StemSure® 凍結保存溶液
本製品はマウスES細胞をはじめとする種々の汎用動物細胞株の凍結保存に適した無血清タイプの細胞凍結保存溶液です。本製品は10%DMSO, BSAを含んでいます。規格試験としてマウスES細胞D3株を用い凍結保存・融解し、細胞生存率の確認を行っています。本製品は、プログラムフリーザーを用いず、緩慢凍結法で細胞を凍結保存できます。
マウスES細胞D3株を-80℃で2年間保存したとき高い生存率を維持していること、汎用動物細胞株を-150℃で30ヶ月保存したとき高い生存率を維持していることを確認しました。また、ヒトiPS細胞の凍結保存に使用できることも確認しました。
特長
- ヒトiPS細胞・マウスES細胞を未分化能を維持したまま凍結保存できる。
- -80℃で長期間凍結保存できる。
- 汎用動物細胞株の凍結保存後の細胞生存率が良い。
- 血清を含まない無血清タイプ。
- 面倒な試薬の調製が不要。
- プログラムフリーザーも不要。
試験項目
- 細胞生存率試験 (マウスES細胞D3株を使用)
- 無菌試験
- エンドトキシン
- マイコプラズマ試験
使用方法
ヒトiPS細胞の凍結保存
1. 凍結保存
- ヒトiPS細胞を培養中のディッシュより培養液を除去し、PBSで洗浄後、Accutaseなどで細胞を剥がす。
- 10 μmol/L Y-27632を含むヒトiPS細胞用培地 (hPSC培地 (+ROCKi) ) を加え、ピペッティングでシングルセルに分散する。
- 分散した細胞懸濁液をチューブに移し、遠心 (1,000rpm, 3分, 室温) 後、上清を除去する。
- hPSC培地 (+ROCKi) を含む培地を加え、ピペッティングで懸濁する。
- 細胞数をカウントする。
- 1 x 106 cells/バイアルとなるよう細胞懸濁液を保存用バイアルに分注する。
- 遠心 (1,000rpm, 3分, 室温) 後、上清を除去する。
- 本製品 500 μL/バイアルで懸濁し、-80℃で凍結する。
2. 融解
- 凍結していたバイアルにhPSC培地 (+ROCKi) を加え、凍結細胞を融解する (温浴は使用しない)。
- 遠心 (1,000rpm, 3分, 室温) 後、上清を除去し、再度hPSC培地 (+ROCKi) を加え、懸濁する。
- 細胞数をカウントする。
- 2 x 105 cells/6cm dishで播種する 。
マウスES細胞・汎用動物細胞株の凍結保存
1. 凍結保存
- 細胞をチューブに収集する。
- 遠心し、上清を除去する。
- チューブに本製品を添加し、懸濁する。
- 懸濁液を保存用チューブに分注する。
- 保存用チューブを-80℃で一晩凍結させる。
- -150℃、あるいは-80℃で保存する。
2. 融解
- 凍結保存しておいたチューブを37℃の温浴槽で融解させる。
- 培養に使用する培養用培地に懸濁する。
- 遠心し、上清を除去後、培養用培地で懸濁する。
- 培養容器に播種する。
ヒトiPS細胞201B7株の凍結保存
ヒトiPS細胞201B7株をシングルセルに分散したあと、StemSure®凍結保存溶液に懸濁して、-80℃で4日間凍結保存した。凍結融解を3回繰り返した後、細胞生存率および各種未分化マーカー (Oct3/4, Sox2, SSEA-4, Tra-1-81) の発現を確認した。
細胞生存率
未分化マーカー発現の確認
マウスES細胞D3株の凍結保存
StemSure®凍結保存溶液を用いて、マウスES細胞D3株を凍結保存した。凍結した細胞を融解し、細胞生存率を測定した。また、融解した細胞を10日間培養し、コロニー形成率を測定した。
-150℃保存 (30ヶ月) |
<凍結保存> ① 1~2 x 106cellsを本製品1 mLに懸濁し、 保存用チューブに分注する。 ② -80℃で1日間凍結保存後、-150℃に移し、 凍結保存する。あるいは-80℃で凍結保存する。 <融解> ③ 37℃の温浴層で融解する。 ④ 培養用培地で懸濁し、遠心する。 ⑤ 上清を吸引し、培養用培地で懸濁する。 ○コロニー形成の確認 ≪播種細胞数≫ 500 cells/well (コラーゲンコート6穴プレート) ≪培養期間≫ 10日間 |
-80℃保存 (24ヶ月) |
細胞形態・未分化マーカーの確認
StemSure®凍結保存溶液を用いてマウスES細胞D3株の凍結融解を4回繰り返した後、細胞形態、ALP染色、各種未分化マーカー (Oct3/4, Sox2, Nanog, SSEA-1) の発現を確認した。
<凍結保存>
① 1~2 x 106cellsを本製品 1 mLに懸濁し、保存チューブに分注する。
② -80℃で1日間凍結保存後、-150℃に移し、1日間保存する。
<解凍>
③ 37℃の温浴槽で融解後、培養用培地で懸濁し、遠心後、上清を除去する。
④ 培養用培地で再懸濁後、培養容器に播種し、培養する。
⑤ ①~④を4回繰り返す。
その後、位相差顕微鏡 (Phase) で撮影、ALP染色、
免疫染色 (各種未分化マーカー、DAPI) を行った。
テラトーマ形成の確認
StemSure®凍結保存溶液を用いてマウスES細胞D3株を-150℃で11ヶ月間凍結保存した。その細胞を融解後、培養し、免疫不全マウスの皮下にインジェクションした。皮下にテラトーマが形成され、その内部に神経組織 (外胚葉由来)、軟骨組織 (中胚葉由来)、繊毛上皮を伴う管腔構造 (内胚葉由来) などを確認した。
汎用動物細胞株の凍結保存後の細胞生存率
StemSure®凍結保存溶液を用いて、各種動物細胞株を凍結保存した。30ヶ月後も高い生存率を維持していること、融解した細胞が生着することを確認した。
<凍結保存> ① 1~2 x 106cellsを本製品1 mLに懸濁し、保存チューブに分注する。 ② -80℃で1日間凍結保存後、-150℃に移し、2ヶ月、4ヶ月、 30ヶ月間凍結保存する。 <融解> ③ 37℃の温浴層で融解後、培養用培地で懸濁し、遠心する。 ④ 上清を除去し、培養用培地で懸濁する。 |
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