Evrogen社 2本鎖特異的ヌクレアーゼ

2本鎖特異的ヌクレアーゼ (DSN) は、カムチャッカガニの肝臓から精製された酵素です 1)。 DSNは、DNA-RNAハイブリッドデュプレックス内のDNAおよび2本鎖(ds)DNAに対して強い選択性を示し、1本鎖(ss)DNAや1本鎖・2本鎖RNAに対してはほとんど不活性です。さらに、本酵素は短いDNA-DNAデュプレックス中の完全一致および不一致を区別することができます。

特長

  • DNA-RNA ハイブリッドデュプレックス内のDNAおよびdsDNAを選択的に切断
  • 短いDNAデュプレックス中のミスマッチを区別
  • ssDNAおよびRNA対して不活性
  • 熱安定性が高い
  • EDTAにより阻害される

DSNの性質 (基質特異性)

基質特性-1 : dsDNA, ssDNAに対する特異性

DSNはdsDNA基質を優先的に切断します。DSN酵素と基質の両方が高濃度で存在する場合、ssDNAに対してマイナーな活性を示す可能性がありますが、この活性は競合するdsDNAおよびRNAの存在下では起こりません2)。DSNはRNAを切断しませんが、効果的にDNA-RNAハイブリッドデュプレックス内のDNAを切断します1)

図1. Phage M13のssDNAとPhage λのdsDNAに対するDSNの反応

レーン1, 2 – ネガティブコントロール。ヌクレアーゼなしでのインキュベート。
レーン1: Pharge M13 ssDNAのみ。
レーン2: Pharge M13 ssDNAおよびPharge λ dsDNA の混合物。
レーン3, 4 : Phage M13 ssDNAとPhage λ dsDNAの混合物にDSNを加え、70℃で1.5分間(レーン3)および5分間(レーン4)インキュベートした結果。

基質特性-2:短鎖DNAへの特異性

合成オリゴヌクレオチド基質におけるDSNの活性分析により、DSNは短鎖DNA (10-12bp) において、ミスマッチが1つあるものを区別することができることが明らかとなりました。切断されるには少なくとも10bpのDNAまたは15bpのDNA-RNAの完全なデュプレックスが必要です。

図2. 1つのミスマッチを含む2本鎖DNAと完全一致の2本鎖DNAに対するDSNの反応性

5-carboxyfluorescein (Fl)-5‘-gccctatagt-3’-TAMRAシグナルプローブと相補的なターゲット (5’-actcactataCggcgaat-3’ and 5’-actcactatagggcgaat-3’) によって構成された2本鎖をDSNと35℃, 15分間インキュベート。Emisionスペクトルは分光光度計にて480nmで励起して得た値。
青色の線 – DSNを加えていないときの基質の蛍光
緑色の線 – DSNを加えインキュベートした後の基質の蛍光

DSNの性質 (生化学的性質)

生化学的性質-1 : EDTAによる活性阻害

DSNは2価の陽イオン (Mn2+, Co2+, Mg2+) の存在下で酵素活性を有します。ほとんどのアプリケーションのMg2+イオン濃度は少なくとも5mM必要です。そのためDSNはEDTAによって活性を阻害されます。

生化学的性質-2 : 最適温度

DSNの最適温度は60℃です。ただし、80℃ではDSNの活性は10%まで落ちます。この活性の急激な低下は、要因の一つですがdsDNA基質の変性に起因している可能性があります。

生化学的性質-2 : 最適pHおよび安定性

DSN活性の最適pHは6.6です。pH3と5の間ではDSNは活性は最大時の10%程度となります。DSNは、広範囲のpH(4-12)および65℃未満の温度で安定です。70℃、30分間のインキュベーション後、DSN活性は約60%まで落ち、80℃、30分間のインキュベーションでは、DSN活性が約40%まで落ちます。

生化学的性質-2 : 様々な条件下での検討

Kunitz M. : J. Gen. Physiol., 33, 363 (1950).

DSNの性質 (化学物質に対する耐性)

DSNを1%SDS, 10mM βメルカプトエタノール、0.3%過酸化水素のような強力な化学物質と37℃でインキュベートすると、30分間では約90%の活性を維持しますが、60℃でのインキュベートでは急激な活性の低下がみられます。SDSはDSN活性を完全に阻害し、β-メルカプトエタノールと過酸化水素はそれぞれ約70%, 約80%の活性を阻害します。

DSNはイオン間相互作用にとても影響を受けます (例えば、0.2M NaClの存在下では触媒活性で10倍の低下がみられます)。反応混合物へのカオトロピック剤やポリアミンの添加は、酵素活性の抑制を引き起こします。

DSNはプロテイナーゼK処理 (37℃、30分間のインキュベート) に耐性があります。

参考文献

  1. Shagin DA, Rebrikov DV, Kozhemyako VB, Altshuler IM, Shcheglov AS, Zhulidov PA, Bogdanova EA, Staroverov DB, Rasskazov VA, and Lukyanov S.: Genome Res., 12, 1935 (2002).
  2. Zhao Y, Hoshiyama H, Shay JW, and Wright WE.: Nucleic Acids Res., 36, e14 (2008).

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