等温遺伝子増幅試薬

生体に由来する遺伝子を解析する実験においては検体採取が非常に重要な工程です。検体の採取、およびその保存を適切な条件で行わなければ安定した実験結果を得ることはできません。ニッポンジーンのGene Keeper RNA & DNA stabilization solutionは、採取した組織または細胞などの試料に素早く浸透し、細胞内のRNAおよびDNAを安定化するため、核酸の単離操作を行うまでの期間、常温で安定に試料を保存することができます。

学術コンテンツ

DNA増幅法について

DNA増幅法ではPCR法が最もよく使用されています。PCRは標的とするDNAが存在するかどうかを調べる場合や、2n倍にDNAが増幅する特長を利用して、標的DNAの存在量を調べる場合に用いられます。一方で、正確な温度の上げ下げをするため、特別な装置(サーマルサイクラー)が必要となることや、GC含有量が多い配列の場合、DNAの二次構造による合成阻害を受ける可能性があります。

そこで、耐熱性鎖置換型DNA Polymeraseを用いた遺伝子増幅法(Loop-mediated Isothermal Amplification、LAMP法)が開発されました。耐熱性鎖置換型DNA Polymeraseは酵素自身が二本鎖DNAの水素結合を解離しつつ、新しいDNA鎖を合成するため、一定の温度で核酸の増幅が進行します。そのため、 LAMP法は高価なサーマルサイクラーを必要とせず、ヒートブロックや恒温槽を用いてDNAの増幅を行うことができます。また、PCRと比較して特異性に優れ、その高いDNA増幅反応効率から、短時間反応および簡易検出が可能である等の利点を有しています。さらに、LAMP法では熱変性(二本鎖DNAの解離)を必要としないため、DNAの二次構造による合成阻害を受けにくいという特長があります。

LAMP法について

LAMP法では、目的のDNA配列の両側に6つの領域(F側、B側に3か所ずつ)を設定し、4種類のプライマーを使用します。耐熱性鎖置換型DNA Polymeraseによって、目的配列の両端にループ状の構造を形成し、目的配列を連結することで、この繰り返し構造を短時間で大量に増やすことができます。

LAMP法によって、目的のDNA配列の有無を濁度、蛍光、発色や色調変化によって判別可能です。DNA増幅を等温で行えることや、電気泳動などの分析を必要とせず、目視によって確認も可能であることから、研究室外や発展途上国での遺伝子の検査への応用が期待されています。当社ではニッポンジーンのLAMP法用核酸増幅試薬LAMP MASTERシリーズを取り扱っております。

LAMP法に使用できる酵素について

当社では、LAMP法に使用可能なニッポンジーンの耐熱性鎖置換型DNA Polymeraseを3種類ラインアップしています。その中で、Bst DNA PolymeraseはLAMP法で最もよく使われている酵素です。また、反応温度と失活温度が異なるCsa DNA Polymerase、96-7 DNA Polymeraseを販売しており、実験系に最適な酵素をご選択頂けます。さらに、ニッポンジーン独自のパラメータでプライマーの設計と合成を行う、LAMPプライマー設計&合成サービスを提供しています。

表 3種類の鎖置換型酵素の比較
酵素名 Bst DNA Polymerase Csa DNA Polymerase 96-7 DNA Polymerase
反応温度 60~65℃ 60~70℃ 50~55℃
失活温度 80℃ 5分 85℃ 5分 70℃ 5分
備考 LAMP法で最もよく使用されている ニッポンジーン独自の酵素 ニッポンジーン独自の酵素

 

参考文献

T.Notomi, H.Okayama, H.Masubuchi, T.Yonekawa, K.Watanabe, N.Amino, T.Hase: Nucleic Acids Res., 28, e63(2000).

* LAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法は栄研化学株式会社が特許を保有しています。