸残基からなる抗菌ペプチドが見つかりました[FEBS Lett., 480, 147 (2000)]。この抗菌ペプチドの遺伝子は肝臓に強く発現していることから Liver-Expressed Antimicrobial Peptide 1 (LEAP-1) と命名されました。ちょうど同じ頃、別のグループが、ヒトの尿中から抗菌ペプチドを同定し、Hepcidin (Hepc) 25 と命名しました[J. Biol. Chem., 276, 7806 (2001)] 。この Hepc25 は LEAP-1 と同じ構造でした。彼らは N-端が短い Hepc22 と Hepc20 も単離同定しています。

LEAP-1 / Hepcidin はグラム陽性菌 (Bacillus megaterium, Bacillus subtilis, Micrococcus luteus, Staphylococcus aureus, Staphylococcus carnosus) 、グラム陰性菌 (Escherichia coli, Neisseria cinerea)、真菌 (Candida albicans, Aspergillus fumigatus, Aspergillus niger) に対する抗菌作用ばかりでなく酵母に対しても有効で、例えばビール酵母 (Saccharomyces cerevisiae) に対する IC50 は 18 µM です[FEBS Lett., 480, 147 (2000)]。また、活性は塩濃度の影響を受けます[J. Biol. Chem., 276, 7806 (2001)]。

前述のように LEAP-1 の遺伝子は肝臓で非常に強く発現し、心臓ではわずか、脳をはじめとする他の臓器ではさらに少なく、腎臓ではほとんど発現が認められません。一方、LEAP-1 / Hepcidin は抗菌作用を持つだけでなく、体内を循環している肝臓由来のペプチドであり、鉄のホメオスタシスに重要な役割を担っている可能性が指摘されています[Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 98, 8160 (2001)]。

このように、ヒトに見出された新しい抗菌ペプチド LEAP-1 / Hepcidin は、存在場所と構造が Defensin とは異なり、他の免疫システムとの相乗作用や鉄ホメオスタシスの調節作用も考えられ、今後の研究の進展が注目されています。

参考文献

  1. N. Murao, M. Ishigai, H. Yasuno, Y. Shimonaka, and Y. Aso, Rapid Commun. Mass Spectrom., 21, 4033 (2007).
  2. T. Hosoki, K. Ikuta, Y. Shimonaka, Y. Sasaki, H. Yasuno, K. Sato, T. Ohtake, K. Sasaki, Y. Torimoto, K. Saito, and Y. Kohgo, Proteomics Clin. Appl., 3, 1256 (2009).

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