甲状腺刺激ホルモン (TSH) ELISAキット

甲状腺刺激ホルモン (TSH: Thyroid-Stimulating Hormone) は、別名チロトロピンとも呼ばれる、分子量 約28,000 Daの糖タンパク質で、αとβの2つのサブユニットから構成されます。α-サブユニットは黄体形成ホルモン (LH) や 卵胞刺激ホルモン (FSH) と共通の構造であり、β-サブユニットはTSHに特異的な構造です。TSHは無機よう素の摂取やチログロブリンのよう素化を通じて、甲状腺ホルモンの合成と分泌を促進し、脂肪組織でのグルコース分解や脂肪分解を誘導します。なお、TSHはがん原性試験における発がん機序の推定において、検討されるべき項目として挙がっています¹⁾。

TSHは下垂体前葉の好塩基細胞 (チロトローフ) で産生・分泌されます。甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH: Thyrotropin-Releasing Hormone) によって分泌が促進される他、エストロゲンやインスリン、寒冷ストレスなどによっても間接的に促進されることが知られています。逆に分泌を抑制する因子として、甲状腺ホルモンや成長ホルモン、グルココルチコイド、オピオイドペプチドがあり、交感神経刺激性のストレスや飢餓などでも抑制されます。そのため、TSHの血中濃度には日内変動が観察されます。

レビス™ ラットTSH ELISAキットは、ラットの甲状腺刺激ホルモン (TSH) を定量的に測定するためのサンドイッチELISAキットです。α-サブユニットおよびβ-サブユニットを認識する2種類の抗体を使用するため、nativeなTSHに対する特異性が高くなっています。なお検出原理が異なるため、甲状腺摘出後や抗甲状腺薬投与による血中TSHの測定値などが、今まで報告されている競合法を用いたラジオイムノアッセイ (RIA) の測定値とは一致しないことがあります。
本製品はキット中の全ての試薬が溶液タイプで、即座に使用可能です。標準溶液も6濃度調製済みです。

キット性能

検量線範囲	0.184-18.0 ng/mL
測定対象	甲状腺刺激ホルモン (TSH)
測定対象検体	ラット 血清/血漿 (EDTA)
必要検体量	20 μL
測定時間	約4時間
検出法	発色系 (主波長: 450 nm/副波長: 620 nm)

検量線例

類似ホルモンとの交差性

ラット血中TSHの測定例

1. 厚生省告示, 令和5年3月10日, 薬生薬審発 0310 第１号 (2023). (2025年4月14日閲覧)
   医薬品のがん原性試験に関するガイドラインの改正について